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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2017-12-20

区がやる?都がやる?区道と都道があるように(国道もあるけど)、違いが無いように見えて「実は大違い」ということも。

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世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
区がやるか。都がやるか。
住民として行政サービスを受ける際、(多くの方はあまり気にしていないのかもしれませんが)都の仕事なのか、区の仕事なのかが結構難しい問題を引き起こすことがあります。
例えば、道路に区道と都道(国道もありますね)があるように、一見同じように見えるものでも、その管轄が異なる場合があるんですよね。
特別区(23区)の場合、区立小中学校を設置、運営しているのは各区ですが、働く教員は都の職員。教員は市や区をまたいで転勤しますし、懲戒処分等を行うのも東京都の仕事です。そして学校の事務員は都の職員と区の職員が並存している形。
教員の人事権など区立小中学校に関することについては、地域の事情をよく知る各区にその仕事を移譲してくれるといいのになと思うことも多々あるのですが、今日は児童相談所の話。
東京都の場合、児童相談所は都が設置、その仕事を所管していて、世田谷区内には「東京都世田谷児童相談所」があります。建物は都のもので、そこで働く職員も東京都の職員。

世田谷区は長年「区民生活に密着した基礎自治体としての立場から、子どもの生命と権利を守ることを最優先に考え、一元的かつ地域の支援を最大限に活用した総合的な児童相談行政を実現するため」として、児童相談所の設置を目指してきました。
そうした活動が実を結び、2016年の児童福祉法改正でようやく特別区各区が児童相談所を開設できることに。世田谷区も2020年の児童相談所開設に向けて準備を進めているのですが。。。
世田谷区が児相を設置する場合でも、東京都が「東京都世田谷児童相談所」を区に移管してくれるわけではありません。現在の児童相談所の建物も職員もそのまま都の所管(おそらく別の用途に活用するということなのでしょう)。区はモノもヒトもそれぞれ自前で準備を進めなければなりません。
ということで、これから児童相談所の新規開設を目指す各区で「争奪戦」となるのが人材。
本日(12/20)の東京新聞には、以下の記事が掲載されていました。
児相専門職の育成難航 23区、法改正で増員急務
まさに人材の話。
児童相談所で働く「児童福祉司」と「児童心理司」の育成が新規開設に間に合うのか、という話です。児童相談所には児童福祉司を置かなければならないと法に定めがあり、この児童福祉司は被虐待児の面談や保護者の指導を行うのがその役目。児童心理司は児童へのカウンセリングといった心のケアを担当します。
いずれも大学で心理学を専攻するなどの資格要件を満たせば資格試験は不要ですが、いきなり新設の児相で未経験者が一から新たに仕事を始めるのは現実的ではありません。現在、2020年に新設を目指す世田谷、荒川、江戸川の3区の職員が都の児相に派遣され、虐待の疑いがある家庭を回ったり、一時保護する際の手続き方法などを学んでいます。
上記記事が示唆しているのは「都の研修枠の不足」。研修は最低でも二年必要で、枠が空かない限り新たに受け入れはできない中。人材育成の遅れが懸念されています。特別区長会は、来年度から育成のための派遣を受け入れてもらえるよう都外の自治体にもお願いをしている状況。
児相の仕事は、児童虐待から子どもを救うなど、命に関わる仕事です。東京都も従来の業務に加えての「新規開設支援」は負担ではあるでしょうが、最大限のご協力をお願いしたいところです。東京都以外の関東の自治体のご協力も必要な状況。
何をやるにしても基本は人。このままでは「ハコは出来ても仕事はできない」という事態も懸念されます。
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