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2021-03-11

世田谷区長の新型コロナ対策「社会的検査」。全くうまく行ってない施策を、さもうまく行っているかのように発信するのはやめた方が良い。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

本日のブログも予算特別委員会の総括質疑より。新型コロナ対策として区長が進める「社会的検査なるもの」についても取り上げました。質疑の様子は以下の動画でご覧ください。(17分5秒まで早送りすると社会的検査なるものに関する質疑になります)

区長が社会的検査と呼んでいる施策は、区内の高齢者施設等をローラーをかけるように、そこで働く職員に、PCR検査をすると言うものです。ここに投じる税金は約4億8000万円。以下参考ブログです。

世田谷区長の肝煎りだからやめられない?今「社会的検査なるもの」を続けている場合なのか

区長は、自身のツイッターなどでこの社会的検査が順調に進み、施設内での集団感染を防いでいるかのように喧伝していますが実態は全く違います。

なぜなら、この検査について区長は「定期検査」と言っていますが、実態は昨年10月から今年3月の期間の中で、多くの施設で検査は一回こっきり、ごく一部の施設でせいぜい2回(1施設のみ3回)検査をしたと言うのが実態。決して「定期検査」と言えるものではありません。

全体の実施実績にしても低調。今年2月8日時点の区の発表を見ると、区内対象施設は1,500ヵ所で検査を受けた施設は302ヵ所、受検割合は20.1%(受検人数では26.8%)にしかすぎません。要は検査を希望する施設は少ないという結果になっています。

これは、施設側も区長の提唱する「社会的検査なるもの」の効果を、懐疑的に捉えているからではないでしょうか。PCR検査によって、無症状の新型コロナウイルス感染者を見つけ出して集団から隔離することが目的であれば、数ヶ月に一度の検査では効果がありません。

以下は、今年2月17日のNHK「クローズアップ現代」で高山義浩さん (沖縄県立中部病院 感染症内科副部長)が示されていた資料ですが、わかりやすいので引用します。

先ず、PCR検査で感染者を見つけるにしても感度の限界があります。

上記の図の中の曲線は、PCR検査が新型コロナに感染した人をどれくらいの頻度で見つけることができるかを表したもの。時間とともに感度は変わって行きますが、最も感度が高い時でも8割ぐらいですから、検査をしても2割の感染者を見逃す可能性があるということ。よって検査結果が陰性であっても「安心」することはできないし、感染対策を疎かにすることもできません。

そして赤い帯で出している部分が感染力のある期間。赤色が濃いほどに周囲にうつしやすい期間ということになります。図を見て分かる通り赤色が濃いところが発症前にもあります。この期間が特に感染力が強いというのが新型コロナの特徴。

もし症状があれば受診を勧めることで、感染者を見つけ出す可能性が高まります。一方で、無症状の方々は自分が感染していることに気づかないまま周囲に感染させて行きます。ここをターゲットにするのが無症状者への検査ということになりますから、感染してから発症する前の間に検査をすることで、無症状の感染者を見つけ、集団から隔離しなければなりません。よって数ヶ月に1回程度の検査では無症状の感染者を見つけ出すという目的に対して効果が上がらないのは明らかなのです。

質疑の様子を動画でご覧いただければわかりますが、桃野の説明に対して区長は全く理解を示さず、むしろこれからも社会的検査は続けると力強く反論しています。これからも目的と合致しない施策に多額の税金が投じられ続けられようとしていることが残念でなりません。

最後にもう一つ区長のこの施策が「効果をあげるはずがない」根拠を挙げておきます。

これまでこの検査で「陽性者」が見つかった施設もあります。3月8日時点の区のHPによると、昨年10月2日から今年3月7日の間の「定期検査」検査数(人数)は9,163人、そのうち陽性となった方は23人です。その23人が勤めるそれぞれの施設、つまり定期検査で陽性者が出た施設で、その後二度目の検査を受けた施設は一つもありません(世田谷区保健福祉政策部の担当所管に確認済み)。陽性者が出た施設ですら、一回こっきりの検査でしかないのですから社会的検査なるものが「無症状の感染者をいち早く見つけるための検査」になどなるはずがありません。

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