真面目に給食費を払っている方々は怒るでしょう。未納の家庭から徴収するのが大変だからと、区が勝手に債権放棄していたと知ったら、、、
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログも先の区議会代表質問より。
世田谷区では、今年度(令和5年度)は学校給食費が無償化されていますが、当然ながら昨年度までの給食費(食材費)は各家庭でお支払い頂いています。
でも残念ながら、その給食費を払わないご家庭があるんですよね。
学校給食費は、「就学援助」の対象のご家庭からは頂かないことになっています。一定の所得があり給食費を十分支払う能力があるご家庭のみから頂く仕組みなのです。
でも、支払わないご家庭があるんですよね。
世田谷区では平成29年度から30年度にかけて段階的に学校給食費が公会計化されました。公会計化ということは区にお支払いいただき、区のお財布で管理するということ。公会計化以前は「私費会計」と言って”各学校で”給食費の徴収、未納者への催告等が行われていました。
では、公会計化に際し、各学校で未納となっていた給食費はどうなったのでしょうか。
調べてみると、平成29年4月10日に学校健康推進課長から各校長に「学校給食費の公会計化に伴う従前の給食費の取扱いについて」の事務連絡が出されており、以下の記載があります。
「各校は最長で2年間は保護者へ文書や電話等による催告を行い、納付を促すこととする。ただし、催告し続けたが結果として保護者が納付に応じなかった場合、催告等の対応は原則として終了する 」
これをみると、2年間催告を行なっても納付に応じなかった保護者については諦めて対応をおしまいにせよと言ってるように見えます。
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そして、区が自ら示す学校給食ハンドブックには以下の記載があります。
債権である給食費が時効期日の2年を経過しても、債務者(保護者)が時効による利益、つまり時効が成立し納付義務がないことの意思表示について、正式な手続きによる時効完了の申立て(時効の援用)がない限り、債権が確定的に消滅することはない。
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つまり、2年が経っても債権は消滅しないことを区はわざわざ示しているのです。しかも民法150条第1項は「催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と規定していますから、催告をすれば2年で時効が完成することもありません。
世田谷区の学校徴収金取扱要綱の第5条では「校長は、徴収金及び学校指定物品(以下「徴収金等」という。)の取扱いについては、公金に準じた事案決定、契約及び会計処理を行うとともに、保護者の理解を得ながら行うこととする」と記されています。
公金に準じたということであれば、明確な理由なく債権放棄などできないはずです。公会計化に伴って、事務的に面倒だからと、一旦リセットするかのような債権管理は許されません。
今回、区側に以下の質問をぶつけました。
・区は、時効の援用がなくとも、2年間で時効だとみなして実質的に債権を放棄してしまったのか。
・実際にいくら徴収できて、いくら未納のままになったのか。
・もしそれらの金額さえわからないというのあれば問題ではないか。
区側の答弁は概ね以下の内容。
・各学校は最長で2年間は保護者へ文書や電話等による催告を行い、納付を促すこととする、と指示した。
・公会計への移行前の平成28年度及び29年度の各学校の収支状況を確認したところ、私費会計で残っていた未納分は合わせて20校で合計153万6,021円であった。
・「2年の短期消滅時効」を踏まえ、2年にわたる再三の催告に応じない場合には、債務者が時効の援用をする見込みがあるものと考えられ、原則として学校にそれ以上の対応までは求めないこととした。
・教育委員会として最終的な債権額を把握できていない点に関しては、教育委員会としての管理が不十分であり、状況把握を徹底すべきであったと反省している。
「時効の援用をする見込みがある」から放棄?「学校給食ハンドブック」で区が自ら定める手続き上もそんな理屈は通用しないでしょう。そして「反省している」で終わり?「反省だけなら○○でもできる」って言葉が流行ったことありましたよね。
前述の学校給食ハンドブックにはこのような記載もあります。
学校給食は、児童 ・生徒の保護者が負担する給食費によって成り立ってい る。 一人でも未納が発生した場合は、遅滞なく納付している他の保護者との 公平性が保てなくなるだけでなく、給食食材の購入に大きな影響を及ぼすことにもなりかねない。
ついては、未納が発生した場合、保護者へ給食費の納付にご理解・ご協力いただけるよう、様々な機会を捉えて継続的に納付を促す取り組みに努める。
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未納の家庭から徴収するのが大変だからと、区側の都合で勝手に債権放棄していたと知ったら、、、真面目に給食費を払っている方々が怒るに違いないと思うのは桃野だけでしょうか。
質問と答弁の様子は以下の動画でご覧下さい。
本日、世田谷区議会本会議にて「区職員の定年を65歳に引き上げる条例」の採決が行われました。反対は桃野の会派のみ。その他の議員は全員賛成で可決。 区営住宅に12年間も不正入居していた世田谷区役所の職員。なんと区は請求金額1,816万円から約500万を減額! 公益通報は(密告などではなく)、より良い社会のために必要なものであることが価値観として共有されることが必要です。 10月、11月、12月と、季節も良くなり、これから地域のイベントも目白押し。楽しい季節になってきました。子ども達の笑顔を励みに頑張ります。 本日(11/19)の朝刊各紙に「せたがや区議会だより」が折り込まれています。桃野の質問は五ページの左下に掲載されています。ご注目ください。
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