2018年、政界再編は進むのか。「民意をどう集約すべきか」については議員の都合を「排除」しての議論が必要では?
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
大晦日ですね。
旅行、買い物、大掃除とお忙しい方が多いでしょうから、おそらく桃野のブログへのアクセス数は普段に比べてとても少ないと思われます。そんな中、大晦日に桃野のブログを読んでくださっている方、有難うございます。心より感謝。
さて、来年はどんな年になるでしょうか。来年の話をすると「鬼が笑う」と言いますが、一年先を見通すのは至難の技です。特に政治の世界は尚更。
例えば今年(2017年)の1月に時計の針を戻すと、第三次安倍内閣第二次内閣。NHKの調査では1月時点の支持率は50%台後半で不支持率を大きく上まっていました。
■NHK調査、安倍内閣の支持率の推移
そして2月を境に支持率は下落。もう多くの方が忘れてしまったかもしれませんが、このころ国会での数々の珍答弁が新聞を賑わせていました。
例えば金田勝年法務大臣。共謀罪の成立に必要な準備行為の判断基準を問われて「ビールと弁当を持っていたら花見、地図と双眼鏡を持っていたら犯行現場の下見」というのもありましたね。
稲田防衛大臣は南スーダン日報隠蔽問題で「自衛隊の隠蔽行為の報告を受けていたにもかかわらず国会で虚偽の答弁をしたのではないか」との疑惑も向けられていました。
そして安倍総理の夫人である安倍昭恵氏が名誉校長を務める森友学園に対し、国有地が不当に廉売されていたのではないかとの疑惑、いわゆる「森友問題」。この問題では財務省の佐川宣寿理財局長の「あの手この手で国家での質問に答えない態度」が国会中継で全国に報じられました。
続いて安倍総理の長年の友人が運営する加計学園に対し、総理の意向により、獣医学部新設に伴う数々の便宜が図られたのではないかのとの疑惑「加計問題」。
そんなことが続いて、夏場には安倍内閣への支持率が急落。そこで跳躍してきたのが「小池新党」への支持でした。
2016年8月の都知事選に勝利し、都民の支持を着々と得ていた小池百合子知事は、自ら代表を務める政治集団「都民ファーストの会」を率いて都議選へ。「都議会を伏魔殿にしている自民党をやっつける」構図で50人の候補者の中、島嶼部の1名を除く49名が当選する圧勝。この圧勝の波に乗って国政政党「希望の党」結成へ。
2017年9月、小池都知事が希望の党の代表に就任する頃には、国民の期待も高かったように思います。その頃支持低迷に苦しんでいた野党第1党民進党は衆議院選前に、国会議員の全員賛成で「希望の党への丸々合流」を決定。
民進党の国会議員が満場一致で「丸々合流」を決定した時点では、小池人気が健在のタイミング。多くの議員の心に「小池人気にすがりたい」との思いが強くあったのだと思います。
しかしその後、小池都知事の「政策が一致しない方とは一緒にはやれない」旨の発言(「排除する」という強い言葉が国民の不評を買ったという面は否めないでしょう)で「希望には合流できない」となった「政策が一致しない方」は衆議院選前に立憲民主党を結党したり、無所属で出馬したりという動きへ。
時を合わせて「排除発言」や「都民ファーストの会の運営」への批判などがでメディアで大きく報じされるようになり、小池人気が急降下。結果、希望の党への支持も急速にしぼみ、希望の党は衆議院選で惨敗。小池都知事は希望の党の代表を辞任し、国政からの撤退となりました。
一方で、安倍内閣、自民党は森友問題、加計問題で国民の支持を失った中であったにもかかわらず衆議院選で圧勝。再び安定した政権運営基盤を手にしました。
こうした経緯の中で、巷間叫ばれているのは「野党が分裂していては与党、自民党に緊張感を与えられない」ということ。自民党の政治にNOを突きつけたくても、他の選択肢が無いようでは自民党の圧勝が続くのみ」との意見です。
桃野は自民党1強が日本の政治のために良いとは思いません。「政権を任せても大丈夫」と国民が信頼する野党が出てきて、政党間の切磋琢磨があってこそ政治の質が上がる、議員の質が上がるのだと考えています。
しかし、そのためには選挙制度についても再考が必要では。
選挙の時点で「A党がいいのか、B党がいいのか」と有権者に選択を迫り、民意を集約するのが今の衆議院選で用いられている「小選挙区制度」。原則的には選挙区内で一人しか当選しませんから、国会内で多数派がはっきりと形成され「速やかに決められる」政治が進みます。一方で現在「小選挙区制度」と並立している「比例代表制度」は基本的には多様な民意を議席に反映させる制度。政党別の得票に応じて議席が配分されますから「A党は◯議席、B党は△議席、C党は×議席、D党は*議席、・・・」と幅広い考え方を持った議員が議席を得る仕組みです。
この二つの制度が同時に用いられているのは、民意の集約方法としては「どっちつかず」。世界中には様々な選挙制度があり、それはいずれもメリットもデメリットもあるものですが、少なくとも我が国の選挙制度を決める上で「国民の民意をどういう形で集約すべきか」については、議員の都合を排して、大所高所からの議論が必要だと思います。
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