学校に警察を呼び、子どもの対応を警察官に委ねた事例。教育長は、その事実を認めるとともに、学校の対応を「不十分」と表現しています。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
先の本会議での質問をご報告してきたブログですが、今日が最後の項目です。
1)保坂区政の3期目も終わろうとしているが、そろそろ「大業」を成すべきではないか(6/14ブログup)
2)区長は本気で世田谷区民を守る気があるのか(6/15ブログup)
3)DX担当の副区長を迎えて為すべきことについて(6/16ブログup)
4)保坂区政で頻発する事務ミスについて(6/17ブログup)
5)学校の災害対策について(6/22ブログup)
6)学校と専門家との連携について
本日のブログは6番目、「学校と専門家との連携について」です。
世田谷区立の学校で、子どもへの対応を警察官に委ねるという事案があるようです。パトカーが学校にやってくる事例が、昨年度だけでも複数回ありました。
警察を学校に呼んだと言っても、私が知る限り、これらの事案は、かつての人気ドラマ「3年B組金八先生」の”腐ったミカン”のような、いわゆる校内暴力ではありません。
(尤もドラマの中では「学校に警察を呼ぶのは教育の放棄だ」という意味の台詞があったと記憶していますが)
私が憂慮するのは、発達障がいのある子ども達への学校の対応です。
世田谷区立小中学校において、発達障がいについての基礎的な理解は十分でしょうか。個々の児童生徒に対する接し方や指導方法は適切でしょうか。
ADHD(注意欠如・多動症)の子どもは相対的に我慢が利かないことがあるし、 ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは 不測の事態に直面したり不快な記憶がフラッシュバックしたりした際に、パニックを起こし暴れ出すことがあります。
しかし、これを止めようと 教員が力で押さえ込もうとするなど、誤った対応をすれば、かえって騒ぎが大きくなってしまうこともあるでしょう。子ども達のそれぞれの特性を理解し、適切に対応する必要があります。
もしも学校が現状「そうした子どもへの対応は警察に任す以外はない」とするなら、区教委として新たな取り組みが必要ではないでしょうか。世田谷区の教育長が常々、自分の信条だと言っている「誰一人置き去りにしない教育」の視点からも、そうした取り組みが必要です。
具体的には、子どもの心や発達について詳しい外部の専門家(小児医療など)と連携する仕組みの整備が必要ではないでしょうか。桃野は「教職員が、そうした専門家と頻繁に相談できる仕組みの整備」など、対応力の強化に取り組むべきだと区教委に求めました。
これについて世田谷区教育長の答弁は以下内容。
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一人一人の児童生徒の互いの特性の理解が進まなかったり、人間関係の調整がうまくとれなかったりして、トラブルが発生し、学校内だけの解決が難しく、警察と連携して対応した事例があった
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学校では、教職員が個々の特性に応じてきめ細やかな支援が必要なことから、スクールカウンセラーやスクールワーカー等の専門職や福祉等の様々な機関との連携を図っているところだが、今振り返れば本件は十分でなかったと考えている。
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世田谷区で推進している「キャリア・未来デザイン教育」においては、多様な個性を認め合い、共に学ぶことを通して尊重し合い、高め合うことを目標としている。
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今後は、一人一人の子どもの成長を支える教員の専門的知見を向上させるために、発達や心理、医療、法律等の様々な専門家と連携して子どもの特性や心の在り様等を分析するなど、研究・研修体制を充実させることが必要になる。
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教育長として、教員が安心して子どもにかかわることができるよう、これらサポート機能を充実させ、更なる学校の対応力の強化に努める。
教育長は、学校に警察を呼び、子どもの対応を警察官に委ねた事例について、その事実を認めるとともに、学校の対応を「不十分」と表現しています。やるべきことをやらず安易に警察に頼ったという意味なのでしょう。教育長が、学校の対応の不味さを認め「今後、教員の専門的知見を向上させるために、体制を充実させることが必要」との認識を示したのは一歩前進だと考えています。
どのような分野の専門家と、どのように連携していくことが、子ども達や教職員にとって良いことなのか。桃野は引き続き知恵を絞り、具体的な仕組みづくりについて提案を続けていきます。
質問の内容は以下の動画でご覧いただけます。本ブログの内容は、動画を16分9秒まで早送りした部分からです。
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