新型コロナウイルス感染症に対応した新たな学び。世田谷区長の教育観は?
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
今回は「新型コロナウイルス感染症に対応した新たな学び」もテーマの一つでした。7月31日に開催された世田谷区教育総合会議。(通常、世田谷区の場合、総合教育会議は7月頃と10月頃、年に2回開催されます)
総合教育会議は、地方公共団体の首長と教育委員会が教育政策について協議・調整する会議体で平成27年4月施行の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき設置されるようになりました。
■こちらは文部科学省のサイトから。この仕組みにより教育における、首長の権限と責任が明確化されました。
と言うことで、世田谷区でも法律に基づき設置されるこの総合教育会議ですが、桃野はこれまで「世田谷区長はその意味や役割を理解しているのだろうか」と考え、様々な点において改善を提案してきました。
例えば、こちらは昨年秋の総合教育会議の開催後、企画総務委員会でその中身について議論した際のものです。令和元年11月29日世田谷区議会企画総務委員会の会議録より。(一部抜粋)
◆桃野芳文 委員
何が言いたいかというと、この総合教育会議というのは主催するのは区長ですから、しっかりその区長の意思がこのテーマの中に反映して、しっかりと会議が行われることが正しいあり方だと思うんです。
そういった中で、この総合教育会議の中でこういう内容でしたというのがちょっとサマリーで幾つか挙がっていますけれども、これを読んでいくと、何々を考えていきたいとか、何々が大事であるとか、何々が大切であるとか、何々が挙げられるとか、語尾が非常に意思を感じない語尾になっているわけですよ。いつもの区長の区長節が頭をよぎりますけれども、何々を考えていきたいとかというのはね。
この総合教育会議というのは、区長が教育に対してどういう権限があって、どういう責任があるのかということを明確化していくということがありようというか、そういう目的でつくられているものだと思うんです。教育長の位置づけも変わりましたし、首長がどうやって教育に関与していくのかということだと思うんですよ。なので、しっかりこの教育推進会議の中で世田谷の教育の方向性を、区長がどの方向に持っていくのかということを示すことが私は大事だと思うんですけれども、そういうような中身というのはなかったんですか。
◎松本 政策企画課長
趣旨につきましては、委員のおっしゃるとおりというふうに認識しております。今回の会議の中では、各委員からのICT活用に対する教育現場での課題ということでの意見を伺いながら、今後、区長としてもどういうふうに進めていくかというのを、ぜひ進めていきたいということでの意見をいただいております。
ただ、三ページ目の5のところに参加者アンケートでも記載しておりますけれども、やはり(4)の主な意見という中では、二つ目の丸にありますように、会議で提案、話されたことが、今後、教育現場で現実化していくかが課題だということで、どういうふうに現実化していくのかというふうなところでの、やはりそういったところも知りたいというような御意見もいただいております。
今回、この会議の中で区長、教育委員会、両者がこういった課題について共有して、同じ方向感で執行に当たるというふうなことでは非常に重要だというふうに思っておりますけれども、そういった声もいただいておりますので、今後の会議運営の改善につなげていきたいというふうには思っております。
◆桃野芳文 委員
区長はみずから教育に関しては自分は関心が強くて、これまでも取り組んできたんだということも一生懸命おっしゃっているわけだから、これまでも申し上げましたけれども、ちゃんと公式のプロセスの中で自分の方向性をしっかり出してもらいたいし、それを実際の行動につなげていっていただきたいんですよ。
(中略)
予算をつくるのも区長だし、それはもっとこうしていきましょうということは、区長がしっかりやるべきだと思いますよ。
(中略)
◎松本 政策企画課長
総合教育会議のやはり趣旨としましては、委員がおっしゃっているように、区長のほうの教育行政の果たす責任や役割が明確になるということと、区長が公の場で教育政策について議論をすることが可能になるというようなところがこういった趣旨でありますので、そういった趣旨に沿った会議運営をしていくというのが基本であるというふうに認識しております。
そして、こちらが今年の総合教育会議の開催前の企画総務委員会。今年も総合教育会議を開催しますと言う区側の報告です。令和2年7月1日の世田谷区議会企画総務委員会の会議録より。(一部抜粋)
◎松本 政策企画課長
令和二年度世田谷区総合教育会議・世田谷教育推進会議の実施について御報告いたします。
(中略)
内容につきましては、「新型コロナウイルス感染症に対応した新たな学び」をテーマに、区立小中学校の休業期間中における区の取組を振り返り、議論を行うことを予定しております。
今年度の変更点としましては、米印に記載のとおり、より論点を明確にしながら、区の実情に沿った議論が行えるよう、教育委員会管理職等による区の取組等の説明をした後に議論を行います。また、この会議の設置趣旨を踏まえ、区長が自らの教育観等を示し、それを中心とした議論を促すため、ファシリテーターによる進行を考えております。
なお、第二回につきましては、十月三十一日土曜日に、例年のとおり、教育委員会による教育推進会議と同日、同会場にて実施をする予定で、内容は現在検討中でございます。
今回の会議は、議会からの指摘をしっかりと受け止めて、区長に総合教育会議の意味や役割をしっかりと理解させた上で開催するようにしますと言っているように受け止めました。区側の改善への意気込みですね。
そして、今年の総合教育会議の様子はこちら。会議録でも動画でもご覧いただけます。「世田谷区総合教育会議の開催について」(世田谷区のサイトより)
これを見ると、会議の中での世田谷区長の発言に共感するか否かはさておき、少なくともこれまでよりは「世田谷区の教育をどの方向に進めたいのか」と意思を示すようにはなったと感じます。区長にフリートークで喋らせるのではなく、具体的に「これについて発言を」と事務方が、会の進行を整理し、組み立てているのが良かった。
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