加害者が教室にいることで登校できない若しくは別室登校を余儀なくされる被害者に朗報
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
大阪高裁で「いじめ被害者の学習権」についての司法判断が示されました。
一審判決では「児童(いじめ被害者)が登校を再開しても教室へ復帰できなかったため学習権が侵害された」と明示。桃野も議会で取り上げて来たが加害者ではなく、被害者が教室から排除される構図はやはりおかしい→吹田市立小いじめ訴訟 [大阪府]:朝日新聞 https://t.co/kmjjBB2As5
— 桃野芳文(世田谷区議会議員) (@momono4423) April 14, 2025
加害者が教室にいることで、登校できない若しくは別室登校を余儀なくされている被害者にとっては朗報となるのではないでしょうか。
報道によると、判決では以下内容が示されています。
・
男子児童は同級生から仲間外れなどのいじめに遭い、18年10月から不登校状態に。クラスでは受験勉強を理由に休んでいるなどと事実と異なるうわさを言う同級生も現れた。
・
市教育委員会は、いじめ防止対策推進法の重大事態と判断。学校は、クラス全員に男子児童に関するアンケートを実施、うわさを言った同級生3人の名前も判明
・
母親は、うわさの言った同級生について学校に質問したが、校長は答えず。
・
一審・大阪地裁判決は、うわさをした同級生について把握した情報を母親に提供しなかったなどの学校の対応について違法と判断。
・
男子児童は19年1月に登校を再開したが、うわさをした同級生がわからず不安が解けなかったため、教室には復帰できないまま卒業。違法な対応がなければ教室へ復帰できたとして、学習権侵害を認め、慰謝料として50万円を払うよう市に命じた。
・
また学校が男子児童側にアンケートの実施を事前に説明せず、内容への希望も聞かなかったことなどアンケートの実施方法についても、文部科学省のいじめの重大事態の調査に関するガイドラインに違反し違法だとした。
・
控訴審の大阪高裁判決は、市による男子児童への損害の認定と慰謝料支払い命令を維持。さらに、うわさを言った同級生3人を特定できていないと説明したことなどについて両親への損害賠償責任も認めた。
・
吹田市は最高裁に上告受理を申し立てている(2025.04.12読売新聞)。
裁判所は、今回のケースにおいて「別室登校では学習権が保障されているとは言えない」と明示しています。桃野も議会で被害者が教室から排除される構図を改善しなければと提言してきました。
世田谷区教育委員会は「世田谷区立学校管理運営規則」の36条に以下定めていますが、実際には「手続きに関し必要な事項」は定めていませんでした。これでは、実際には区教委は「出席停止」の手段を取ることはできません。(黄色は筆者強調)
(出席停止)
第36条 委員会は、次に掲げる行為の1又は2以上を繰り返し行う等性行不良であって他の児童又は生徒の教育に妨げがあると認める児童又は生徒があるときは、その保護者に対して児童又は生徒の出席停止を命ずることができる。
(1) 他の児童又は生徒に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
(2) 職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
(3) 施設又は設備を損壊する行為
(4) 授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
2 委員会は、前項の規定により出席停止を命ずる場合には、あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。
3 前項に規定するもののほか、出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、委員会が別に定める。
4 委員会は、出席停止の命令に係る児童又は生徒の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。
追加〔平成13年世教委規則22号〕、一部改正〔平成20年世教委規則4号・25号〕
もちろん、いじめの加害者と言っても加害の程度や悪質性などは様々。いきなり教室から出すことが適切だとは思いません。だからこそその手続きを十分に検討し定めておかなければならないのです。
世田谷区はその後、桃野の提言を受け、出席停止の命令の手続きを定めました。もちろんいじめのない学校を作るのが大命題ですが、もし起こった時の対応については事前に入念な準備をし、速やかに実行に移さなければなりません。
以下関連ブログです。
コメントを残す