行政の「節操なきお金集め」は皆様の厚志を裏切ることになるのではないか。「税を徴収する上、寄付も募る」ということ。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
又、世田谷区がクラウドファンディングの手法でお金を集めるようです。
過去世田谷区は
・宮坂区民センターの敷地に設置している古い世田谷線の車両の再生
・馬事公苑界わいのまちなみ整備
・大蔵運動場陸上競技場スタンドの改築
などについて、寄付を集め、実際に事業を行っています。
今回は「大蔵運動場陸上競技場スタンドの改築・第二弾募集」ということで、寄付の目標金額は4,000万円。
改めてここでも記載しておくと、前述の過去のものも含めて、世田谷区が募る寄付は厳密に言うと「みなさんの寄付でその事業を行います」というものではありません。
例えば、競技場のスタンド改修は、年度当初の予算で予算化されているもの。
寄付が集まろうが、集まるまいが行政が立てた計画通りに、一般会計予算(皆さんの税金)からの支出でスタンド改修は行われます。
これ、寄付をされている方、みなさん知っているのかどうか不安。区が寄付を促すパンフレットやインターネットサイトにもそういう記載はないし。まずは寄付をされる方が勘違いしないようにしっかりと情報公開をするのは前提でしょう。
その上で、もう少し区長並びに区役所の皆さんに考えてもらいたいのは、税の使途に対する原則です。
そもそも行政(例えば区役所)は、やるべきこと、やらなければならないことを厳しく精査して、限りある税金の使い道を決めるのが基本原則。税金を使ってやるべきことは、やる。税金を使ってやるべきことではない、ことはやらない。
行政が寄付を募るというのは、そこを曖昧にしてしまうのでは、という懸念があります。
・学校を改築します。子ども達のために寄付をお願いします。
・震災対策の備蓄をします。みなさんの安全のために寄付をお願いします。
・1期目は「受け取らない」と宣言した区長退職金だが2期目は受け取ることにしたのでその分の寄付を募ります。
やろうと思えば、何でもかんでも寄付を募るテーマにできてしまうということ。
様々な施策のためにお金が欲しい、クラウドファンディングという流行りの手法を使えばお金が集まる。区はそう考えているのでしょう。それは、そうかもしれません。寄付をいただけるということ自体は非常にありがたいことです。
でも、世田谷区役所は「寄付をいただく」という重みをきちっと受け止めているのでしょうか。
すでに予算化されている事業であるにもかかわらず「これを掲げれば多くの方が寄付してくれるのでは?」と安直に考えてはいないか。
昨日の委員会では、そうした話もしながら「どういった事業をクラウドファンディングの対象にするのかなど考え方を示して欲しい」と問いかけましたが、区側からは「寄付文化の醸成のためにやっている云々」と的の外れた答弁の他には「これから考える」といった答弁しか帰ってきませんでした。
行政の「節操なきお金集め」は多くの方々の厚志を裏切ることになるのではないか。
「税を徴収する他にも、寄付を募る」ということについて、区として先ずはどういうものが対象になるのか、どういう理由で対象になるのか、しっかり示すべきではないかと考えています。
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