(株)世田谷サービス公社が高収益。世田谷区の外郭団体(区幹部の天下り先)です。労せず区の仕事を請けている会社が儲けたお金はどうするべき?
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
昨日は、世田谷区議会決算特別委員会にて質疑。
桃野は世田谷区役所の外郭団体、区役所幹部の退職後の再就職先(いわゆる天下り先)である「株式会社世田谷サービス公社」について取り上げました。
質疑の様子は以下の動画でご覧ください。約16分です。
株式会社世田谷サービス公社は、世田谷区が出資し設立した「世田谷区の子会社」。そして市場原理に基づく競争にさらされることなく、世田谷区から仕事を請けている会社です。
その世田谷サービス公社がコロナ禍にあって、”ものすごく儲かっている”。
サービス公社の売り上げ約40億円のうち約34億円は世田谷区が委託した公共施設維持管理業務。つまり清掃など区の建物を管理する仕事です。
令和2年度の世田谷サービス公社の事業報告を見ると売上高40億円、経常利益は1.7億円。収益力、つまり儲ける力を示す売上高経常利益率は4.22%。売上高40億円程度、本業は施設維持管理という会社で、売上高経常利益率が4% を超えてくる会社というのは、そうそうありません。
民間企業であれば経営を維持するためにしっかりとした努力を積み重ねながら利益を上げているはず。一方、区幹部職員の天下り先(現在の社長は前副区長です)である世田谷サービス公社は、競争せずに区から仕事をもらって利益を上げながらの高収益です。
以前、塩川正十郎さんという財務大臣が特別会計に関する問題を挙げて「母家でお粥を食べてるのに、はなれですき焼きを食べてる」と言ったことがありますが、外郭団体に関しても、こうした状態になることは許されません。
令和3年度の世田谷サービス公社と区の契約を改めて確認すると以下。
・「競争なし」で請けた仕事 65施設 約33億円
・「競争あり」で請けた仕事 6施設(指定管理) 約1.2億円
※「競争あり」でもその審査の中身がよくわからない、おかしいのではないかという声が議会から上がっている案件も過去あります。
世田谷サービス公社は、公共が民間活力を生かしながら事業を遂行するいわゆる「第三セクター」。第三セクターは、利益追求を目的とする手法ではなく、公共的事業をコストミニマムに実行するための手法。
役所が公共施設の維持管理業務をやるのは苦手、効率が悪くコスト高になるから民間活力を導入しながらやろう、と言うのが第三セクター。理屈からして第三セクターが、第二セクター(私企業)の同規模同業他社と比べて、ものすごく儲かるという状況にはならないはずです。
競争がない中で区からの仕事をどんどんと請けて、高収益構造となっているのはおかしい。先ずは世田谷サービス公社は「コストミニマムに公共施設維持管理を行うための会社」と言う視点をしっかり見つめ直すべき、そしてたくさん儲かったお金は区民に還元するための施策が必要です。
そして障がい者雇用。
世田谷サービス公社が「障がい者雇用」を一つの売りにしています。施設維持管理業務は障がい者雇用の受け皿になりやすいと言う事情はあるでしょう。しかし漫然と同じことをやっていても進歩はありません。今後はより障がい者就労に力を入れ、障がい者の就労について、もっと可能性を引き出すための取り組みとして前進させるべき。雇用のマッチング事業や、働く人に対する研修、訓練など。
先日議会で取り上げたように区教育委員会では、医療的ケア児の学びの支援として遠隔ロボット「オリヒメ」を使った授業を行なっています。(以下参考ブログ)
【桃野の世田谷区議会一般質問より。医療的ケア児、そのご家族への支援について取り上げました。区側からは「一歩前進」の答弁】(2021.09.06 桃野ブログ)
これは障がい者雇用でも活用できるのではないでしょうか。これは世田谷サービス公社だけでなく、世田谷区に対しても言えること。オリヒメは、神奈川県庁、平塚市役所、群馬県庁で導入実績がありますから、世田谷区役所でもその気になればすぐにやれることでしょう。
■遠隔ロボットオリヒメ(写真:オリィ研究所提供)
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