フィールドミュージアム。街がその歴史や文化をものがたります
愛媛県松山市を訪問して来ました。
三方を1000m級の山々に囲まれた平野部に広がる松山市。
その中心部から、市街地を見下ろすようにそびえるお城を包むように路面電車が走ります。
日本最古とも言われる道後温泉は、街の中心部からも近く、土地柄は温暖で肥沃。
正岡子規に代表される多くの文人を生んだ地でもあります。
かつてサラリーマン時代は、仕事で色々な街を訪れましたが、その中でも松山は訪れてあわあわと心が沸き立ち、その憧憬を隠せない街です。
さて、先日その松山市が掲げている「フィールドミュージアム構想」を学びに行ってまいりました。
街全体を屋根の無い博物館と見立て、市内各地に点在している史跡や文化資源を再評価し結びつけて回遊性の高い、物語のあるまちづくりを進めようとの試みです。
松山城を中心とする市街地はセンターゾーン。
その周囲「癒し・和の街並を創造する道後温泉」、「多島美・島文化を発信する忽那諸島」や「里山の風景と遍路文化の残る久谷・砥部」など、6つのエリアをサブセンターゾーンとして位置づけ、それぞれの個性を生かしながら、観光資源を開発しています。
その活動の中心はあくまで、その地を愛し、伝統文化や観光資源の継承に取り組む地域の人々。
それを行政がサポートする構図です。
例えば、そんな取り組みの一つ「俳句甲子園」。
松山青年会議所と地元俳句愛好家が手を結びスタートしたイベントです。
明治時代を代表する俳人正岡子規の故郷、松山を象徴するイベントとして発展を続けて来ました。
市内の商店街を舞台に、市民を巻き込みながら審査を行う地域密着の取り組みだけでなく、東京会場など他地域での予選会を通じて全国にその効果を波及。
2013年に行われた第16回大会は、30都道府県から84校、125チームが参加しています。
イベントを通じて訪れた人々に、更なる松山の魅力を知ってもらうべく情報を発信することにも余念はありません。
景観をそこなわないよう配慮しながら街中に設置された案内版や解説版に加え、交通の結節点や観光スポットにはタウンボードと言われる情報端末が配され、観光情報の検索機能などを有しています。
こうした情報発信が、地域の「語り部」の皆さんと一体となっての魅力発信へとつながっています。
全国への魅力発信として成り立つ核のイベント、イベントと市街地、その周辺の魅力を有機的に結びつけるその仕組みは大いに学ぶ所が有ります。
■こちらがタウンボード。ちなみに後ろは路面電車の線路です。
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