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2018-09-25

世田谷区長の「自身の大失態を認めたくない」という、その態度がDV被害者に大きな不安、強い恐怖を与えている。

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世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
今日のブログも桃野の一般質問より。
これまで取り組んできた「DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者等支援措置」について、引き続き議会で取り上げております。
発端となった事件は、平成28年9月に起こりました。
過去ブログ参照ください)
区は、元夫から逃れようと支援措置を受けていたAさんの住所を元夫の弁護士に渡してしまいました。Aさんが事前に「元夫の弁護士が住所を取りに来るかもしれない」と区に注意を促していたにも関わらず、です。
その後、桃野は、世田谷区の支援措置には問題がある旨、再三指摘をし、改善を求めてきましたが、その過程でまず明らかになったのは区長の支援措置に対する無理解でした。
制度を知らないのも問題ですが、さらに保坂展人世田谷区長は、DV被害者という社会的弱者に対して非常に厳しい姿勢をとっています。
加害者から逃れようと身を隠しているDV被害者からすれば、自分の居場所を加害者側に知られてしまうのは大変な恐怖でしょう。総務省は、支援措置制度を通じて「被害者の住所が加害者側に渡らないような住民基本台帳事務」を自治体に(例えば世田谷区)求めています。
ところが、桃野が本件を最初に議会で取り上げた後、平成29年9月の記者会見で、本件について質問を受けた区長はこう答えています。
「DV加害者の弁護士からの申し出はDV加害者の申し出とイコールではない、イコールと捉えていたら、住民票を出す訳がない」
この発言を聞いて桃野は「保坂区長、全く制度を理解していないな」「この見解で世田谷区の行政が進めば大変まずいことになる」と心配になり、この区長発言直後の本会議で「区長の発言は区の見解として正しいか」と区側に質問しました。
この時点で桃野は「区は区長発言を訂正するだろう。支援措置制度について行政は理解しているはず」との思いを持って質問をしていたのですが、当時の本橋地域行政部長は「DV加害者の弁護士は法に定められた代理人であり、DV加害者と同一であるとは考えてございません」と答弁し、11月29日の本会議では岡田副区長も「加害者と加害者側弁護士とは同一とはみなしておりません」と答弁しています。
DV被害者の住民票の写し(住所情報)は、加害者に渡してはいけない。一方で、加害者が弁護士に依頼すれば、一転してOKになってしまう。それはおかしいですよね。
総務省は、各自治体に向けて「住民基本台帳事務処理要領」で「DV加害者の依頼を受けた弁護士からの申し出はDV加害者からの申し出と同視して対応せよ」としています。桃野はこれを示しながら区に「住民基本台帳事務処理要領に沿って正しい事務を行うよう」指摘してきましたが、区長も区も一向にDV加害者の弁護士は法に定められた代理人であり、DV加害者と同一であるとは考えない」との見解を改める気配がありません。
そんな中、今年の3月28日、総務省が通知を出します。
区の対応が報道されたことと無関係ではないでしょう。この通知の中で総務省は「DV等支援措置に関し、加害者の代理人弁護士から住民票の写し等の交付の申出があった場合は、加害者本人から当該申出があったものと同視して拒否せよ」と改めて明確に示しています。
何度言われたらわかるんだ世田谷区は、って話ですねこれは。
桃野は、いくらなんでもこれで区長は認識を改めるだろうと思っていたのですが、今年6月4日の区長記者会見でこの通知について問われた区長は、今度は「総務省の通知は技術的助言であって参考にはするが、どのような対処をするかは自治体の判断だ」と言い始めました。
これまで議会(3月22日の予算特別委員会)でも例示していますが「DV加害者に依頼を受けた弁護士からの住民票の写しの申し出」を拒否した橋本市が訴えられた裁判では、橋本市の勝訴が確定しています。判決の中で「支援措置の運用に関して国が定める事務処理要領は、その定めが明らかに法令の解釈を誤っているなど特段の事情がない限り、市町村長はこれにより事務処理を行うことが法律上求められているといえる」と示されています。
