工事遅延が相次ぐ世田谷区の本庁舎整備。大成建設と違約金に関する協議がまとまらない場合、「区長は裁判も辞さない覚悟があるのか」と問いました。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログも桃野の議会質問より。工事遅延が相次ぐ世田谷区の本庁舎整備についてです。
世田谷区では、新たな区役所本庁舎を建設中。令和3年5月の工事契約時、新庁舎の全体完成の時期は令和9年10月15日とされていました。ところがこの工事が遅延続き。現時点の見込みでは、新庁舎の完成は令和11年6月8日とスケジュールが後ろ倒しされています。
施工業者である大成建設は、工事遅延について「施工計画の詳細な検討が不足していた」などとしています。スーパーゼネコンとも言われる日本を代表する総合建設事業者が検討不足による工事遅延とは、にわかに信じらない稚拙な仕事ぶりです。
桃野は、老朽化が進む世田谷区役所本庁舎は災害対策上、質実剛健、災害対策本部機能を強化したものに建て替えるべきだと主張してきました。整備が遅れれば遅れるほど、災害対策本部機能の強化も遅れるということですから、工事遅延については非常に危惧をしています。
大成建設は契約に基づき区に違約金を支払うなど、施工業者としての責任を果たさなければなりませんが、現時点、違約金の額について、区と大成建設の主張に隔たりがあるようです。区長は「目に見えない損害、数値化が難しい損害についても賠償を求める」旨の発言をしています。これには大成建設もおいそれと「全て仰せのようにいたします」とは言わないでしょう。
区長は先の記者会見で違約金に関する協議がまとまらない場合は「第三者判定も選択肢」と言っていますが、具体的に何をやろうというのでしょう。
先ず、区長には「裁判も辞さない覚悟があるのか」と問いました。
これに対しては区長は答弁せず。副区長に以下の答弁をさせました。
*以下、重要部分を抜粋
約款には、発注者と受注者で協議が整わない場合には、建設業法に定める建設工事紛争審査会の調停によるといった規定があり、いずれかの時点で司法判断という選択肢もあるが、顧問弁護士とも相談の上、区としてのあり得べき今後の対応の組立を検討している
再質問で桃野が、区長に対し「裁判になっても耐えられる真っ当な要求しかしていない。揉めるなら司法判断で決着させればいい」と区長が堂々と言える組み立てが必要だ、という趣旨で問うと区長がようやく答弁に。
しかし区長は長々と「こういう損害がある、こういう損害がある、、、、、」と述べ、最後に「交渉を進めて参ります」で終わり。桃野の質問を聞いていなかったこごとく的外れな答弁でした。残念。
そして区長はこれまで、工事遅延について記者会見やX(旧ツイッター)で施工業者の大成建設を厳しく批判していますが、区民への謝罪はどうなっているのかと問いました。
区民に行政サービスを提供するのは区長の責務であり、それができなくなった場合の責任は対区民においては区長にあります。
そもそも、大きな重機を持ち込むことに適しているとは言えない場所に、かつ職員が仕事を継続しながら、区民会館は残しつつ、残りの敷地で一つの免震建物を分割施工して繋ぎ合わせる、などの難工事による新庁舎整備を決めたのは区長です。
コンペを経て庁舎のデザインを決めたのも区長、事業者を大成建設に選んだのも区長。大成建設は入札時、価格が低入札価格調査制度の調査基準価格を下回ったため、区は落札者の決定を保留し調査をしていますが、それでも区長は大成建設を選んだのです。
こうした経緯も踏まえ、区長が今回の工事遅延に関連して、いの一番にすべきは区民への謝罪ではないのでしょうか。しかるにこれまで区長が本庁舎整備の遅れに対して区長に謝罪する言葉が一向に聞かれません。
区長に、区長は工事遅延という結果を受け止め区民に謝罪すべきではないか。又自身の責任をどのように捉えているのかと問いました。
さて答弁は。
*以下、重要部分を抜粋
これまでの区の手続きが着工後に工程遅延を生じた要因とは認識していない。区民会館や新庁舎等の完成が遅れていることで、区民の方々には、大変申し訳なく思うと共に、できるだけの早期完成に向けた体制整備を事業者に求めていく。
一応「大変申し訳なく思う」とは言ってますが、指摘されてしまったから渋々織り込んだ一言のように感じました。世の社会人の方々であればどうでしょう。
例えば、自分が販売している商品がトラブルでお客様に提供できなくなってしまったとしましょう。トラブルについて声高に避難するその前に、先ずはお客様への謝罪「この度はご迷惑をおけして申し訳ございません」ではないでしょうか。
質問と答弁の様子は以下の動画でご覧下さい。35分55秒まで早送りして頂くと「裁判も辞さない覚悟があるのか」についての桃野と区長とのやり取り部分が出てきます。
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