”書き換え”があれば、履歴が残るシステムを。信頼性のある公文書管理が必要です。今は「紙」の管理ではないのだから加筆修正の記録を残すのは容易いはず。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログも、世田谷区議会予算特別委員会(福祉保健委員会所管質疑)より。
2)「生活保護のケース記録の扱いが不適切。要改善を」のご報告です。
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役所は「文書でできている」と言っても良いくらい。
行政機関にとって文書は大切です。事実を正確に記録し文書(電磁的記録も含む)に残すということが、役所の仕事の大きな部分を占めており、それは政策決定に至る過程や責任の所在を後に検証する為にも必須の資料。
例えば、何らかの理由で経済的に困窮し、役所に相談に訪れた区民が居たとします。生活保護を受けることになればその相談記録は以下の役割を果たすことになりますから、必要な事実を記録し役所としての責任を明確にしておかなければなりません。
ア)保護決定の根拠および適用の過程を客観的に明確に示すこと。
イ)被保護者の正確な生活実態の把握を継続的に維持し、常に処遇の適否を検証する資料とする。
ウ)アおよびイによる客観的資料の整備は不服申し立て等があった場合に重要な根拠資料となる。
エ)現業員の業務活動の公的報告書となる。また、指導監督の資料として活用される。
オ)実務訓練の資料として利用され、保護に対する担当者の反省の資料となり、必要な保護の是正と自立助長のための援助の方向を見出すことを可能にする。
(「新福祉事務所運営指針 全国社会福祉協議会」より引用)
このように大切な公文書、ケース記録が、世田谷区では非常にいい加減に作成されているという問題が明らかになりました。
以下一例を挙げます。ある区民が自身のケース記録を情報開示請求により取得したところ、以下のような記述になっていました。(桃野は相談を受け紙資料を確認済み)
先ず、更新日と記載内容が整合しないケースがある。以下は簡易に再現したケース記録ですが、最終更新日が11月26日となっているにも関わらず、12月7日のことが記載されています。しかもこれは電話連絡に関するケース記録であり、通常一つの出来事に対して1枚の記録が作成されるはず。しかし12月7日の件は電話連絡ではなく、面会の上で書類を受領した旨の記載です。
さらに、この一枚先に綴られたケース記録が以下。上記の文書を見ると、後から12月7日の出来事が書き加えられていますが、12月3日の文書と日付の逆転が起きています。
区側との質疑の中で明らかになったのは、ケース記録については、更新日も決裁日も手動で書き換えることができる上、書き換えた際の履歴(どこを誰がいつ変えたか)が残ることもないということ。
そもそもケース記録の作成の仕方も不適切ですが、書き換え記録する残らないというのでは、公文書としての信頼性が揺らいでしまいます。
例えば、桃野がこれまでDV支援措置について取り上げてきた際の経験でも、相談に訪れた区民と対応した区職員の言い分が異なること(仕組みについて正しく説明をしたのか否か)がありました。そうしたことからも、日付も含めて相談の経緯を正確に記録するのは当然のことなのです。
今回、区側からは「客観的資料としての信頼性向上の観点により、決裁後の修正については経過状況の記録を行うことを明確化するなど、記録法の改善の検討を行う」との答弁がありました。
上記のような時系列に沿った記録であれば、決裁前であっても、加筆修正の記録が残るようにしなければいけないのではないでしょうか。決裁までの時間がかなり長くなってしまっている文書もありますし。
かつては「紙」の管理であった公文書管理ですが、今は電磁的記録で管理されるものがほとんど。そうであれば、加筆修正の記録を残すのは容易いことです。引き続き区の公文書管理については提言を続けていきます。
質疑の様子は、以下の動画でご覧ください。2分39秒まで早送りしたところから本ブログの内容に入ります。
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