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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2020-06-16

新型コロナ感染症。世田谷区内在住50代男性の死から見える問題。区長は逃げずに答えよ。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

本日のブログも桃野の議会質問から。新型コロナ感染症で命を失ったある男性の死から見える問題を議会で取り上げました。先ずは、亡くなられた男性のご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして世田谷区の保健行政が少しでも良いものとなるよう取り組むことを誓います。

本年4月26日東京新聞によると、男性は単身赴任中で、発熱後保健所に相談しようとしたものの全く電話がつながらず、ようやくPCR検査を受けられたのは発熱から6日後、検査結果が出たのは、亡くなった後だったとのことです。男性が亡くなったのは4月11日、新聞報道は4月26日。区長はこの男性の死が新聞で報じられた当日4月26日の朝8時42分に自身のツイッターで新聞記事を引用し、その25分後、9時7分には「お悔やみを申し上げます。保健所の相談センターの電話になかなかつながらず、回線を拡大しましたが間に合いませんでした」と投稿しています。

又翌27日の区長記者会見では、事前に記者から寄せられた質問に答えるという形で、東京新聞の記事を引用し、以下述べています。

「4月9日、民間病院、帰国者・接触者外来でのPCR検査に繋がったということですが、残念ながら結果が通知される前に、4月11日、自室で亡くなっていらっしゃるところを発見され、その後、陽性が判明をしたということでございます。謹んでお悔やみを申し上げるとともに、電話をいただきながら、繋がらなかったということについてお詫びをいたします。相談センターの電話と保健師、医師、看護師等の受け手を拡大し、13日から3回線を6回線にいたしました。改善に努めてきたものの早期検査につなげられなかったことに責任を感じています」(引用以上)

■区長記者会見の動画は以下ご覧ください。20分23秒まで早送りすると本ブログ内容の部分になります。

しかし、男性が亡くなった4月11日以降、記者会見の4月27日を経ても尚、区は本件について発表をしていません。東京新聞が報じた男性の死の経緯を考えれば、当時の世田谷保健所の体制、対応に至らぬところがあったと強く推認されるにも関わらずです。区長記者会見後の福祉保健委員会でも区からの報告や情報提供はありませんでした。我が会派の大庭議員が5月8日の委員会で本件について問うたところ保健所長は以下の趣旨で答弁しています。

・報道が事実かどうかも含めて言えない。
・区長は報道があったと言っただけで、それが正しいと言ったわけではない。
・区長が謝ったのは電話がつながらない状態だったことについてで、故人や遺族に向けた謝罪ではない

この男性の死の経緯を考えれば、区の「そう言う事実があったかどうかも含めて何も言えない」との姿勢は許されるのでしょうか。こんなことでは感染症発生時の保健所の体制、対応を検証することすらできません。そこで桃野は区長に対し「保健所長が委員会で説明しているように、区長はこの報道を事実だと認めてないのか。又謝罪の対象とその意味は」と問いました。桃野は「区長のツイッター、記者会見の発言を見る限り、区長はこの男性の死の経緯を報道通りと認めているのだろう。そして当然謝罪は故人や遺族に対するものだろう。区長はちゃんとそれを認めるだろう」と考えたからです。その上で「自身が既に公言していることなのだから、議会にも本件について報告すべきだと答えるだろう」とも考えました。

ところが、何と!区長はこの質問に対して一切答えず。副区長に以下の答弁をさせるのみで自分は答弁から逃げてしまいました。以下、2020.06.10宮崎副区長の議会答弁より。

ご指摘の新聞報道された方については、個人情報保護の観点から、ご遺族の意向を踏まえ、区として公表するべきものではないと判断していたが、区長が記者会見において、記者からの事前質問を受けたことについて、亡くなったことのお悔やみと、その当時、保健所に電話が繋がりにくい状況であったことへのお詫びを申し上げたもの。報道の事実に関しては、個人情報に関することもあり、現時点で公表すべきものでは無いという判断は変わっていない。新型コロナウイルス感染症の陽性者に関する情報については、個人が特定 されたり、人権侵害につながることがないよう慎重に行うとともに、公表す ることで区民の方々の注意喚起や感染予防に繋がる情報については、今後とも区議会にご報告するとともに区民の皆様にも公表をしていく。 (引用以上)

本来、自身が答えるべきことから逃げてしまう区長の姿勢が先ず大問題。次に答弁内容はどう考えても区長のツイッター、記者会見内容と矛盾しています。ご遺族の意向を尊重するにしても個人を特定しないように配慮しながら「起きた事」について明らかにすることはできます。そして、区長がツイッターと記者会見で、あそこまで言及しておきながら「区長は報道を事実だとして話しているわけでは無い」という説明はあまりに強引です。

