これまでの延長線上では絶対に実現できない計画とわかっているのに。区長は漫然と区職員の労力を費やし続けています。組織の長としての仕事をしていない!
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
世田谷区議会は決算特別委員会の会期中。
本日(10/12)は都市整備委員会所管質疑でした。我々の会派からは田中優子議員、大庭正明議員が質疑。
田中優子議員は、これまで桃野も取り上げてきた「みどり33」についての質疑を行なっています。
「みどり33」とは?
区制100周年(2032年)に区の「みどり率」を33%にするという数値目標。「みどり率」は、緑が地表を覆う部分に公園区域・水面を加えた面積が地域全体に占める割合。航空写真から計算され、屋上緑化も含んだ数値となる。
以下は2016年の桃野ブログ。桃野は以前から、この「みどり33」に関する課題を取り上げてきました。
【「みどりとみず」は世田谷の地を価値あるものにする源泉だと思う。区長は人口増を無邪気に喜んでいる場合ではない】(2016.03.19 桃野ブログ)
みどり33は、世田谷区がみどり豊かな世田谷をつくろうと、数値目標を掲げる大切な計画。ところがこれが「今のままでは絶対に無理!」という計画のまま、頑なに維持されているのです。
以下のグラフは、先月(令和5年9月6日)の都市整備委員会にて区から提出された資料から抜粋したもの。
区は同資料にて「世田谷区におけるみどりや生きものの状況」を以下のように示しています。
(資料より一部抜粋、黄色は筆者強調)
・ 2021(令和 3)年度に実施した「みどりの資源調査」では、区内のみどり率は24.38%であり、前回調査(2016(平成 28)年度)より0.80 ポイント減少。
・特に民有地のみどりが大きく減少している状況。
・ 緑被の主な減少要因としては、敷地の細分化による樹木の減少、敷地規模の大きい施設整備による樹木や草地の減少、宅地化による農地の減少などが挙げられる。
・公園緑地の面積は年々上昇しており、それに伴い公園率も年々上昇し、みどり率の向上に寄与しているが、1人当たりの公園面積は伸び悩んでおり、人口の増加に追いつけない状況となっている。
・結果、「みどりの基本計画」で掲げた2027(令和 9 年)度時点のみどり率の目標値 29% からは、大きく乖離している結果となっている。
ここから大きくみどりが増えるような施策、を示せているわけでもないのに未だ「2032年にみどり率33」を掲げ続けるのは組織の停滞につながります。簡単にいうと「職員のやる気がなくなる」「仕事が形骸化する」ということ。
計画を維持するなら、本気で計画を達成するための施策を、区長が示さなければいけない。具体的にはもっとその施策に予算を注ぎ込んで、公園を作ったり、農地を買い取ったりする行動を取らなければいけないはず。他にも、個人宅を含めて、民有地にももっと樹木を植えてもらうべく緑化のための補助金をどんどん配るとか。
それができないというなら、区長は計画を現実可能なものに変更しなければならないでしょう。
今までの延長線では絶対に実現不可能だとわかっている計画に対して、区長は漫然と「限りある区職員の労力」というリソースを費やし続けています。これは組織のトップとして「仕事をしていない」ということではないでしょうか。
他にも大庭議員が、区民の暮らしを災害から守るための施策を提言しました。田中議員、大庭議員の質疑の様子は世田谷区議会のサイトでご覧いただけます。
コメントを残す