世田谷区長。「社会的弱者」からの切実な訴えを何度も「既読スルー」。いつも自らを語る姿と、その実態は大きく異なる。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
今日も先日のブログの続きを。
DV被害者の事前の申し出にも関わらず、加害者側弁護士に対して「DV被害者の住民票の写しを交付してしまった」という事件。被害者女性からの「私達を助けてください!」との切実な訴えに世田谷区長が”冷淡きわまりない対応”という話です。
いつも「自分は社会的弱者への配慮に満ちた心やさしき区長です」という情報発信に余念のない世田谷区長。その実、こういうことしてるんですね。
DV被害を受けていた女性Aさんは、裁判を経て離婚。お子さんとと共に元夫の知らない住所へと引っ越しました。
Aさんは、警察や他の相談機関とも様々に相談をし、元夫から引き続き危険な目にあう可能性についても考慮した結果、世田谷区役所がAさん親子の住所情報の秘匿に努めてもらうよう「支援措置」を受けるに至ります。
そういった経緯にもかかわらず、区は加害者側弁護士に住民票の写しを交付してしまったというのがここまでの話。
区からの支援措置を受けていたにも関わらず、区職員によって住所情報が加害者側弁護士に開示されたことについて、Aさんは先ず、区長に助けを求めたそうです。世田谷区役所のホームページに貼ってある「区長へのメール」というサイトから「どうか私と私の子どもを助けて下さい」という悲痛な叫びです。区長に訴えたのは、実際に起きたことを知ってもらいたいということ、そして開示されてしまった住所からの転居支援などです。
いつ加害者男性(元夫)がここにやってくるか。Aさん親子は恐怖に怯えながら、「一刻も早く区長がメールを読み、返信が来ること」を祈っていたことでしょう。
しかし実際には・・・
Aさんからのメールは今年の4月15日、16日、20日と繰り返し送信されていますが、一切の返事は無し。「区長はこのメールを読んでいないのではないか」と不安に感じたAさんは4月27日になって、区長の私的な政治活動用事務所に手紙を送付しました。DV被害、支援措置対象者の住所流出という内容ですから「一刻も早い対応を」と考えるのが当たり前だと思いますが、この時点で最初のメール送信から10日以上が経過しています。ここまでしてようやく、Aさんにメールで回答が来たのが4月28日。その返信メールは「役所の対応には一切問題は無い」との素っ気無い、というより「取りつく島もない」といった内容で、区役所の所管課より送られたものでした。
区長は「区長へのメール」を読み、その上で本件について緊急性も、具体的に対策を打つ必要も無いと判断したのか。あまりに冷淡な態度です。
桃野が議場で区長に尋ねたところ、答弁は以下のようなものでした。
・区長へのメールは、私は必ず確認して、必要に応じて継続的な継続的な確認や指示をしている
・本件については、担当所管に状況を確認したところ、Aさんに対応を継続しているとのことだったので適切に対応するよう指示した
「区長へのメール」は読んでいる、と本人が言ってるのですから読んでいるのでしょう。しかし、役所の所管に「対応しているのか」と聞いて「対応しています」と返事があったので「適切に対応してね」と伝えた。それだけで何の意味があるのか。Aさんの置かれている立場(緊急性、恐怖心)などには全く配慮せず、そして役所の対応について、Aさんの訴えに一切耳を傾けず「既読スルー」なら、それに何の意味があるのでしょう。
世田谷区長は、一定数の構成人数があるグループ(選挙で応援してもらえるかもしれない)、メディアに華々しく取り上げられるかもしれない、そんな計算が立たないものについては、反応しないということなのでしょうか。
DVが原因で離婚、離婚成立まで専業主婦であった経緯から収入がない女性、親子二人暮らし、区役所によって、加害者側弁護士に住所情報を開示され、日々DV加害者の陰に怯えて暮らしている。
そんな切実な訴えを「既読スルー」しながら、いつも自らを「社会的弱者の味方」であるかのように語るその人は、いったい何者なのでしょう。桃野は強い憤りを覚えます。
今回の事件では、これまでブログで取り上げてきた区の対応の他にも、DV等で夫と別居中の女性に対する「行政の支援体制」についても様々な改善点を提案しています。そちらは次回ブログで。
一般質問の様子は、 世田谷区議会のサイトよりご視聴いただけます。
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