多くの人が「そんなの、できっこないだろう」と感じる施策を、さも実現するかのように話すからニュースになったという事。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログは先の本会議での「意見開陳」から。世田谷区長がいうところの「社会的検査」にも触れています。こちら参考ブログ↓
【区長の言う”社会的検査”は施策の中身だけでなく、区長の「やり方」にも大きな問題あり】(2020.10.01 桃野ブログ)
繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染症対策におけるPCR検査の拡充に、桃野は賛成です。しかしその検査対象はあくまで医師が合理的に考えて感染の疑いがあると判断した方であるべき。PCR検査は、無症状の方、感染者の濃厚接触者でもない方に、めったやたらにやるものではありません。
仮に、無症状者の感染者を、発症前に見つけ出し、集団から引き離すことが目的だとすれば、その集団全員に定期的に繰り返し検査することを義務付けなくてはいけないはずです。
ところが世田谷区長、当初は「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」などと喧伝し、それが無理とわかるや、区内の高齢者施設等を対象に数ヶ月かけて押し並べて検査を進めるということをやり始めました。そこに投じる予算は4億円。
こんな無駄は許されないと、桃野の会派(無所属・世田谷行革110番・維新)は、「補正予算の中から、区長のいう”社会的検査”に関する予算を、保健所や医師が合理的に判断した結果、必要があるとした方を対象とする従来型の PCR 検査の拡充、それに伴う保健所機能の強化、又各施設における感染拡大抑制のための取り組み支援のための予算に組み替えよ」と対案(組み替え動議)を提案しましたが、これは議会で否決をされてしまいました。以下参考ブログ↓
【補正予算の組み替え動議は残念ながら否決。区長のいう”社会的PCR検査”は実施へ】
ちなみに、始まってしまったこの「社会的検査」とやら。区内の26,000人を対象に23,000人を検査するつもりらしいですが、10月2日から10月18日の集計で検査数は271人、検査陽性者数は2人、この2人はいずれも無症状、濃厚接触者は無しだそうです。
ということで、以下、先の本会議における桃野の「意見開陳」より、区長の新型コロナウイルス感染症対策に関する部分を掲載いたします。
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先の決算特別委員会でも区長に対する厳しい意見が頻発した新型コロナウイルス感染症対策について意見を述べます。ことの発端は、7月28日、突如区長がテレビ番組に出演し「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」とぶちあげたことでした。その前日区長は、有識者との意見交換でニューヨーク州でのPCR検査の事例を聞き「これだ!」と思ったようです。次の日にはあたかもこれが具体的な区の施策であるかのように話し始めてしまいました。
多くの人が「そんなこと、できっこないだろう」と感じる施策を、区長の立場にある人が、さも実現するかのように堂々と話すのですから、報道する側にとってニュースバリューがあったのでしょう。区長は、その後も次々とテレビ、雑誌で「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」と喧伝を続けます。
その後、区長の「いつでも、誰でも、何度でもPCR検査」は当然ではありますが、実現などせず、区長曰くの「社会的検査」なるものに形を変えて実施されることとなりました。
我が会派はこの社会的検査、つまり数ヶ月かけて介護施設等で働く方26,000人を対象に23,000件、押し並べて検査をしても感染拡大防止策にはならないと申し上げてきました。故に社会的検査の予算のみを補正予算から切り出し、その予算は従来型のPCR検査の拡充と各施設における感染拡大抑制のための取り組み支援に割くべきだと組み替え動議を提案しました。もしも区長が、この社会的検査なるものが感染拡大防止に有効だと信じているのだとすれば、それは対象者全員に定期的に繰り返し検査することを義務付けなければならないはずです。
9月10日の企画総務委員会で宮崎副区長は 「議会とも相談する中で、定期的にやらないと意味がないという声を受け止めた」「考え方として定期的とさせて欲しい」と答弁し、区長は昨日の記者会見でもこの社会的検査なるものを指して定期検査と説明していましたが、これも実態のない説明です。定期的とは一定の期間を定めて繰り返すことです。新聞なら毎日、週刊誌なら1週間ごとに定期的に発行されます。これが定期的というものでは無いですか。区長のいう社会的検査のどこが定期的なのか。又いつも通り言葉だけが走り、実体はありません。世間に受ければ良い。中身が伴わなくても良い。辻褄合わせは部下に押し付ける。こうした区長の仕事ぶりには改めて苦言を申し上げます。
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意見開陳の動画は「世田谷区議会」のサイトからご覧頂けます。1時間10分36秒まで早送りすると桃野の登壇部分になります。
世田谷区議会のサイト「令和2年第3回定例会 10月16日本会議」
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