区議会議員になってから「会社員時代と違い、どうにもいたたまれない気分」を感じる時があります。失礼を承知で・・・
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
大学を出てから会社員として16年、その後、区議会議員という立場になってから「会社員時代と違い、どうにもいたたまれない気分」を感じる時があります。
例えば、それは「お世話になった方」「とても親しいお付き合いをさせて頂いている目上の方」にも「手ぶら」を通さなくてはいけない時。人が集まる場で、それぞれがお土産を持参していても(それが一般的には普通のマナーである場合が多い)、相手方が区内有権者である場合、桃野は手ぶらを通さなくてはいけません。
これがどうにも気が引けて、戸惑いました。(今でも引け目を感じないといえば嘘になります)
お世話になった方には、節目節目で感謝の贈り物をしたい。お正月には年賀状でご挨拶したい。いわゆる、こうした普通のことが「公職にあるもの」には法律違反になってしまいます。いくらいたたまれなくても、ダメなものはダメ。失礼にならないよう、きちんと説明し分かって頂くしかありません
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【公職選挙法】
(公職の定義)
第三条 この法律において「公職」とは、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長の職をいう。
(公職の候補者等の寄附の禁止)
第一九九条の二 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第百九十九条の五第四項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。
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「有権者への寄付行為」が露見して、職を辞すものもいれば、知らぬふりを決め込むもの、あれは贈り物ではないと強弁するもの、など様々ではありますが、やはり公職にあるものは「有権者に、モノやカネを渡すのはダメ」と自分を戒めクリーンであらねばならないと思います。
ちなみに、保坂展人世田谷区長は、区内有権者に自分の図書を寄付していた(それも区立学校で保護者に対して)ことが露見して議会でも問題視されましたが「参考資料の提供であり、寄付ではない」と意味不明の言い訳をし、一切反省の弁もなく逃げ切ってしまいました。ちなみにその当時の世田谷区選挙管理委員会事務局長は、この件を問われ、以下の答弁をしています。
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【平成27年3月11日 予算特別委員会にて】
・議員からの質問
「私が持っている本を、有権者に講師として呼ばれた際、関連する著作だから寄附しますといった場合、これは公職選挙法に抵触しますか」と相談をしたら、どう答えますか。
・宮内選挙管理委員会事務局長からの答弁
公職選挙法第百九十九条の二では、公職の候補者が当該選挙区内にある者に対していかなる名義をもってするを問わず、寄附することは原則禁止となっております。この寄附の対象者は、自然人だけではなく、法人格を有しない任意団体等も含まれております。仮にそういう御相談を私が受けたといたしますと、有償で市販している本を無償で選挙区内の者に交付するということは、一般的には法律が禁止している寄附に該当しているおそれがあると回答いたします。
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今、報道されているのは茂木敏充経済財政・再生大臣の秘書が選挙区内の有権者に線香を配ったという問題。茂木大臣は配布の事実を認めながらも以下の理由で「法に触れる行為でない」と言っています。
・政党支部の政治活動で行ったもので、政治家(自分)個人の活動ではない
・配ったのは秘書や政党職員である
・線香などに茂木大臣の名前は入っていなかった
しかし、こんな説明がまかり通ってしまうなら「寄付行為の禁止」なんて意味がなくなってしまいます。当然、秘書や政党職員は「茂木の代理で来た」と周囲に受け止められていたことでしょうし、茂木大臣もそう認識されることを期待していたに違いありません。
多くの方が「法に触れる」と考える行為について、強引な言い訳に終始し、反省の態度もなし。こうした態度を取っても自らの心に恥じないという点では、茂木大臣も、保坂展人世田谷区長も同じ。
こうしたことが続くので、ますます「政治家なんて嘘つき、信用できない」と考える方が増えてしまうのではないでしょうか。
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