学ぶ意欲がありながらも、経済的理由で進学を断念せざる得ない子ども達へ
これまで世田谷区議会でも議論になってきました「給付型の奨学金」について。
いよいよ区側から条例案が出てきました。
先ず「給付型奨学金って何?」ということですが、
■奨学金
金銭的・経済的理由により修学困難な学生に対して、その費用を給付したり貸与したりするお金が奨学金。
(金銭的・経済的な制約が無い場合でも、その能力を評価されて支払われる奨学金もある)
■給付型
「給付型」とは簡単に言うと「返済しなくてもよい」ということ。
つまり給付型の奨学金とは、返済しなくても良い、もらえる奨学金ということですね。
一方、日本では奨学金と言えば貸与型が中心。
例えば、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人を対象とした、国が実施する貸与型の奨学金です。
無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金がありますが、貸与型の奨学金なので返済する必要が有。
→日本学生支援機構(JASSO)
一方、給付型の奨学金を支給している団体もたくさんありまして、ネットで検索すると以下サイトなどがヒットします。
→奨学金.net
他には、桃野の友人も関わっている「カナエール」というイベントも。
→カナエール
さて、議会での議論も経て、先日世田谷区が議会に報告したのが「世田谷区児童養護施設退所者等奨学基金条例(案)」について。
案の段階ですが、これはざっと以下の内容。
・区内の児童養護施設などを退所した子どもや里親に措置された子どもで(18歳を迎えるなどで)措置が解除されたものを対象に奨学金を給付する。
・給付額は年間36万円。
・寄附を募って奨学金の原資とする。
・平成28年(来年)3月の施行を目指す。
この条例案については、先ず桃野が思うのは「なぜ児童養護施設退所者などに限るの?」ということ。
児童養護施設退所者でなくても、学ぶ意欲があるのに経済的な理由から進学を諦めなければ行けない子どもや、貸与型の給付金の返済に苦労する子どもは沢山います。
なぜ、その子ども達は対象にしないのか。
先ず、この点に大きな違和感。
そして他の観点も。
例えば以下のケース。
※世田谷区内の児童養護施設は現在2カ所あるのですが、これは何も世田谷区で生まれ育った子ども達が入所する施設ではありません。
例えば、東京都内の他区A区で親の虐待を受けたXさんが居たとします。
世田谷区ではない区、A区にある児童相談所(区ではなく東京都が所管している)が対応し、様々な理由から(例えば親とは日常的に顔を合わせない距離で養護される方が良いなど)、世田谷区内の児童養護施設に入所しました。
18歳を超え、そこを退所したXさんは世田谷区の給付型奨学金を給付されながら大学へ進学。
一方、同じケースながら、世田谷区以外のB区にある児童養護施設に入所していたYさんは、奨学金給付の対象にならず進学を泣く泣く断念。。。。そんな事も起こるかもしれません。
要するに、こういう制度は世田谷区が単独で行うのではなく、児童相談所を所管する東京都が制度をつくる、もしくは少なくとも世田谷区長も参加している東京23区の区長会で話をするなどしながら他自治体とともにすすめるべきものではないかということ。
ブログでは、細かい事までは書ききれませんが、まだまだ条例(案)が条例になるまでには精緻な設計が必要です。
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