執筆者に「著作者人格権の不行使を求める」世田谷区。区史編さん事業における区の進め方は果たして適切と言えるでしょうか。疑問は拭いきれません。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログは、世田谷区議会予算特別委員会での質疑より、世田谷区史編さんに関する問題です。
ちょうど、質疑予定の朝、新聞を開くと、まさにこの問題が大きく記事になっていました。なんとした偶然。以下、関連記事です。
桃野がこれまで何度も議会で取り上げてきた問題。今朝の東京新聞で大きな記事になっていました。世田谷区長は学術に対して敬意を払うべき。今日の質疑でも取り上げます→世田谷区史の著作権は誰のモノ? 区と執筆者が対立している理由とは:東京新聞 TOKYO Web https://t.co/LYpD85X0Xw
— 桃野芳文(世田谷区議会議員) (@momono4423) March 7, 2023
そして、こちらは桃野の関連ブログです。
著作者の名誉、思い入れを守るための権利「著作者人格権」を行使させないよう契約書に盛り込む世田谷区。これは執筆者に対する横暴ではないか。
これまでも議会で取り上げてきましたが、世田谷区が現在、世田谷区史の編さんを進めています。これは区政90周年を記念した本格的な区史ですが、この執筆者の皆様に対して区は著作権の譲渡契約を結ぶことを要求しています。
本来、このような取り決めは編さん事業が始まる前に為されるものだと思いますが、区史編さん事業が既に始まっている中、世田谷区は各執筆者に契約締結を求めています。
そして契約書に記されていたのは、まず著作権の移転。執筆者は著作物を区に提出した時点で、その著作権は区に移動するという内容になっています。
次に著作者人格権の不行使。著作者人格権とは著作者の名誉、思い入れを守るための権利。著作者人格権の中に含まれる同一性保持権は、著作者が作成したもの、区史で言えば執筆した文章に無断で手を入れさせない権利。執筆者が「AはBである」と書いたものを編集作業の中で「AはCである」と書き替えさせない権利ということになります。
区は既に「著作者人格権不行使を含む契約書にサインしない方には執筆させない」との姿勢を明らかにしていますが、桃野はこれまで、それぞれの執筆者と話し合って柔軟に対応すべき、つまり著作者人格権の不行使を条件にするのではなく、執筆者の文章を最大限尊重しながら「通常、出版物で行われる編集」の範囲で対応しながら区史を作っていくべきだと主張してきました。そして区は、契約の中身を各執筆者に詳細に説明して、お互いに内容をしっかりと理解した上で契約に至るべきだとも考えています。
本日の質疑では、改めてこうした内容を区に求めたのですが。
区の「著作者人格権の不行使」を求める姿勢はこれまでと全く変わらず。加えて「契約内容についての説明は適切に行っている」との主張でした。
前述の東京新聞の記事にあるように今、著作権を保護する法規制の強化、制作側の権利意識の高まりなどの流れがあります。そうした中で世田谷区の区史編さん事業の進め方は果たして適切と言えるのでしょうか。疑問は拭いきれません。
今日の質疑、区史編さんに関する部分は、以下、約7分の動画でご覧ください。
質疑全体はこちらの動画でご覧いただけます。
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