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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2021-03-29

PCR検査は治療や予防ではない。「検査は適切な頻度、間隔を設定しなければダメだ」と何回言ってもわからない世田谷区長。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

本日は世田谷区議会本会議。予算特別委員会を終え、令和3年度の世田谷区一般会計予算他、予算に対する表決も行われました。桃野の会派「無所属・世田谷行革110番・維新」は令和3年度一般会計予算に反対。

表決に先立ち、桃野は会派を代表して以下の意見を述べました。動画でご覧ください。約10分間。テキストもブログ後半に記載しています。

来年度予算の中で非常に優先度の高い「新型コロナウイルス感染症対策関連」予算ですが、世田谷区長の肝煎り施策が余りにも医学的根拠、合理的根拠なく行われようとしており、看過することができません。区長の「やってる感」の演出のために税金が使われているようなもの。

ちなみに、本日の朝日新聞夕刊に、本日桃野が議場で述べた内容と符合する記事が一面を飾っていました。これまで世田谷区長には、繰り返し繰り返し、PCR検査の間隔、頻度は医学的根拠に基づいて正しく設定しなければダメだと言い続けてきましたが、区長は、全く理解しようとしません。このことについても意見で述べていますので、上の動画、もしくは下のテキストでご確認ください。

以下、本会議場で述べた内容です。

令和3年度一般会計予算に反対の立場から無所属・世田谷行革110番・維新の意見を述べます。

予算特別委員会では各会派、新型コロナウイルス感染症対策に係る質疑に時間を割きました。本予算においてコロナ対策が最優先事項の一つであることは衆目の一致するところでしょう。では保坂区政のコロナ対策はどうでしょうか。

昨年7月、区長が突如マスメディアを利用して「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」と喧伝を始めました。しかしこれは事務方トップの副区長ですら寝耳に水の話で、当然ながら区議会での議論等も一切ないままぶちあげられたものでした。そして区長が「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」と喧伝していた際、お手本にすべき成功例だと盛んに語っていたニューヨーク州はどうなったでしょう。彼の地のコロナ対策を評価する声は今、全く聞かれません。

この場を借りて区長に申し上げます。リーダーたるもの危機に接して興奮状態になってはいけません。目にしたもの、耳にしたものに短絡的に飛びつくようではいけません。区のコロナ対策は医学的根拠、合理的根拠に基づくものではなくてはいけません。

区長の「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」はその後、庁内で実施に向け具体的に検討された形跡も無く、全く別物の「社会的検査なるもの」が実施されることとなりました。この社会的検査は区内の高齢者施設等を対象に遍くPCR検査をするというもので、これに係る来年度予算は約4億2千万円、うち区長が定期検査と呼ぶ検査だけでも約2億9千万円です。我が会派は、この施策は医学的根拠、合理的根拠に基づかず税金を浪費するものだと反対し、本予算委員会では会派を代表して私と大庭委員が予算の組み替え動議を提出しました。

これまで会派を挙げて申し上げてきたのは、感染拡大の防止につながるPCR検査つまり、科学的知見、合理的な判断に基づくPCR検査こそ増大せよ、ということです。現状の保坂区政のPCR検査は「やってる感」だけの話であり、感染拡大の防止に繋がるものではありません。

社会的検査の中核を成す「定期検査」は定期とは名ばかり、期間を定めて繰り返し検査を行うものではありません。昨年10月から今年3月までの間、一度だけでも検査を受けたのは対象施設の約2割、対象人数の約3割に過ぎません。そして二度目の検査を受けたいという施設があっても、次の受検は一度目の検査の2ヶ月後という状況です。区長はこの検査を「新型コロナウイルスの無症状病原体保有者(いわゆる無症状感染者)を見つけ出し、その者を集団から隔離することで、施設内での集団感染を防ぐための検査」としていますが、無症状病原体保有者を見つけ出すためには、ウイルスの潜伏期間、つまり感染の機会を得てから発症するまでの期間を考慮した上で検査の頻度、期間を設定しなければならないはずです。3月16日の予算特別委員会保健福祉領域質疑において、感染症対策課長は「潜伏期間は個人差があるが1日から14日と言われている」と答えています。少なくとも14日に一度の検査をしなければ、科学的合理性が無い、施策の目的に沿った効果は無いということになります。