桃野は答弁に立たない区長に向けて、重ねて問いかけました。以下桃野の質問と区長の答弁。ここからは臨場感を感じていただく為に、あえて質問と答弁を話し言葉のまま書き起こしたものをご紹介します。

桃野質問

(宮崎副区長の)答弁にある通り、区が公表すべきでは無いとしているのに、区長は報道直後に記事を引用してお悔やみをツイートしているわけですよ。記者会見でも言っているんです。それでも尚区長は4月26日の東京新聞の記事内容を「自分は事実だと認めてはいない」という立場なのか。答えてください。

保坂区長の答弁。

50代の方が、世田谷区内でね、亡くなっていたと。これは本当に胸が痛みますし、お悔やみを申し上げなければいけないという風に思います。そして記者会見ですから、記者会見はいわば予告なしに、今回はネット配信の会見なので、事前に来ましたが、これについて「どうなんだ」ということを問われた時に桃野議員紹介のような会見での発言をしているということでございます。

区長は、何かを答えているようで、何も答えてない。文字に起こせば一目瞭然です。「記者会見は予告なしのやりとり」というのも「だから何?」って話ですし、しかも今回は記者から事前に寄せられた質問に答えての発言ですし。ひどい答弁。桃野はさらに問いました。

桃野

東京新聞で報じられた50代男性が亡くなった件ですけども、この事実が社会に与える影響とか、又区民の不安に応えるという意味でも、個人を特定しないように配慮しながら、事実を明らかにして、その際区の体制や対応にどんな問題があったのか、それを区として明らかにするのは、私は当然だと思います。それを保健所の強弁に平仄を合わせて、自身の発言の意味をねじ曲げてしまう。だって(区長は)自分でツイートしてるんだから。区議会に何も情報を出さないことを良しとしてしまう。それでは余りにも私は区長のリーダーシップが不足していると思います。これは逆説的な表現かもしれないけれども、区長が自身で公表すべきだと考えた情報、記者会見でも記者から事前に寄せられた情報で、間髪入れずのやりとりじゃなくて、事前に考える時間があってちゃんと答えてるわけですから。自身が公表すべきだと考えた情報については、組織としてそれをしっかり実行すべきですよ。この男性の件についても保健所はしっかり議会に報告するようにと、事態をしっかり説明するようにと、指示を出すのが区長の立場じゃないんですか。答えてください。

区長

50代の男性が亡くなった件。新聞紙上、私も衝撃を受けましてですね、これはもう本当に心からお悔やみを申し上げたい。そして電話が、どの時点でどういう風につながら・・・、あの、どの時間帯でどうなったのかわかりませんが、しかしこの時期ですね、世田谷保健所の電話がつながりにくかった。何回かけてもなかなかつながらないということは事実なわけです。一方でこの方、上司から、この新聞記事を読みますと友人の話ってことで構成されているわけですけども、上司からPCR検査を受けた方がいいよ、とあって、電話はつながらなかったけど、かかりつけ医さんを通して保健所に繋がって、PCRの予定が組まれたということでございます。で、実はその中でですね、遺族の方から、記事自体にもありますけど、要するに会社だとか属性だとかどこの誰ということを一切出さないでくれと、いうことを強い要望としてこの記事にも載っております。ということを保健所の方では勘案してですね、そういう答弁になったのかと思いますが、私がその記者会見で、記者会見は公式の区長としての見解を述べる場ですから、そこで言ってることと議会への説明が違うということ、のご指摘ですから、これは引き取りまして改めて区としての見解を述べたいと思います。

以上。ここで桃野の持ち時間終了(壇上での質問、自席での再質問、再々質問で終わり)

結局、私の質問の核心「保健所長が委員会で説明しているように、区長はこの報道を事実だと認めてないのか」に区長は最後まで答えませんでした。「改めて見解を述べたい」って今、聞いてるのに。いつ答えるつもりなのか。議会質問は時間や回数に制限があるので、誠実さの無い人間が答弁に立つと、こういう「逃げるが勝ち」が成立してしまいます。打っても打っても響かない世田谷区長ですが、こちらは諦めずに働きかけていくしかありません。

■6月10日の代表質問の様子はこちらからご覧ください。(特にお勧めの視聴は34分15秒〜です)

■動画は世田谷区の区議会のサイトからもご覧いただけます→こちら

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