著作者の名誉、思い入れを守るための権利「著作者人格権」を行使させないよう契約書に盛り込む世田谷区。これは執筆者に対する横暴ではないか。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日は世田谷区議会決算特別委員会、企画総務委員会所管質疑。
桃野は持ち時間、32分で質疑を行いました。
今回のテーマは大きく3つ。
1)世田谷区史編さん事業について(執筆者に著作者人格権の不行使を迫る世田谷区)
2)世田谷区のハラスメント対応方針について
3)区職員が日常的に運転手付き公用車で移動するのはやめるべき
本日のブログは
1)世田谷区史編さん事業について(執筆者に著作者人格権の不行使を迫る世田谷区)
のご報告です。
世田谷区は区政90周年のタイミングに合わせて本格的な区史を編さん中です。
世田谷区の区史編さんと言えば、この90周年区史の前に作成したコンパクトな区史において、多数の間違いがあったり、その区史の執筆者の著作権を区が侵害したりという問題が起きました。
桃野は、90周年の区史はそのような問題が起きないよう、しっかりやってほしいという趣旨で指摘もしてきましたが、今度は著作権をめぐり「それは区の横暴ではないか」と感じることが起きています。
90周年区史の編さん過程で区は、執筆者の方々に、著作権譲渡契約を結ぶよう求める方針のよう。
今般、桃野が契約書を見ると、記されていたのは、まず著作権の移転。執筆者は著作物を区に提出した時点で、その著作権は区に移動するという内容です。
次に著作者人格権の不行使。
著作者人格権とは著作者の名誉、思い入れを守るための権利です。例えば、著作者人格権の中に含まれる同一性保持権は、著作者が作成したもの、区史で言えば執筆した文章に無断で手を入れさせない権利。執筆者が「AはBである」と書いたものを編集作業の中で「AはCである」と書き替えさせない権利ということですね。
今回の区の契約は、この著作者人格権の不行使を執筆者に求め、文章を自由に書き換えられるようにしようというもの。
通常、本を出版するとき、事務方たる編集者が「てにをは」の間違いを指摘して修正したり、文の繋がりがよりわかりやすくなるよう修正を提案したりということはあるでしょう。内容を変えずに、平易な文章になるよう提案することもあるかもしれません。しかしそれは執筆者と事務方たる編集者が話し合い、いわゆる「校正」をするということ。それは普通、著作者人格権の不行使を迫ることなく、通常の作業として行われます。編集者が、校正の範囲を超えて、意味が異なるよう中身を書き換えるということは普通はないこと。
そもそも、区がその力量を見込んで選び、執筆をお願いしたそれぞれの専門家に対して「書いてもらったものは自由に書き換えます」という態度は正しいのか。それはあまりにも高圧的なやり方ではないか。
桃野が質疑の中でとりあげると、区は今回「著作者人格権不行使を含む契約書にサインしない方には執筆させない」との姿勢を明らかにしました。なぜもっと執筆者を尊重できないのか。区の姿勢は全く理解できません。
是非、桃野と区側のやりとりをご覧ください。区史編さん「著作者人格権」に関する質疑は冒頭から15分30秒ぐらいまです。
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