80歳代の親に50歳代の「ひきこもり」の子ども。いわゆる8050問題。現在も相談窓口がありますが来年4月には新たな取り組みも始まります。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
最近話題のこの本、「小説8050(林真理子著)」。ストーリー展開にスピード感があり、続きが気になってなかなか閉じられない本でした。結果、時間を忘れて読んでしまい、あっという間に読了。
小説8050。いわゆる「ひきこもり」がテーマ。親への激しい暴力シーンもありこういう事が実際に起きてるのだ、当事者たる方々がいるのだと思うと苦しい。でもこうした問題の渦中にある家族にも必ず救いはあるとのメッセージが込められていたと思う。続きが気になって中々閉じられなかった。良い作品。 pic.twitter.com/xg4fbT6uS8
— 桃野芳文(世田谷区議会議員) (@momono4423) June 29, 2021
この小説がテーマにしているのは世に言う「8050問題」。これは80歳代の親に、ひきこもり状態(就労もしていない、かと言って学校に通っているわけでもない)の50歳代の子どもがいる、この50歳代の社会的自立をどう促していくかという問題です。
親からすれば、自分のこの先の人生が長くないと感じる中、自分が亡き後、ひきこもりの我が子はどうなってしまうんだろうという不安を感じるでしょう。そしてもちろん、ひきこもっている当人にとっても、親亡き後の自分の人生に不安を感じないはずはありません。収入は親の年金だのみというケースもあります。
2019年6月、親がひきこもり状態にある我が子を殺める事件が起き、又その親が元農水省事務次官だったこともあり、世間の耳目を集めました。
【44歳ひきこもりの息子を殺害…元農水次官77歳はなぜ「無罪」を主張したのか】(文春オンライン)
元農水省事務事件による殺人事件では家庭内暴力の問題があったと報じられていますし、小説8050でも親への激しい暴力シーンが出てきますが、ひきこもりは必ずしも家庭内暴力を伴うものでは無いこと、そしてひきこもりと言ってもその状況は様々で、当事者の中には、部屋からほとんど出ず家族とも殆ど話さない人もいれば、身近な人とは話す人、コンビニや理髪店など決まったところには外出する人もいます。ひきこもっている人は即ち犯罪者ではないし、必ずしも犯罪者予備軍でもないということは書き添えておきます。
さて、世田谷区では来年3月に「世田谷区ひきこもり支援に係る基本方針」を策定することになっており、現在は「世田谷区ひきこもり支援に係る基本方針(案)」が作成されている状況。今後はこの基本方針案を踏まえて、様々な取組みが進む予定です。
例えば、「(仮称)ひきこもり相談窓口」 の開設。
これまで自立相談支援、就労相談支援を行っていた「ぷらっとホーム世田谷」と、ひきこもり等の様々な理由から社会との接点が持てず、社会的自立に向けた一歩を踏み出すことができないなど、生きづらさを抱えた若者への支援を行なっていた「メルクマールせたがや」の両支援機関を、三軒茶屋駅近く(太子堂4-3-1)に令和4年4月を目途に移転し「(仮称)ひきこもり相談窓口」を開設します。この相談窓口は40歳以上のひきこもりも含めた相談窓口に位置づけられる予定です。
尚「ひきこもり相談窓口」は現在(仮称)となっていますが、これは「ひきこもり相談」という名称が、当事者の心理的な障壁となるのではないかという考えから。今後、当事者や関係者からの意見を踏まえてその名称が慎重に検討されることになっています。
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