「安保法制の強行採決に抗議し、今国会で成立した安保関連法の廃止を求める意見書」世田谷区議会では賛成少数で否決
昨日の世田谷区議会は、条例改正など議案の表決。
議案の一つに「安保法制の強行採決に抗議し、今国会で成立した安保関連法の廃止を求める意見書」がありました。
安保法案について、世田谷区議会から内閣総理大臣、衆参両議院の議長宛に今回の強行採決に抗議し、今国会で成立した安保法案の廃止を求めて行こうという議案です。
この議案、桃野も議案提出者の一人ですが、表決の結果、賛成少数で否決されました。
賛否については以下を参照下さい。
【敬称略。国政政党に属していない議員については名前を記しました】
■賛成19
大庭正明、田中優子、桃野よしふみ、そのべせいや(無所属・世田谷行革110番・維新)
世田谷民主党・社民党区議団5名
日本共産党世田谷区議団5名
高岡じゅん子、田中みち子(生活者ネットワーク世田谷区議団)
上川あや(レインボー世田谷)
すがややすこ(せたがやすこやかプロジェクト)
ひうち優子(世田谷無所属)
■反対30
自由民主党世田谷区議団(表決に加わらない議長を除く15名)
公明党世田谷区議団10名
小泉たま子、佐藤美樹、阿久津皇 (世田谷希望の会)
あべ力也、青空こうじ(無所属・減税せたがや無所属連合)
表決に先立ち、我々の会派からは大庭正明幹事長が壇上で賛成意見を述べました。
以下にそのポイントを記します。
(割愛しても尚長文ですが是非ご一読下さい)
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今回の「安全保障関連法」の成立は、「立憲主義の否定、民主主義の危機」であることは、間違いなく、直近のNHKの世論調査でも「議論は尽くされたは」わずか6%にすぎず、「議論は尽くされていない」は58%にもなっています。
6月4日の衆議院憲法審査会で、憲法学者全員が、「今回の安保法制は憲法違反に当たる」という認識を示し、
その後、内閣法制局の元長官や最高裁の元長官までもが、「安保法案は違憲」と述べるに至り、多くの国民が「安保法案」の「いかがわしさ」に「確信」を抱くようになりました。
一方で、新しい安全保障の法律を作ろうとすることは、別次元の問題です。
国際状況が変化するなかで、日本の安全を維持するために、新たな法律を作ることは避けて通れないことだと考えます。
ただし手続きが重要です。
今回の法律はこれまでの「防衛力」を「攻撃力」に大転換させる可能性を持っています。
しかも、その可能性については、いわゆる新3要件と、その時の政府の「総合的な判断」としか示されていません。
さらに新3要件のうち法律に明記されているのは第1要件だけであり、第2要件、第3要件は非常にあいまいな形の表現に置き換わり、法律違反に問える、歯止めにはなっていません。
そもそも第1要件でさえ、明記されていると言っても政府の裁量で、いかようにも解釈可能です。
今回の法律は、昨年7月の解釈改憲に始まります。
その時の記者会見で安倍首相は「万全の備えをすること自体が日本に戦争を仕掛けようとする企みをくじく大きな力を持っている、これが抑止力です」と述べました。
さらに今年5月の「安保法案」の閣議決定の直後には「日本が危険にさらされた時には日米同盟は完全に機能する、そのことを世界に発信することによって抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなってゆくと考えます」とも述べました。
これは、いわゆる、「抑止力」についての首相の考えですが、このような単純で時代遅れの発想で良いのでしょうか。
戦後まもなく始まった冷戦の下で、自衛隊の創設という最大の憲法解釈の変更を行い、憲法9条が死にかけたことはありました。
しかし当時の状況は、占領国であったアメリカの影響力は憲法を超えるものがあった事も事実です。
それでも日本人は知恵と工夫によって、ガラス細工といわれるような論理の組み立てによって、この40年間、政府は、「自衛隊の存在と個別的な自衛権の行使は合憲だが、集団的自衛権の行使は違憲だ」と国民に約束し、誓ってきたのです。
40年間の定着は、国内だけではありません。世界に向かっても安心できる国として広く認められてきました。
私達が現在、平和に暮らしていることの礎は、憲法9条という最高の「外交官」がいたからこそです。
つまり、憲法9条は最大の安心できる「抑止力」でもありました。
戦後長らく、日本国民の平和を守り、「抑止力」であった憲法9条を、一内閣の解釈変更でやすやすと変えて良いのか。
過去40年間に渡って世界に認められた憲法解釈を一つの内閣で変え、わずか5ヶ月の審議で11本の法律を改正したり新設させてしまうことは、あまりにも乱暴ではないか。
そして、日本の安全保障については国会での駆け引きに明け暮れるような法案提出ではなく、正々堂々と議論がなされ、より多くの国民合意がなされるべきです。
以上をもって賛成討論とします。
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