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2020-08-01

感染症対策の専門家、押谷仁教授から学ぶ。「国民全員PCRをやっても感染は制御できない」

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

新型コロナウイルスのPCR検査について。ここ数日、世田谷区長が「世田谷モデル」として実現したいと、テレビ等で発信している施策について多くのご意見を頂いています。

世田谷区長曰わく「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」だそう。それも自己負担は無し、その費用の全ては皆さんの支払った税金で賄うと。以下、参考ブログです。

「誰でも、いつでも、何度でも」PCR検査だって!?世田谷区長が喧伝する施策は真っ当か

桃野の主張を誤解されている方もいらっしゃるようなので、ここでも繰り返し述べますが、PCR検査体制を拡充することには桃野も賛成です。そして、これは国も東京都も言っていること。しかし、検査はその対象に優先順位をつけて行われるべきで、世田谷区長の喧伝する「誰でも、いつでも、何度でも」などというのは全くの見当違いです。

当然ながら、医療資源は限りあるもの。現在、病院も保健所も疲弊しています。その中では、症状のある人、感染の可能性のある人、感染リスクの高い人から検査するのが当たり前。「無症状、感染の覚えもない、だけど念の為に検査を受けたい」というだけの人も含めて「いつでも、何度でも、費用は税金で、検査を受けられるようにします」と、それも具体的な策も財源も決まってない中でテレビでそれを喧伝する。そんな愚挙は行政組織のトップとして絶対にやってはいけないことなのです。

先ず、今そこに医療資源を投入していいのかということ。次に、コロナ対策にはお金がいくらあっても足りない状況で、ほとんど感染の可能性のない方の検査を、皆さんが一生懸命納税したお金で賄っていいのかということ。そもそもそんな莫大な財源は世田谷区にはありません。世田谷区長は”目だとう精神”だけでベラベラ喋るだけでなく、そこを真剣に考えて欲しいのです。

以下は感染症対策のプロ中のプロ、東北大学の押谷仁教授のインタビュー。こうした専門家の指摘を世田谷区長は真剣に受け止めて欲しい。

【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスクとの向き合い方】(ニューズウイーク日本版)

詳細は、上記のサイトをご一読いただきたいのですが、以下にその一部を抜粋。押谷教授曰わく、

・メディアがPCR推進派と抑制派という二項対立をつくったことが問題だ。尾身茂先生をはじめ、われわれ専門家会議は初めからずっと、PCRを拡充すべきと言っている。

・PCRは一気に増やすのではなく慎重に拡充しないといけない。アメリカでは多くのPCRキットを十分に精査せずに承認したことで、PCRが混乱の極みになってしまった。

・みんな心配だからと検査センターに集まってくると、そこで3密状態になる。だが、「心配だから」と来る人の大半は感染していない。今の東京も市中の感染リスクは非常に低い。感染リスクがあるのは、一部の盛り場や医療機関。感染リスクの低い人たちを含め多くの人が医療機関や検査センターに殺到することは絶対に避けなければいけない。

・80%近くの人は誰にも感染させていないことが分かっている。十数%は1人にしか感染させていない。ごく一部の数%の人だけ、例外的に非常に多くの人に感染させる。だからこのウイルスは広がっている。つまり、大多数の誰にも感染させない人をいくら見つけても感染制御にはあまり意味がない。

・例えば国民全員PCRを毎日、2週間続けたとしても、今日陰性だった人が明日陽性になるかもしれず、その人は既に誰かにうつしているかもしれない。だから結局、国民全員PCRをやっても感染を制御できない。

・今その辺で歩いている人たちを、ちょっとPCRしませんかと、献血に協力してくださいというような形でやったとしても、これは感染している確率の非常に低い人たちに検査をするということになる。

・新宿区は、ホストクラブの関係者を広く濃厚接触者と見なし早期に検査する方法を取っている。その方法は、ある程度感染している確率の高い人たちへの検査。そのような人たちの間で陽性者を見つけることができれば、周りの感染連鎖を追うことができる。

(引用以上)

押谷教授の指摘は至極もっともです。仮に「誰でも何度でも無料で検査をどうぞ」と莫大な費用をかけてPCR検査をしても感染制御にはなりません。今はPCR検査体制の拡充を図ることと並行しながら、そのキャパシティを見て、感染の可能性のある人、その濃厚接触者、感染リスクの高い人から検査を進めていくべきです。

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