新型コロナワクチンは世界争奪戦の様相。途上国も含めた公平な分配は可能か。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
日経新聞が本日(1/28)、一面トップで報じています。英製薬大手アストラゼネカは日本で新型コロナワクチンを量産するとのこと。日本国内での生産量は9000万回分。ワクチンの安定調達に繋がる動きとして期待されます。
アストラゼネカが、日本向け新型コロナワクチンの75%にあたる9000万回分を日本で量産準備。日本のメーカーと組んで一定量を確保し、供給遅れを防ぐ狙いです。#日経特報https://t.co/feumutmG0M
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) January 27, 2021
現在、新型コロナ収束への大きな武器として、世界各国でワクチン接種が始まっていますが、その裏返しとして「争奪戦」が繰り広げられているとの報道もあります。上記日経新聞では、以下内容を報じています。
・世界でワクチン争奪戦が表面化している。欧州連合(EU)はEUで製造したワクチンの域外への輸出の規制を検討している。アストラゼネカのコロナワクチンは海外では供給が計画通りに進んでいない。日本政府はアストラゼネカと契約した1億2000万回分のうち、3000万回分は3月までに輸入する考え。
(引用以上)
以下は1月28日の読売新聞。
・欧州では供給の遅れも指摘されているワクチンの確保を巡り、「争奪戦」の様相を見せ始めている。欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会は25日、EU域内で製造されたワクチンを域外に輸出する際、企業側に申告を求める管理制度を打ち出した。ワクチンの輸出規制にもつながりかねないと、ジョンソン英首相は26日の記者会見でEUを牽制した。
・既にワクチン接種を開始した英国はアストラゼネカのほかファイザー製のワクチンも使用しておりEUが輸出規制に踏み切る事態に懸念を強める。
・世界保健機構(WHO)によるとワクチン接種を開始した50カ国のほとんどは高所得国で、ワクチン供給の75%は10カ国に集中する。ワクチン確保を巡り「世界的な競争が起きている」(米紙ニューヨーク・タイムズ)との指摘もある。
(引用以上)
以下は1月28日の朝日新聞。
・欧米で実用化した米ファイザー・独ビオンテック製のワクチンは85%、米モデルナ製は全てを先進国に確保された。
・世界で投与されたワクチンは約7100万回。このうち米国が3割超、中国が約2割、英国が約1割、イスラエルを含めた上位4カ国で7割を占める。
・国の貧富に関わらず。ワクチンの共同購入で、公平に分配する仕組みはある。WHOなどが主導する「COVAX(コバックス)ファシリティー」は年末までに20億回分を確保し、参加国の人口の最大2割に届ける構想を描く。しかし、先進国や中進国が競って製薬会社と直接契約を結ぶため、価格が上がり、COVAXに必要量がまわらない恐れが出ている。
(引用以上)
報道からは、世界規模でワクチンの争奪戦が起きており、経済的に弱い「途上国」が置き去りにされている姿が見えてくるわけですが、上記朝日新聞は、こんなことも報じています。
・国際商業会議所(本部・パリ)が25日に公表した研究では、先進国での接種を優先して途上国で接種しない場合、世界経済は今年だけで最大9.2兆ドル(約950兆円)の損失を被る。先進国がワクチン接種で感染拡大を抑えても、貿易相手の途上国の感染が収まらなければ、結局は先進国の経済活動にも悪影響が及ぶ。
(引用以上)
ワクチンの地球規模での公平な分配は、人道的見地のみならず、経済合理性という観点からも進められるべき施策だということになります。
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