保坂区長の施策「無症状の児童生徒らに抗原定性検査を行い安全を担保する」は全く非科学的、非合理的な施策。桃野は明確に反対し続けています。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログは先の本会議一般質問より。今回の一般質問では、以下5つのテーマを取り上げました。
1)区立小中学校における新型コロナ対策について
2)児童養護施設等退所者への支援について
3)生活保護法第63条の規定による費用返還について
4)指数(保育の調整基準)について
5)区の燃料電池自動車について
質問の様子はこちらの動画でご覧ください。
本日は「1)区立小中学校における新型コロナ対策について」をブログでご報告します。
これまで桃野は、医学的、合理的根拠なく区長が進めるコロナ対策を厳に戒めてきました。区立小中学校の児童生徒らに行事前に一回こっきりの「行事前検査」を行うという施策もその一つ。議会では医学的根拠、合理的根拠もない施策に税金を投じ、学校現場や児童生徒に多大な負担をかけるものだと反対してきました。結果、この施策は議会を通り(予算が通り)、実施されることになったのですが、その期限は今年の12月までということになっていました。
ところが今般、12月に終了予定となっていた区立小中学校における行事前抗原定性検査を来年3月まで継続する予算を区長が議会に示してきたのです。
幸いなことに現在、新型コロナの新規陽性者数は減少し、東京も非常事態宣言でもなければ、まん延防止等重点措置の対象にもなっていません。日常的な感染対策は怠りなく続けなければなりませんが「感染は拡大しているが子ども達に行事はさせてあげたい。事前に検査をすれば実施できるのでないか」との発想が出てくるような状況ではありません。
しかも、高齢者施設等に対し区は「感染者や感染疑いのある方に接触した可能性が高くかつ感染の不安がある場合」や「軽い喉の痛みなど体調が気になる場合」に迅速に検査ができるよう抗原定性検査キットを配布するとしていますから、高齢者施設より一段高いレベルの検査を児童生徒に要求しているということになります。
高齢者施設等での施策は「喉がイガイガする。もしかして新型コロナに罹ったかも」と不安を感じた方が病院に行かず、先ずは簡易に検査ができる」というものですが、区立小中学校での施策は「無症状の児童生徒全員に行事前に一回限りの検査を強いる」というもので、その中身は全く異なります。
これまで区長は、高齢者施設等はクラスター(集団感染)が起こるリスク、感染者が重症化するリスクが高いとして「社会的検査なるもの」を推し進めてきた経緯があります。ところが今はなぜか、高齢者施設等での検査に比べて一段と高いハードルを児童生徒に課している状況です。やっていることがチグハグで、どうも「やってる感」の演出のために周囲を振り回しているように思います。
そして決定的に誤っているのは、抗原定性検査の使い方を全く区長が理解していないということ。これは桃野は何度も区長に指摘していることですが区長は全く聞く耳を持ちません。検査はあくまで検査。予防でも治療でもありません。検査の目的と手段が一致しなければ何の意味もないのです。
文部科学省は抗原検査簡易キットについてホームページで「小中学校においては基本的に教職員の使用を想定したもの」とし「児童生徒が登校後に体調不良を来たした際にすぐに帰宅することが困難な場合や速やかに帰宅させ医療機関を受診できない場合に限るなど、補完的な対応として小学校4年生以上の児童生徒が検査キットを使用することが考えられる」としています。
また同省は令和3年9月の「小学校及び中学校等における抗原簡易キットの活用の手引き」にて「有症状者に対して適切に使用した場合に有用」と明示しています。日本医師会の中川俊男会長も「抗原検査キットは無症状の方に実施して感染していないことを確認するものではない」と明言しています。
区は何故、文科省や医師の示すことを否定し無症状の児童生徒を抗原検査簡易キットで検査し続けるのか。根拠を問うと、区側からは以下の答弁が返ってきました。
「国の示すワクチン・検査パッケージ制度要綱に関するQ&Aというものがあり、その中に『抗原定性検査は無症状者には推奨されないとされているが、問題ないか。』という問いがあるが、これについて『無症状者に対する抗原定性検査は、確定診断としての使用は推奨されないが、無症状者の感染者のうちウイルス量が多いものを発見することにより、場の感染リスクを下げうるとの考え方に基づき、事前にPCR検査等を受検することができない場合にも対応する観点から、抗原定性検査も利用可能とする』と出ているので、今回の使用については適切」
質問時間が無くなり、こちらから重ねて問うことはできませんでしたが、この答弁は全くの詭弁で、議会答弁として許されないと考えています。区が示したQ&Aは確かに存在し、その中の18番目のQ&Aを引用しています。
しかし同Q&A内のはるか前段の3番目に「学校は対象となるか。」との問いがあり、それに対して「学校等の活動については、引き続き、『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル』等を踏まえた対応を行い、『ワクチン・検査パッケージ制度は』適用しない。 」と示してあります。
【ワクチン・検査パッケージ制度要綱に関するQ&A Ver.1.0】(内閣府のサイト)
そして、上記Q&Aの3で示す「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」の中にはまさに「抗原定性検査は有症状者に対して適切に使用した場合に有用」と示しています。
【学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~】(文部科学省)
つまり、無症状の児童生徒らに抗原定性検査を行い安全を担保するというのは全く非科学的な施策、非合理的な施策であり、文科省も認めてはいません。こういうことを税金を投じてやり続けようとする保坂区政には、厳しく対峙し、少しでも正しい方向に進むよう提言を続けなけばなりません。
子ども達の感染防止対策として必要なのは、無症状者に抗原定性検査を強いることではなく、マスク着用、換気など基本的な対策の徹底です。
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