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2022-09-05

世田谷区長はタイガーマスクに憧れでもあるのかな。なぜ児童養護施設退所者のみ支援?”経済的な理由で進学できない区民”を広く奨学金の対象にすべき。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

虐待を受けた児童らが親元を離れて暮らす児童養護施設。その退所者に返済不要の奨学金を給付する区長肝いりの施策が平成28年から実施されています。

桃野は実施前から「区長案」では自立に繋がらない、制度を見直すべき、そして経済的理由で進学困難な方を広く給付対象にすべきと訴えてきました。

この事業については、根本的なテコ入れが必要だと訴えたのが昨年(2021年)の12月。以下は関連ブログです。

制度を改めるべき。学びへの意欲があるにも関わらず、何らかの理由で進学を諦めざるを得ない方々に広く支援の手が届くよう。引き続き区に提言を続けます】(2021.12.01 桃野ブログ)

制度を改めるべき。学びへの意欲があるにも関わらず、何らかの理由で進学を諦めざるを得ない方々に広く支援の手が届くよう。引き続き区に提言を続けます。

年度別の給付金額は(1表)、平成28年度11名・計372万円から、令和3年度7名・196万円まで年々減少中。そして過去、当奨学金を受給した全30名のうち中退は7名、区が不明(卒業か中退かもわからない)としている方も2名います。実に奨学金受給者の3割が中退・不明。卒業前に奨学金の申請が途切れるなら退学した可能性が高いでしょう。

 

(※受給者数は述べ人数。同じ方が複数年にわたり受給した場合、各年の欄に各1人と計算されています)

原資は公金ですから「お金を渡してあとは知らんぷり」は余りに無責任。就学をやめる理由は何なのか。区は実態を把握し対策を打つなど、中退・不明を生まぬための伴走型サポートが必要だと、桃野は訴えてきました。

そして奨学金の原資としている寄付は、過去6年間の総額2億円以上。今後も年間数千万円ずつ増えていくと見られますが、これまで奨学金に充当された寄付金は1800万円に過ぎません(2グラフ)。

 

そしてようやく区は、今年8月29日の区議会福祉保健委員会で「制度の拡充」を打ち出しました。委員会では区側から、まさに桃野が議会で指摘した問題点についても言及されています。明後日(9/7)の区長記者会見でも「児童養護施設の退所者に対する奨学金を拡充する」と発表するようです。

しかし、8月29日の福祉保健委員会の資料を見る限り、どうも今回の「拡充」も中途半端。

最大の問題は、あいも変わらず奨学金の対象を「児童養護施設退所者」に限定している点です。児童養護施設の退所者以外にも、経済的理由で進学を諦めざるを得ない方はたくさんいるはずです。なぜ、そこには手を差し伸べないのか。上記のグラフでも明らかですが、ありがたいことに多くの寄付を頂き、お金は潤沢にあるのです。

区長の「児童養護施設退所者」へのこだわりは、桃野には全く理解できません。タイガーマスクへの憧れでもあるのでしょうか。世田谷区長であれば、”経済的に困っている世田谷区民”に平等に支援をすべき。

今回の「支援拡充」には、過去一時的にでも児童養護施設で過ごし、家庭復帰した者も対象だとしています。以下、区の資料(2022.08.29 福祉保健委員会)より。色は桃野が付けました。

児童養護施設の退所者を支援することは大事。しかしその中身を真の自立につながるものにしなければ、単に区長の「良いことやってます」アピールで終わってしまいます。

そして対象者は適切なのかということ。「一時的に児童養護施設で暮らしましたが、今は家庭に戻っています。大学に行きたいです」という方が支援対象で「児童養護施設で暮らしたことはありません。家庭は困窮していて進学できそうにありません。でも大学に行きたいです」という方が支援対象ではない。

区長はこの違いを一体どのように考えているのでしょうか。

 

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