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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2023-02-28

執筆者も区も「良い区史を作りたい」との思いは同じでしょう。「原稿は自由に書き換えます」では、互いに思いを共有し良い仕事をすることなどできるのか。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

今朝(2/28)の朝日新聞に「大学准教授取り下げを 世田谷区、区史編纂で著作権譲渡依頼」との記事が掲載されていました。

■2023年2月28日、朝日新聞(※著作権に配慮し、ぼかしを入れています。)

記事は、ネット版(朝日新聞オンライン)でもご覧頂けます。こちらを参照ください。

世田谷区の区史編纂については、桃野は議会で数々の問題を指摘して来ました。以下関連ブログ。

著作者の名誉、思い入れを守るための権利「著作者人格権」を行使させないよう契約書に盛り込む世田谷区。これは執筆者に対する横暴ではないか。

昨年の10月に議会で取り上げた問題が新聞記事になっております。デジタルミュージアム無断転載問題。

それぞれ大きな問題ですが、最近特に桃野は「区が、執筆者に対し著作者人格権の不行使を強いる契約」について、非常に憂慮しています。公共部門たる世田谷区が執筆者に対して一方的にこうした内容を強いるのは妥当でしょうか。

上記のブログにも示しましたが改めて。

著作者人格権とは著作者の名誉、思い入れを守るための権利です。例えば、著作者人格権の中に含まれる同一性保持権は、著作者が作成したもの、区史で言えば執筆した文章に無断で手を入れさせない権利。執筆者が「AはBである」と書いたものを編集作業の中で「AはCである」と書き替えさせない権利ということ。

今回の区の契約は、この著作者人格権の不行使を執筆者に求め、文章を自由に書き換えられるようにしようというものです。

通常、本を出版するとき、事務方たる編集者が「てにをは」の間違いを指摘して修正したり、文の繋がりがよりわかりやすくなるよう修正を提案したりということはあるでしょう。内容を変えずに、平易な文章になるよう提案することもあるかもしれません。しかしそれは執筆者と事務方たる編集者が話し合い、いわゆる「校正」をするということ。それは普通、著作者人格権の不行使を迫ることなく、通常の作業として行われます。編集者が、校正の範囲を超えて、意味が異なるよう中身を書き換えるということは普通はないこと。

そもそも、区がその力量を見込んで選び、執筆をお願いしたそれぞれの専門家に対して「書いてもらったものは自由に書き換えます」という態度は正しいのか。それはあまりにも高圧的なやり方ではないでしょうか。

執筆者も区も「良い区史を作りたい」という思いは同じでしょう。そうであるならば著作者人格権の不行使を強いるということではなく、先ずは「編集者と執筆者の信頼関係」を土台にした制作過程こそが必要なのではないでしょうか。

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