農のある風景を次世代に
今日は世田谷区内で農業を営む方と意見交換。
以前にブログでもお伝えしましたが、世田谷区内の農地面積、農家戸数は減少の一途。
平成元年と平成23年を比べると、区内経営農地は60%減少の110ha、農家戸数は44%減少の380戸となっています。
一方、区民意識調査をみると、区内農地を「残した方が良い」という答えは実に87.8%。
ほとんどの区民が「農のある風景」を次世代に残して行きたいと考えていることがわかります。
そのために何をなすべきか。
今日は机上を離れて、農家の方との意見交換を行いました。
話の中で、多くの時間が費やされたのはやはり相続の問題。
・後継者がいない(子どもが継ぎたがらない)
・相続人が複数いる場合、土地を分割しなければならない
・結果、農地を売ってしまったり、マンションに変えてしまう
やはり根本にあるのは「農業が魅力的な職業になりうるか」ということ。
労働負荷と収入(利益)が選択しうる他の職業よりも魅力的か。
つまり「仕事はきついけどちっとも儲からない。農家を継がずに会社に就職した方がいい」となってしまう。
世田谷区では「保有する農地の一部を残してマンション経営に切り替え、小規模・兼業で農地経営をする」という形が、今は主流になりました。
農地が30ha以下という小規模農家がほとんどになってしまった世田谷区では、大量生産で利益を生むことは困難です。
点在する農地は集約して規模拡大を図るのも難しい。
結局、庭先などに無人直売所をつくって野菜を売ることで、生活して行けるかどうかという問題になってしまいます。
このような状況の中で農地を保全して行くためには、従来の農業の枠を超えた役割、機能を担ってもらう事も考えなければいけないのではないでしょうか。
「従来の農業ではやっていけない」という農家においては、やがて「全ての土地をマンションに」となってしまうかもしれません。
・福祉の農業
例えば、障がいをお持ちの方など、通常の就労が難しい方の福祉的就労の場としての農業
・就労支援の農業
仕事がなく、行き場を失ってしまった方の社会復帰のステップの場としての農業
・教育の農業
理科、社会、算数、食育など幅広く実践的教育を行う場としての農業
本日は、平素考えているアイデアをもとに、色々な質問をさせて頂きました。
農業に公的機能を担って頂くために、公的部門はどのような連携ができるのか。
農家の皆さんにどのようなメリットがあれば、公的役割を果たしてもらうことができるのか。
意見交換の中で、たくさんのヒントをいただきました。
どうすれば農地の減少に歯止めがかかるか。
まだまだ考える事ばかりですが、これからも引き続き取り組んでまいります。
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