手話言語条例を可決。世田谷区議会ではようやく。手話を使う方々にとっても暮らしやすい世田谷区となるよう。取り組みを進めます。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
昨日(12月7日)の世田谷区議会本会議は、議案の採決などが行われました。
議案第115号「世田谷区手話言語条例」もその一つで、桃野も含む全員賛成で可決となりました。良かった。来年(令和6年)の4月1日施行です。
簡単いうと、この条例は「世田谷区では、今後、手話を使いやすい環境の整備等を進めて、手話の普及を図る」ということ。手話をきちっと言語として位置付けるというのは、聾者の方々にとってはとても重要なことです。今後、これまでにも増して、区は手話によって意思疎通をする方に対する配慮が必要になってくるでしょう。
ちなみに東京都は昨年(令和4年)9月1日、「東京都手話言語条例」を施行しています。
世田谷区議会では長きにわたって議論が行われてきましたが、ようやく。手話を使う方々にとっても暮らしやすい世田谷区となるよう。桃野も引き続き努力して参ります。
世田谷区手話言語条例
手話は、手指の動き及び表情を用いて、物の名前、抽象的な概念等を思考し、伝達する独自の文法を持つ一つの言語であり、手話を必要とする者が知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産です。
一方で、我が国では手話が言語であることに対する理解が十分であるとは言えず、過去には手話の使用について様々な制約を受けてきた歴史があります。その中でも、手話を必要とする人々の中で手話は生き続けてきました。
こうした背景の下、手話を必要とする乳幼児から高齢者までの様々な世代の人々が地域で安心して暮らすためには、言語として、手話の獲得(手話の習得をいう。)をし、手話を学び、手話で学び、及び手話を使うことができる環境を整備し、手話を継承していくことが必要です。
世田谷区は、手話が言語であるとの見地から、区民及び事業者の手話に対する理解を促進し、及び手話を使いやすい環境の整備等を進めることにより、手話の普及を図り、もって手話を使う人のみならず、区民及び事業者の全員が共同して、ろう者その他の手話を必要とする者の権利が尊重される地域共生社会を実現するために、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話が独自の文法を持つ一つの言語であるという認識の下、手話に対する理解を促進し、及び手話を使いやすい環境の整備等を進めることにより、手話の普及を図るため、その基本理念を定め、区の責務、事業者の役割及び区民が協力すべき事項について明らかにするとともに、手話に関する区の施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な基本的事項を定め、もって地域共生社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑴ 手話を必要とする者 ろう者その他の手話を必要とする者をいう。
⑵ 区民 区内に居所、勤務先又は通学先がある者をいう。
⑶ 事業者 区内において事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。
⑷ 地域共生社会 障害のある区民その他の様々な状況及び状態にある区民が多様性を尊重し、価値観を相互に認め合い、地域において共に生きる社会をいう。
(基本理念)
第3条 手話が独自の文法を持つ一つの言語であるという認識の下、一人ひとりに、社会の一員として社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参画する機会が確保される地域共生社会を実現するために、手話に対する理解を促進し、及び手話を使いやすい環境の整備等を進めることにより、手話の普及を図るものとする。
(区の責務)
第4条 区は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、常に手話を必要とする者の視点に立ち、その意見を聴いた上で、次に掲げる施策を推進するものとする。
⑴ 手話に対する理解を促進するための施策
⑵ 手話を必要とする者が言語として、手話の獲得(手話の習得をいう。)をし、手話を学び、手話で学び、及び手話を使用することができる環境を整備するための施策
⑶ 手話を必要とする者が必要な情報を取得するための施策
2 前項各号に掲げる施策の推進については、国、東京都その他関係機関及び手話を必要とする者と連携して行うものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、次に掲げる取組を実施するよう努めるものとする。
⑴ 手話に対する理解を深めること。
⑵ 区が実施する手話に対する理解の促進のための施策に協力すること。
⑶ 手話を必要とする者が手話を使いやすい環境を整備すること。
(区民の協力)
第6条 区民は、基本理念にのっとり、手話に対する理解を深めるよう努めるものとする。
(手話の普及啓発)
第7条 区は、手話の普及を目的として、手話に対する理解の促進を図るための啓発活動を行うものとする。
2 区は、区民が手話を必要とする者が直面する言語的障壁及び文化の違いに関する知識を培う機会を設けるよう、努めるものとする。
(手話を用いた情報発信及び意見の表明)
第8条 区は、手話を必要とする者が、手話により、区政に関する情報を取得し、及びその意見を表明することができるよう、必要な施策を推進するものとする。
(手話通訳者の派遣のための人材の確保及び養成等)
第9条 区は、手話を必要とする者が、手話通訳者の派遣により手話を使用した支援を受けることができるよう、手話通訳者及びその指導者(以下「手話通訳者等」という。)の確保並びに養成並びに手話通訳者等の技術及び専門性の向上に努めるものとする。
2 区は、手話通訳者等を増加させるための施策を推進するものとする。
(災害時における措置)
第10条 区は、災害その他の非常事態においても、手話を必要とする者が、手話を使用して必要な情報を迅速かつ的確に取得し、及び円滑に意思疎通を図ることができるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この条例は、令和6年4月1日から施行する。
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