ここまで、事細かに説明しても、あくまでも「自分のやったことは間違いではない」と主張し、どこまでも逃げようとする保坂区長の姿勢は大変見苦しいものですが、保坂区長の見苦しさはさておき、ことの本質は「こんなことを許しておけば、世田谷区民は支援措置を受けることができなくなる」ということにあります。
区のこれまでの見解
「DV加害者の代理人弁護士からの住民票の写し等の交付の申出は、必ずしも加害者本人からの申出とは同視しない、申し出への対応は個別にケースバイケースで判断する」
が、今後も維持されるのであれば、DV被害者は加害者側に住所が渡るリスクを恐れ、区に正しい住所を届け出て支援措置を受けるという選択ができないでしょう。居住実態と異なる場所に住民票を置いたまま、どこかで息を潜めて暮らすとなれば、国民健康保険の加入、各手当の受給、就学や就職、選挙などで様々な不都合が生じます。落ち度のない被害者であるにもかかわらずです。
 世田谷区長、世田谷区は「本件は加害者の代理人弁護士からの申出を加害者からの申し出と同視しなかったことからの対応であり間違いであった。これからは、DV等支援措置に関し、加害者の代理人弁護士から住民票の写し等の交付の申出があった場合は、加害者本人から申出があったものと同視して拒否する」と明言し新たなスタートを切るべきだと迫りました。
ところが、今回の区の答弁も、DV被害者を守ろうとする立場からは程遠いものでした。
まず総務省の通知について。区長がおかしな事を言い始めてしまったので役所もそれに従うしかないということなのでしょうか。結局は何を言っているのか良く分かりません。
以下区側の答弁。
・技術的助言とは、地方自治法に基づき、国が地方自治体の事務に関し、地方自治体に対する助言として、客観的に妥当性のある行為を行い又は措置を実施するよう促したり、又はそれを実施するために必要な事項を示したりする通知を発することができる、とされているもの。
・技術的助言や通知といったものは、法令としての効力があるものではないが、国から、技術的助言として通知等があった場合には、特段の事情のない限り、その内容に沿った事務を行っていくことを基本に、状況に応じて自治体として必要な判断を行っていくものと考えている。
・特定事務受任者(弁護士等)からの住民票の写し等の交付については、住民基本台帳法第12条の3において、受任している事件又は事務の依頼者が、自己の権利を行使するため住民票を確認する必要がある場合には、当該受任者に対し住民票の写し等を交付することができる、と規定されている。
・一方、本年3月28日付の通知は、加害者からの依頼を受けた弁護士からの住民票の写しの交付の申出があった場合には、加害者本人から申し出があったものと同視し、請求を拒否すること等を示したもの。
・区としては、これからもDV被害者の方の心情に寄り添うことを基本に、交付については法令に従い、個々に慎重に判断すべきものと考えるが、技術的助言の発せられた背景を鑑み、事務処理要領や通知等十分に踏まえながら、細心の注意を払い、適正に住民基本台帳事務を遂行していく。
桃野からは
・技術的助言については、区長の考えは区の考えと違うということでいいのか?
と突っ込んだですが区は答えず。「先の答弁の通りだ」とのこと。
・世田谷区長、区が「DV加害者の代理人弁護士からの住民票の写し等の交付の申出は、加害者本人からの申出とは同視しない」と言ってきたのは間違いだったと認めるのか。
とも突っ込んだのですが、区は「法令に基づいての答弁で間違いではない」という趣旨の繰り返し。
これまでの経緯を振り返れば「世田谷区がDV被害者の住所をDV加害者の弁護士に大した審査もせず安易に渡してしまった」大失態は明らかです。
にもかかわらず、区はこれを「間違っていない」とする態度。これが支援措置を根本から揺るがし、多くの支援措置対象者に不安、恐怖を与えている状況です。
これをこのまま放置しておくことは絶対にできません。
■質問の様子は以下の動画をご覧ください。

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