保坂区長の「誰でも、いつでも、何度でもPCR」はどこへ?こんなところに着地するよう。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日の企画総務委員会にて、今定例会で議決される補正予算案にある「世田谷区におけるPCR検査体制と社会的検査の概要」が示されました。以下はこれまでの経緯など参考ブログ↓
【世田谷区長の「誰でも〜PCR 」はどこへ向かっている?本日の委員会でも反対意見が噴出!】
世田谷区長が「誰でも、いつでも、何度でも、PCR」とぶちあげたものが変転に次ぐ変転で以下のような案となって議会に示されました。
①感染症の疑いがある有症状の方や濃厚接触者のPCR検査の拡充。これに8億5千万円。これは従来型の検査の拡充ですね。この部分について世田谷区議会で目立った反対の声はありません(少なくとも桃野は聞いたことがない)
②は区長が「社会的検査」と言っているもの。概算経費は4億1,400万円。介護事業所、障害者施設、一時保護所・児童養護施設等、保育園、幼稚園を対象事業所にそこで働く人を全員検査しようというもの。(強制的に検査するわけではありません。手挙げ方式です)
■2020.09.10企画総務委員会資料より
②は、資料中段に記載がありますが「9月中旬〜10月下旬」は既存の予算で行うとしており、これが約6,600万円。つまり②全体で約4億8,000万円の予算が投じられます。
今回、区側から提示された施策の肝心部分は「定期的に実施」と言い始めたところ。これまで一回こっきりのPCR検査に4億円。その目的が「社会的的インフラを継続的に維持し、重症化を避ける」というのはおかしいのではないか。一回きりの検査に何の意味があるのかという意見が相次いでいたことによる変化だと思われます。しかし、資料を見て分かる通り、介護事業所・障害者施設での従事者が15,000人。検査件数は17,000件。手挙げ方式なので検査を受けない方もいるだろうということはありますが、この検査件数で「定期的に検査」などできないでしょう。本日の委員会で「定期的」の意味は?と問いましたが、副区長の答弁は以下内容。
議会とも相談する中で、定期的にやらないと意味がないという声を受け止めた。PCR 検査を受けない施設、受けない従事者がいるかもしれない。まだ流動的。まず考え方として「定期的」とさせて欲しい。延べの回数は予算の問題になる。件数を言わないと数字の根拠にならないから、この表現としたが、回数は今答えられる状況にない。
定期的と言えば、○日に一回、×週間に一回、などの期間を定めて検査をすることを示すのが普通だと思いますが、区の計画では「定期的」というのは考え方として示したというだけで、その中身は不明ということがわかりました。これは「定期的」とは言わないでしょう。。。
そして(3)で「介護事業所等で働く方のうち、感染者又は感染疑いの方に接触した可能性が高く、かつ、感染への不安がある職員(濃厚接触者以外)」は優先的に検査をするとしています。これが又よくわからない。今日の区側の説明によると以下の計画らしい。
例えば。
施設で働くAさんが「私は、感染したかも。不安なので検査したい」と検査を希望してきたとします。ただAさんが「不安に感じている理由は言いたく無い。プライバシーは守りたい」と主張した場合は、検査の対象になりません。
一方で、施設で働くXさんが「私は、昨日、大人数でドンチャン騒ぎしちゃったんです。感染が不安なので検査したい」と検査を希望してきた場合は検査対象になるそう。
もちろん、Aさんの検査もXさんの検査も税金を使っての検査。
*もちろん施設で働く多くの方が、感染に注意して生活されていると思いますが、様々な事例を想定するための質疑です。
無症状で、濃厚接触者でも無くても、施設で働く方は検査を受けてください。ただし基本的には一回こっきりの検査になる人が多数。これで目的が「社会的インフラを継続的に維持する」というのはおかしい。そしてその経費は4億円です。②の検査は、もう目的を見失っているばかりではなく、制度設計の細部にも杜撰な点が色々と目に着きます。
世田谷区長が喧伝してしまった「誰でも、いつでも、何度でもPCR」を無理やりに、形が激変してでも押し通そうとするのではなく、保健所の体制強化や、従来型のPCR 検査体制の拡充、さらには各施設でクラスター対策に要する費用を補助するなどにお金を使った方がよっぽど有益では無いでしょうか。②については予算の組み替えが必要だと考えています。
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