区長は、3月24日の予算特別委員会補充質疑で、検査の間隔については確率論だと答えていました。曰く「2ヶ月より1ヶ月、1ヶ月より2週間、そこで陽性者を捉えられるかどうか」だそうです。例え一回きりの検査であってもそこで陽性者が見つかることがあるのだから意味があると言いたいようです。

しかしこれは区長としての見識を疑わざるを得ない発言でしょう。施策は常に選択の結果です。限られた財源を生かすため、複数の選択肢から最良のものを選ぶのが当然です。「偶然であっても陽性者が見つかるかもしれない」程度の施策に3億円近い税金を投じるなど許されません。偶然頼りの施策は選択肢から外し、検査の頻度を潜伏期間と合致したものとするか、もしそれができないなら施設内での感染拡大を防ぐための直接的な支援に同等の予算を振り向けるべきです。

区長は3月24日の質疑で、検査を受ける前に受検者の感染予防に対する意識が高くなることも定期検査の意義だと言っていますが、それも詭弁です。先ほども申し上げましたが、区の資料を見ると3月8日時点で、一度でも定期検査を受けたのは対象者の3割程度にとどまります。そしてこれは担当所管に確認済みですが、これまで検査で1人でも陽性者が出た施設の中で二度目の検査を受ける意思を示した施設は一つもありません。むしろ感染予防意識が高く、定期検査を受けても陽性者が出るはずはないと考えている施設のみが受検していると考えるのが妥当では無いでしょうか。

そしてもし、検査を受ける前に感染予防意識が高まることが定期検査の意義だとするなら、そんな間接的で回りくどいことをするよりも、それこそ平素から意識を高めてもらうことを目的とした直接的な施策、施設内での感染拡大を防ぐための直接的な支援に予算を投じるべきでしょう。そうすれば検査を受ける方々だけでなく、対象者の約7割にもなる未受検者にも施策の手が届くのですから。

区長は3月26日の区長記者会見でも社会的検査について述べていました。会見で区長は、大変なことがわかったと言った様子で以下語っていました。区長曰く「社会的検査の中で、新型コロナ陽性となった高齢者のうち、ウイルス量が多いに関わらず無症状の方がたくさんいた。無症状の感染者といえば若くて元気な人、そういう若者が高齢者に感染させるというイメージだったがそうではなかった」とのことです。更に区長は3月28日にツイッターで以下投稿しています。「私たちは、高齢者施設で感染を拡げているのは、若くて元気な職員の方々かと想像していた。ところが、Ct値20以下のスーパースプレッターの方が78人中10人いたが、そのうち9人が入居中の高齢者だった。無症状の感染者を見いだし、感染拡大を封じる社会的検査の必要性がますます明らかになった。」引用以上です。

ここで区長が言及しているのは高齢者施設内という非常に限定された場所、又そこで検査を受けて陽性となった78人という少人数の話です。検査を受け陽性となった方は活発に市中を歩き回っていたわけではありませんし、高齢者施設の入居者は、認知症を患っていてマスクを長時間つけていられない方もいると言う事情もあるでしょう。こうした方々が実際に集団感染を引き起こした事実があるのかどうかについての言及もありません。それにも関わらずいかにも世間一般で「高齢者が感染拡大を引き起こしている」かのように語る区長には非常に危うさを感じます。

そして区長はこの事例を引いて「無症状の感染者を見いだし、感染拡大を封じる社会的検査の必要性がますます明らかになった」と言っていますが、もし、区長が言う高齢者のスーパースプレッダー、つまり無症状だがウイルス量が多い高齢者をいち早く見つけ出したいと言うなら、施設従事者だけでなく施設利用者も含めて検査の頻度を高めることが益々重要になります。区長はこうしたことを理解されているのでしょうか。

区長がスーパースプレッダーという言葉を好んで使うことについても申し上げます。スーパースプレッダーという言葉は、聞いた人が「無症状でウイルスをばらまいている感染拡大の張本人」「モンスターのような存在」という印象を持ってしまう言葉です。これは人々の心に差別や憎悪を引き起こしかねない言葉であり、今回の社会的検査で陽性となった方やそのご家族にとってもその心を傷つける表現ではないでしょうか。区長たるものこうした言葉を無神経に頻発すべきでは無いということも強く申し上げておきます。

この社会的検査に見られるように区長は、合理的根拠の無い施策を区の施策として職員に強いています。区長は今すぐにそうした姿勢を改めるべきだと最後に申し上げ、令和3年度一般会計予算に反対の意見とします。

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