世田谷区長の新型コロナ対策。4億円ものお金をかけて、意味のないことをやってはいけない。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
今日のブログも先の区議会一般質問より。
「保坂区政における新型コロナウイルス感染症対策について」
今回、3つのテーマで質問しましたが、他の2テーマについては以下の関連ブログを参照ください。
【またもや。DV被害者の住所情報が加害者に漏洩。しかし「絶対に謝らない」世田谷区長】(2020.09.16 桃野ブログ)
【世田谷区長、政府や国会に対してワーワー威勢のいい事を言うのではなく、区長としての仕事を】(2020.09.21 桃野ブログ)
質問の様子は動画でもご覧頂けます。全体で30分ほどですが、「全部を観る時間は無い」と言う方は 23分18秒まで早送りください。そこからの7分間ほどが見所だと思います。動画はこちらから↓
これまで世田谷区長は新型コロナ感染症対策として「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」とテレビや雑誌で喧伝をしてきました。例えば8月18日発売のサンデー毎日では「GO TO トラベル」をあてこすり「GO TO PCRだ」として、以下述べています。
PCR検査の検査能力を3,000件まで増やし社会的検査を充実させたい。介護、保育、教育など人との接触回避が困難な職種、エッセンシャルワーカーに先回りして定期的検査を実施、施設が発火点になる感染爆発、拡大を防御する。検査のハードルをぐっと低くする、もしくはなくしていく。最終的にはニューヨークのように「いつでも、誰でも、何度でも」検査できるようにしたい。
一方で、区長が議会に示したのは「社会的インフラを継続的に維持し、重症化を避ける」ことを目的として、区内高齢者施設や障害者施設で働く方など約26,000人を対象に23,000件、9月中旬から1月下旬の期間で検査するという羊頭狗肉の施策でした。
羊頭狗肉。つまり対象者をかなり絞り込んだ上、且つ「いつでも」でもなく「何度でも」でもありませんね。26,000人を対象に23,000件。これに投じる予算は約4億円です。
区長は「新型コロナに感染しているが無症状」という方をいち早く見つけ出して、施設から隔離することを目的としてこの検査をしたいようですが、区内の施設で働く方、それも無症状の方を対象として、ぐるっと一周検査することが、その目的と合致した施策なのでしょうか。
9月10日の臨時企画総務委員会では、区側がこれを「定期的な検査」と説明しましたので、私がその意味を問うと、宮崎副区長は以下内容の答弁をしています。
議会とも相談する中で、定期的にやらないと意味がないという声を受け止めた。PCR 検査を受けない施設、受けない従事者がいるかもしれない。まだ流動的。まず考え方として定期的とさせて欲しい。延べの回数は予算の問題になる。件数を言わないと数字の根拠にならないから、この表現としたが、回数は今答えられる状況にない。
「考え方として定期的とさせて欲しい」って・・・。つまり現時点では、とても定期的な検査と言えるものではないということでしょう。対象者と検査数からすれば、一回きりにならざるを得ないこの検査が、なぜ社会的インフラを継続的に維持し、重症化を避けることに繋がるのでしょうか。
そして「検査を受けない施設、受けない従事者がいるかもしれない」とも言っていますがこれもおかしな話。区の言うようにこれが「社会的インフラを継続的に維持し、重症化を避ける」ための検査なら、対象者は漏れなく検査を受けなければならないはずです。
この矛盾だらけの施策、つまりは、区長がテレビ等で「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」と喧伝した後、それはできないとなり(そんなこと、普通は最初からわかると思いますが)変形した挙句、おかしな施策となってしまったということ。
目的と手段が繋がっていない施策に4億円もの税金を投じてはいけません。今は保健所の機能強化や従来型のPCR検査の拡充、各施設での感染防止策の支援にこそ予算を割くべきです。
桃野の質問に対して区側の答弁は、以下内容でした。
検査の回数や実施期間については、陽性者が発生した施設については優先的に複数回実施するなど各施設の状況に応じて優先順位を設けながら実施することにより、検査回数の確保や実施期間の短縮に努める。
社会的検査は、重症化の回避やクラスター化の抑止を目的として、感染者または感染疑いのある方に接触した可能性が高い職員に対する早期対応の視点も加え、介護事業所を皮切りとして段階的に実施する計画。
つまり、桃野の指摘を受け止めずこの施策を押し進めていくとの答弁。このままでは4億円ものお金が無駄に使われてしまいます。
ということで、この後、桃野が企画総務委員会で「予算の組み替え動議」を提案(対案を出す)することに繋がっていきます。
先程、企総委員会で動議を提案。区長の言う「社会的検査」に反対、その予算4億円は従来型のPCR検査拡充、高齢者施設等での感染拡大抑制策の支援等に向けるべしと主張したが、否決。私以外(自民、公明、立民・社民、あらた、都民F、青空こうじ議員)は、社会的検査含めて補正予算丸飲みで賛成。残念。 pic.twitter.com/fnO7blSSGa
— 桃野芳文(世田谷区議会議員) (@momono4423) September 18, 2020
残念ながら、組み替え動議は他会派からの賛同を得ることができずに否決。そちらについては以下のブログでご報告しています。
【補正予算の組み替え動議は残念ながら否決。区長のいう”社会的PCR検査”は実施へ】(2020.09.18 桃野ブログ)
この施策については、本日(9/23)の福祉保健委員会でも議論となっています。我が会派各議員の力をあわせ、少しでもこの施策を方向修正できるよう、引き続き議会から提案を続けていきます。
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