一人10万円の特別定額給付金。住民票を動かさずに身を隠しているDV被害者等も受給できます。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
国民に対して、10万円の一律給付が決まりました。
令和2年4月20日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定され、特別定額給付金(仮称)事業が実施されることに。
ちなみに、この事業の実施費用は全額国の負担になりますが、実施の主体は各市区町村。世田谷区でもこれから具体的に事業の実施方法、必要な手続きなどを決め、補正予算も作らなければなりません。国→各自治体、いかに迅速に実際の給付まで漕ぎ着けるかということも課題です。
そして、この「一人10万円」が発表されてすぐ、桃野が懸念を持ったのが「DV被害者等への対応」。
総務省のサイトを見ると、この給付金の受給対象者を以下としています。
・基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者
・受給権者は、その者の属する世帯の世帯主
では以下のような例があったらどうなるでしょう。
・A(世帯主)、B(世帯主の配偶者)の夫婦に、子どもCがいる。
・AはBに日常的に暴力を振るっていた(又はAがCを虐待していた)。
・BはCを連れて家を出て、Aから逃れるために身を隠している。
・AとBは離婚しておらず、Bは住民票の移動も行っていない。
Aが給付金を申請すれば、Aに30万円が支払われ、B、Cにはお金が届きません。
こうした懸念については報道もされていました。
これはちゃんと仕組み作らないとダメ。DV被害で身を隠している女性、それも子ども連れであれば、経済的に厳しい生活だろうと容易に想像がつく。その親子のお金がDV加害者側に渡るなどあってはならない。→10万円、DV被害者にどう給付(朝日新聞デジタル) https://t.co/Ae3NobTGCw
— 桃野芳文(世田谷区議会議員) (@momono4423) April 22, 2020
桃野がこれまで取り組んできた「DV被害者等支援措置」(住民基本台帳法上の支援措置)を使えば、住民票の閲覧制限など、住民票を移動しても加害者に居場所を知られないよう「ブロック」することはできます。一方で、時に役所のミスなどから「情報がもれる」事件も起きており、その制度をあえて使わない方がいらっしゃることも事実。
例えば、世田谷区でもこんなことが起きています。以下は過去ブログ。
【DV被害者を守るための支援措置。区長はいつになったら過ちを認め改善を進めてくれるのか】
住民基本台帳法上は、DV加害者と同居していることになっている被害者やその家族の給付金が、適切にDV被害者の元に届く仕組みが必要です。
そして、今朝のニュース。
そして今朝のニュース。後はしっかりと当事者にその情報が届くようにしないとダメ。そして住基法上の支援措置を受けてない方への対応について他にも様々検討が必要→「DV被害者に直接給付 一律10万円、避難先自治体へ」https://t.co/Zh7GDuv7qK
— 桃野芳文(世田谷区議会議員) (@momono4423) April 23, 2020
総務省は、特別定額給付金に関し、DV被害者が、避難先の市区町村へ被害を申し立てることで、加害者と別の住所に避難している場合でも、本人が直接給付金を受け取れるようにするとしました。
先ずは良かったと思いますが、必要なのは、この制度の周知。DV被害者の方が受給できることを広く知らしめること。そして次に「被害を申し出る」ことのハードルをいかに下げられるかということ。更に「被害を申し出た後」の対応も重要になってきます。当然、支援が必要ですから。
例えば、この給付金以外、就学援助や児童扶養手当など、その他の支援について「適切に受けているか」そうで無いならその状況をどう改善して行くかについても行政が対応していかなければなりません。
更に、それぞれのケースにおいて、なぜ支援措置が使われていないのかその理由についても考え、制度改善に生かしていかなければならないでしょう。
■テレビ朝日「テレメンタリー」(2018年1月14日放送)より
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