toggle
世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2023-03-02

医療的ケア児への支援。ケースバイケースの支援を。看護師配置で保護者の負担軽減になり、その他大きな問題は起こらないというケースは無いのだろうか。

LINEで送る
Pocket

 

世田谷区議会議員、桃野芳文です。

これまで桃野が議会で区に対応を求めてきた「医療ケア児の支援」について、先日の文教委員会にて検討状況の報告がありました。

こちらは一昨年(2021年)9月16日の桃野の議会質問に関するブログ。

桃野の世田谷区議会一般質問より。医療的ケア児、そのご家族への支援について取り上げました。区側からは「一歩前進」の答弁。

この際、本会議一般質問で、桃野は以下内容を区に訴えました。

・医療的ケア児(医ケア児)とは、日常生活や社会生活を営むため恒常的に医療的ケア(=人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引などの医療行為)を受けることが不可欠な児童のこと。全国的に、又区内においてもその人数は増加傾向。

・平成30年11月8日の区の資料「世田谷区における医療的ケアが必要なお子さん支援の取り組み」によると、平成30年4月時点の「医療的ケアが必要なお子さんの人数」は未就学児97人、就学児 59人。そして、本日の区側の答弁によると、区内で「医療的ケアを必要とする子どもの人数」は、令和3年4月時点で、未就学児109人、就学児71人(特別支援学校等に通う児童を含む)で合計180人。

・本年(2021年)6月に公布された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」は明後日9月18日に施行される。

・この法律では「教育を行う体制の拡充等」を定めており、「学校の設置者は、医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な支援を受けられるよう、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずる」旨を定めている。

・一方、世田谷区では、「医療的ケアの標準的な実施項目・内容」の中に、人工呼吸器による呼吸管理を含めておらず、看護師の配置対象としていない。そして、人工呼吸器による呼吸管理を必要とする医ケア児が学校にいる間は、保護者の校内待機を求めてる。

・法律で定める通り、世田谷区は、保護者の付き添い無しに医ケア児が学校で学べる環境を整えるべき。

この質問に対して区教育委員会は「区立学校において、保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアを提供できるよう、関係所管や関係機関とも連携を図りながら、早急に課題の整理を行い、必要な措置の実施に向けた検討を進める」と答弁していました。

そして、あれから1年半が過ぎたわけですが、今の区教委の検討状況はというと・・・

以下、令和5年(2023年)2月24日、文教委員会の報告「医療的ケア児の区立学校等での円滑な受け入れに関する検討状況について」より一部抜粋

(1)区立学校等における受け入れ体制について

①区立学校等の理解促進、校内の支援体制

〇課題

・医療的ケアの種類や内容、医療的ケア児の支援方法などについて、区立学校等の理解促進が必要である。

・医療的ケア児の受け入れにあたり、教職員等の役割を整理する必要がある。

〇取り組み方針

・管理職や担任、養護教諭等に対し研修等を実施し、医療的ケアに対する理解の促進を図る。

・教職員それぞれの役割を整理しつつ、指導医や支援員の役割も整理し、チーム学校としての校内の支援体制を整えていく。

②看護師の配置等

〇課題

・医療的ケア児は、その状況に応じて、常時看護師によるケアが必要な児童・生徒等と、決まった時間のみケアが必要な医療的ケア児がおり、個に応じた配置と対応が必要である。また、授業時間中のみならず、放課後や校外学習、宿泊行事等においても同様である。

・看護師の人材確保が困難であり、学校への固定配置だけではない、柔軟な配置体制が求められる。

〇取り組み方針

・医療的ケア児の個々の状態、各活動の場面に応じた看護師の配置のあり方について検討する。

・個々の状態に応じて、訪問看護ステーションへの委託のさらなる活用も検討するとともに、直接雇用の看護師については、複数の学校への派遣も検討していく。

・医療的ケア児の受け入れにあたり、学校生活上の支援を行う学校生活サポーター等による支援のあり方についても整理する。

③環境整備

〇課題

医療的ケア児の円滑な受け入れにあたり、園内、校内における環境を整える必要がある。

〇取り組み方針

・医療的ケアの状況に応じて必要となる機能を備えた諸室を、学校の改修や改築の機会も捉えながら備えていく。その際、各諸室の配置と移動にかかる動線や手段の確保についてもバリアフリーの視点に立ち、整理する。

・きざみ食やとろみ食等、個々の状態に応じた給食の提供に向け、必要な給食室の設備を検討する。

④医療・衛生物品等の物的支援

〇課題

・医療的ケアの実施にあたり、学校が備えるべき物品を把握し備蓄する必要がある。

〇取り組み方針

・ケアの内容ごとに備えるべき医療・衛生物品を把握するとともに、学校と保護者 がそれぞれ準備する物品を整理する。また、災害時等の非常時における備蓄する物品については、医療的ケア児の個々の状態に応じて準備する。

(2)就園・就学にかかる相談体制

〇課題

・就園や就学相談、新BOP学童クラブの利用申請については、現在、各窓口が個 別に対応しているが、医療的ケア児を対象とした相談窓口がない。

〇取り組み方針

・就園等にかかる相談、申請の窓口のほかに、医療的ケア児を対象とした相談の窓口の設置を検討するとともに、関係各課の連携体制を構築する。

(3)支援の継続性

〇課題

・就学や進学、卒業後においても、支援内容が継続されるよう、関係機関も含めた情報の共有や連携の仕組みが整っていない。

〇取り組み方針

・対象となる児童・生徒等の状態や支援内容等を円滑に引き継ぐため、連携する仕 組みづくりを進める。また、卒業後における支援内容の引継ぎについては、関係機関との連携の在り方についても検討する。

・区立学校等での支援方法について、医療機関や相談支援センターHi・na・ta 等関係機関との情報共有や連携体制の構築についても検討していく。

(4)その他

・通園や通学にかかる保護者の付き添いの負担軽減に向け、教育委員会や学校における支援について課題整理を行う必要がある。

・人工呼吸器を使用する医療的ケア児の保護者の付き添い時間の短縮に向けては、 学校、保護者、主治医、看護師など関係者間で作成したきめ細かな対応マニュア ルをもとに、段階的に実施していく必要がある。

(一部抜粋以上)

そして、今後のスケジュールとして区教委は、「令和6年2月、医療的ケア児の円滑な受け入れに向けたガイドライン(案)策定」としています。

課題を積み上げて、それが全て解消されるまで実行しないというのでは、その数年間、学校に通う子ども達、その保護者の皆さんが現状維持を強いられることになってしまいます。

今すぐできることは今すぐ実行。現時点で課題が解決できない部分は時間をかけて実行にこぎ着ける。そんなやり方ははできないものなのだろうか。医ケア児と言ってもそれぞれ一人一人、学校生活を送る上での課題は異なるでしょう。前提として教職員に医療的ケアについての知識を持ってもらった上でのことですが、加えて、例えば、看護師配置さえ実現すれば、保護者の校内待機が不要になり、その他大きな問題は起こらないというケースは無いのでしょうか。そうしたケースがあるのなら、今すぐにでも看護師を配置して保護者の校内待機という負担の軽減に繋げるべきではないのでしょうか。

令和6年2月まで、実際の支援メニューが一つも始まらないというのは、時間がかかりすぎのように思います。

LINEで送る
Pocket

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です