世田谷区のミスで93回分のワクチン廃棄。再発防止策が「手順を守るよう徹底」では又ミスが起こるのでは?なぜ「不遵守」が起こるのかを掘り下げないと。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
世田谷区の外郭団体による区民へのワクチン接種が始まります。
世田谷区の外郭団体である「世田谷区産業振興公社」と「世田谷区保健センター」で、新型コロナウイルスワクチンの職域接種を行うこととなりました。この職域接種では区内で商店を営む方々などだけでなく、区内在住、在勤の方およびそのご家族が接種を受けることができます。
■日程・会場
1)
下北沢会場(昭和信用金庫本店)
9月9日(木)12日(日)23日(木・祝)26日(日)
※2回目接種は4週間後の同日になります。
2)
世田谷会場(世田谷信用金庫本店・上町)
9月15日(水)19日(日)29日(水)10月3日(日)
※2回目接種は4週間後の同日となります。
■接種できる方
区内在住、在勤の方およびそのご家族
申込方法など、詳しくは以下世田谷区産業振興公社のサイトをご覧ください。
【新型コロナウイルスワクチン職域接種の実施について】(世田谷区産業振興公社のサイト)
そして、本日は区から「取り扱いミスにより93回分のワクチンを廃棄した」との発表がありました。
事案は2つ。1つは使用済みのワクチン空瓶の管理ミスによる廃棄。区が住民接種に使用しているファイザー社のワクチンは1瓶(1バイアル)に生理食塩水を入れて希釈したのち、注射器6本分(6シリンジ)に分けて接種されるのですが、使用済みの空き瓶に生理食塩水を加え、それを6本の注射器に充填。途中誤りに気づいたものの、その”誤った6本”を含む注射器66本が一まとめになり、どれが”誤った6本”かわからなくなったため66本を廃棄したという事案です。
もう1つは、異なるロット番号のワクチンを充填した注射器の管理ミスによる廃棄。誰にどのワクチンを打ったかはワクチンに付与されたロット番号で管理しているのですが、ロット番号の異なるワクチンを希釈・充填していたところ、ロット番号の異なるワクチンを充填した注射器が同一のトレイに混在し、いずれのロット番号か特定ができなくなったため、該当する注射器27本を廃棄。※混在が発生した計28回分のワクチンのうち、混在に気づく前に1回分の接種を行ってしまっています。接種対象者の特定はできていません。
■区の発表については以下のサイトをご覧ください。
【集団接種会場におけるワクチンの廃棄について】(令和3年9月6日更新 世田谷区のサイト)
貴重なワクチンがこのようなミスで廃棄されるのは非常に残念。これまでも世田谷区の住民接種では、「6回分を吸い上げた使用済みの空瓶に、再度、生理食塩水を加えて希釈し、充填した注射器で、最大6人に接種した」(令和3年7月6日)という事案が発生しています。
【集団接種会場における誤接種について】(リンク先5ページ目・世田谷区のサイト)
そして、その前には「集団接種会場におけるワクチン接種の際、誤って使用済みの注射器の針を刺してしまう」という事案もありました(令和3年6月19日)。こちらは既に世田谷区のサイトからは情報が削除されていますが、この際も再発防止策として区は「接種手順(接種後の注射器を直ちに廃棄する)を朝のミーティングで共有確認する」としていました。
上記の4つの事案は全て、ワクチン接種の手順が現場で守られていない中で発生したもの。ミスが起こり、それが手順の不遵守であったことから区は「手順を守ることを徹底する」としているわけですが、これでは効果的な再発防止策とは言えません。
なぜ不遵守が起こるのか。手順の共有ができていない、手順が不適切、手順を守れないほど忙しいなど。空き瓶に生理食塩水を入れるという同様のミスが繰り返し起きていることからも、なぜ不遵守が起こるのかを掘り下げた上で対策に当たるべきだと考えます。
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