既に公費でPCR検査できる体制は整ってます。「感染を疑うに足りる正当な理由がある」場合。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
これまで議会で訴えてきましたし、ブログでも何度もお伝えしてきました。世田谷区長のぶちあげる「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」は施策として間違いです。
【解説。世田谷区長の目指すという「誰でも、いつでも、何度でもPCR」をすべきでない理由】(2020.08.04 桃野ブログ)
新型コロナウイルスに感染して苦しい思いをしている方、コロナ禍で厳しい暮らしを余儀なくされている方のためにやらなければいけないことが沢山あります。そういう人たちの為に使わなければいけないお金はいくらあっても足りない状況。そんな中で「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」って。。。
仮に、高齢者介護施設で働く方、保育園で働く方、幼稚園で働く方だけを対象にしても、その数は世田谷区内で2万人以上。「これらの方々は全員検査してください」となったとします。一回のPCR検査にかかる費用が仮に2万円(これでも相場より安価)で、それを税金で負担するとすれば、2万人に一回こっきりでも4億円です。それを更に「誰でも、何度でも」ってやったらいくら予算が必要なのでしょう。
「無症状だし、周囲に感染者もいないけど、念のため検査をしたい」という人を公費で検査することに合理的な理由はあるでしょうか。あくまで「医師が検査した方が良い」という方など何らか検査すべきと考えられる方々を検査対象にすべきで「誰かれ構わず検査をしますよ。無料ですよ。どんどん検査しに来てください」と進めることが今やるべきこととは思えません。繰り返しますが、感染の疑いのある方、コロナで厳しい生活に陥っている方のために、限りある税金を優先的に配分すべきではないでしょうか。
症状のある方、感染が疑われる方、感染のリスクが高いと思われる方が迅速に検査を受けられる体制をつくることは大切です。それに反対する人は多くないでしょう。しかし今の状況の中で「誰でも、何度でも、自己負担なしで検査します」と、予算の裏付けもなく、具体的方法もなく、行政組織の長がテレビ等で喧伝して有頂天になっている状況は全く理解できません。それも事務方トップの副区長は「誰でも、ではない」と明言しているという混乱ぶりです。
科学的な理由に基づいて「必要だ」と判断された方に対して検査をやる。そのための十分な体制を整えるのが適切な施策。
厚生労働省は既に、都道府県や保健所設置市、特別区(東京23区)に対して「感染症法に基づき公費で検査を受けられる対象」として、感染の疑いがある人、濃厚接触者など「感染を疑うに足りる正当な理由があると保健所長が判断した人」も含まれるとの事務連絡を出しています。つまり、医師が検査した方が良いと判断した人に加えて、保健所長が「感染している可能性があるから検査した方が良い」と判断した人は、自己負担無しで検査できるということ。
同省は、感染者が多く出ている地域の医療機関や高齢者施設の従事者、こうした施設の入院患者や入所者も検査の該当すると明示しているのですから、世田谷区長が何を思ったか知りませんが、そこに更に上乗せし「誰でも、何度でも、自己負担無しで検査」というのは余りに突飛な発想と言わざるを得ません。
【「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&A 」令和2年8月18日時点 】を参照。
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