急傾斜地の町では自殺が多いという
昨年の自殺者は2万7,766人(警察庁の速報値)で、15年ぶりに3万人を下回りました。
年間3万人の自殺となると、一日あたりでは約82人。(30,000÷365=82.19)
2万7,766人でも、一日あたりでは約76人です。
世界保健機関(WHO)の統計によると、10万人あたりの日本の自殺死亡率は、男性11位(36.2人)、女性は5位(13.2人)。
これは先進国ではロシアや韓国に次いで高い数字です。
こういった状況の中、日本でも自殺予防についての研究が進んできました。
1/26の朝日新聞beでは、自殺者の多くは、アルコール依存症、うつ病、統合失調症などの精神疾患を抱えていることや、中高年で離別した無職男性と同年代で既婚有職女性の自殺率を比べたら100倍の開きがあったという統計が記事になっていました。
【危険因子】
・女性より男性(未遂者は女性が多い)
・既婚者より未婚・離別者
・有職者より無職者
・酒の消費量が多い県は自殺が多い
又、記事では、地域特性の分析として個人差だけでなく地形やコミュニティの質もその危険因子になると指摘しています。
都道府県別にみると、自殺率の低い県である徳島県(45番目/47都道府県)ですが、その県内に自殺率の低さが全国で8位のA町と、自殺率の高さが上位10位内のB町をともに含んでいます。
この両地域の差を調べるため、住民への聞き取り調査を行った所、大きな違いが出ました。
「自分のような者に政府を動かす力はない」との質問に「はい」と答えたのはA町26%、B町(自殺の多い地域)56%と無力感が高い一方、「相談や日常品の貸し借りをするなど生活面で協力し合っている人がいる」との質問に「はい」と答えたのはA町17%、B町(自殺の多い地域)44%と、地域の絆はB町(自殺の多い地域)の方が強いと推測される結果が出ました。
更に、この両地区を含み、人口密度や天候、地形との因果関係を調べた所、人の住む土地の傾斜度が自殺率と強い関係を示したそうです。
【自殺率あがる】
・傾斜度が高い(急傾斜地域)
・積雪量が多い
※上記両地区の場合もB町(自殺の多い地区)は急傾斜地でした。
【自殺率さがる】
・可住地人口密度が高い(住まいが密集)
・日照時間が長い
・海岸部に位置する
記事では、自殺率と関連した地理的特性に以上のものを挙げ、地域ごとの視点による自殺対策の必要性を訴えています。
自殺者が増える要因には、まだまだ知られていないものがあるようです。
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