障がい者の自立のために
「社会的雇用」という言葉をご存知でしょうか。
障がいを持った方の就労形態の一つです。
比較的障がいの程度の低い方の「一般就労」。これは健常者と同じ働き方に属するものです。
一方、「福祉的就労」は、福祉サービスの一環として、又は訓練の対象としての就労形態。
往々にして、労働の場が提供されることに重点がおかれ、賃金の過多については注意が払われません。
対して、第三の就労形態ともいえるものが「社会的雇用」です。
先日、大阪府箕面市の例がNHKで報道されました。
その特徴は大きく3つ。
1.能力を引き出すサポートを継続的に行う。
レジを担当したいという本人の希望があれば、継続的に数字を数える訓練、おつりの計算などを教育し、希望を叶えるべくサポートする。
2.健常者とともに、障がい者も事業の運営に参加する。
売上UPのアイデアや運営上の問題解決を話し合い、事業の主体が自分たちであることお自覚してもらう。
3.最低賃金を保障する。
社会的雇用で就労しているAさんの賃金は¥84,000/月。以前、福祉的就労時の賃金は¥13,000/月でした。
3.は従来の就労形態との違いにおいて肝心な部分です。
箕面市では、賃金を一般的雇用に近づけながら福祉サービスのコストを下げることができると試算しています。
箕面市の社会的雇用に対する助成金の流れは2つ。
1つは、対象事業所の運営費や事業所スタッフの人件費。これは従来の助成と同じパターンです。
加えて箕面市は、社会的雇用で就労している、障がい者の人件費(賃金)も助成します。
事業者は売り上げから生まれる給与に加えて、賃金に対する助成を足し合わせて、労働の対価を支払います。
よって、就労者は、賃金という観点からみれば自立した生活に近づくという仕組みです。
一方、コストはどうか。
ある障がい者Bさんの例での試算です。
Bさんの人件費(賃金)に対する助成は約7万円。
事業所(運営費、スタッフ人件費)への助成は約10万円
助成費用の合計は約17万円です。
Bさんの場合、就労せず通所型施設で福祉サービスを受けた場合のコストは約30万円。
単純に費用の面だけを見ても、「社会的雇用」の方がコストが低いと試算しています。
もちろん、この17万円を全て福祉的雇用に回せば、より多くの方が就労できるという議論もあるでしょう。
しかしながら、障がいを持った方が生き生きと暮らす、労働者、消費者として自立した生活を送る。
そういった世の中の実現の為に、「社会的雇用」は一つの方向性を示してくれているのではないでしょうか。
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