例えばいじめ。ネット上で起ころうと、教室の中で起ころうと根っこは同じでしょうに・・・
一般質問でとりあげたテーマをブログでご報告しています。
先日に続いて”世田谷区によるネット上の書き込みの監視”について。
先日のブログで、世田谷区が、区立中学校の生徒に関する書き込みや、学校に関する書き込みを”監視している”という話を取り上げました。
世田谷区では、平成20年8月に「学校非公式サイト等検討委員会」を設置。
委員会の検討結果は平成22年2月まとめられ、区は平成22年4月より「世田谷区立中学校の学校非公式サイト等の検索及び監視」を本格的に開始しました。この事業は現在まで続いています。
検討委員会のまとめでは「いつ深刻な問題につながるとも限らないという危機感を持つ事が大切である」と定型句のような補足つきではありますが「今回の調査では深刻な問題はみられなかった」と結論づけています。
なぜ、区はこの結果で「監視が必要」と判断したのでしょうか。先ず、それが疑問。
そして、この監視は民間事業者(A社とします)に年間450万円のお金を払い委託しているのですが、A社はそもそも公募や入札ではなく、区が指名して決めた業者です。
区は「試行的な監視をA社にお願いした後、本格実施の前に事業者を公募したらA社しか応募してこなかったので、引き続きA社に委託した」と言っています。
そして、その後は5年間も同じ事業内容で同じ事業者と随意契約を結び続けているという状況。
何か釈然としません。
そして検索・監視が本格的に始まった平成22年以降の結果は・・・
平成22年度
「人物を特定し、いじめを呼びかけるもの」など7件の書き込みが削除依頼の対象となった。
平成23年度
「特定の人物を中傷するもの」「人物名を伏せて中傷するもの」「メールアドレスの記載」の3件が削除依頼の対象となった。
※当初10件が削除依頼の対象となったが、7件は翌年度の報告書で「世田谷区の中学校とは無関係の投稿だった」旨の報告があった。
平成24年度
生徒によるメールアドレスの記載1件
平成25年度
生徒によるメールアドレスの記載1件が2つのサイトに反映されているものでのべ2件
近年は、この事業の成果といえるものは、ネット上でメールアドレスを公開している生徒に「メールアドレスを削除しなさい」と指導したという程度の年間1、2件の実績ということなんです。
そして削除依頼の投稿についても、本当に世田谷区の中学校に関する書き込みなのか100%特定できないというのが実態のよう。
そもそも、ネット上にメールアドレスを公開すること自体が即ち「要削除」なのかどうかについても桃野には疑問です。
ツイッターやラインなど、SNSの出現によって、この事業による監視の行き届かない領域が急拡大していることも削除依頼に該当する書き込みが殆ど無いことと関連があるかもしれません。
しかし、そうであれば、ますます”世田谷区によるネット監視”はあまり意味の無いことではないか。
子ども達をインターネットに関わるトラブルから守る為には、区が書き込みを監視することではなく、子ども達に対するネットリテラシー教育こそ、充実されるべきです。
むやみに人を傷つけたり、いじめたりしてはいけない、そしてプライバシーの取り扱いに注意する、などというのはネットであれリアルであれ根っこは同じなんですから。
現在、区では区立中学校各校で一年生を対象に「ネットリテラシー醸成講座」を行なっています。
こちらは、年間87万円と予算も小さいですが、年間450万円のネット監視事業に比べてはるかに重要で効果的ではないか。
こういったことを一般質問で取り上げたところ、区側からは
「家庭や保護者との連携・協力の中で適切な(ネット)利用に向けた取り組みを推進して行く」
「委託事業社との契約の見直しを視野に入れる」
「子ども達の情報リテラシーの育成に取り組みをシフトして行く必要があると認識している」
と先ずは桃野の指摘を前向きに受け止める答弁がありました。
今後も、子ども達とインターネット利用のあり方については取り上げて行きたいと思い待っています。
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