児童生徒にわいせつ行為を行い懲戒免職となった教師がなぜ、再び復帰できるのか。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
昨日の萩生田文部科学大臣の発言が、今朝の新聞等で報道されています。
【わいせつ行為で教員免許失効、再取得は「厳格に」…文科相】(読売新聞)
【わいせつ行為で処分の教員の免許再取得 法改正検討急ぐ 文科相】(NHK)
【わいせつ教員対策で法改正方針 免許法、文科相表明】(東京新聞)
文科省は、児童生徒にわいせつ行為をした教員は、原則として懲戒免職とするよう教育委員会などに要請しており、多くの場合、各自治体の教育委員会はそれに沿って該当の教員を懲戒免職(=クビ)にしていると思われます。
では、児童生徒へのわいせつ行為を行うような教員が、なぜ再び教壇に立つことができるのでしょうか。
教育職員免許法では以下定めています。
第十条 免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う。一 第五条第一項第三号又は第六号に該当するに至つたとき。二 公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けたとき。三 公立学校の教員(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十九条の二第一項各号に掲げる者に該当する者を除く。)であつて同法第二十八条第一項第一号又は第三号に該当するとして分限免職の処分を受けたとき。
ここで示されているのは、以下の者が持つ免許状は効力を失うということ。
・禁錮以上の刑に処せられた者
・日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
・公立学校の教員で懲戒処分を受けた者
・地方公務員法の定めに則って「勤務実績がよくない」「適格性を欠く場合」との理由で免職となった者
では、このようにして免許状が失効した教員がなぜ再び、教壇に立つことができるのか。例え、それが児童・生徒へのわいせつ行為という卑劣な犯罪であっても。それは、教育職員免許法の第五条に以下の定めがあるから。
第五条 普通免許状は、(中略)次の各号のいずれかに該当する者には、授与しない。四 第十条第一項第二号又は第三号に該当することにより免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者五 第十一条第一項から第三項までの規定により免許状取上げの処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
つまり、罪を犯して、教員免許を取り上げられた者であっても三年経過すれば、また再取得が可能。しかも罪を犯した者かどうかを問わず、規定通りの講習を受講すれば申請できるので、そのハードルは決して高いものではありません。加えて、教員の処分歴を永続的に自治体をまたいで共有する仕組みはありませんから、例えばA県でわいせつ事件を起こし懲戒免職処分となった教員が3年後にB県で再度教壇に立つことはさほど難しいことでは無いということが起こります。
こうした仕組みは問題では無いか。世田谷区議会でもこれまで問題視し教育所管に政策提言を行ってきました。
【世田谷区立小学校の教師が痴漢で逮捕。この教師は過去にも痴漢で懲戒免職。そして世田谷区は保護者に対して嘘の説明】(2018.09.28 桃野ブログ)
上記、ブログでは児童生徒へのわいせつ行為では無いものの、性犯罪歴のある教員が世田谷区立小学校の教壇に立っていた、そしてその教員は区立小での在勤期間に再度性犯罪で逮捕された、その際の世田谷区の対応は甚だ不適切だった、という事件について書いたものです。
わいせつ事件を犯した教員には厳しい対応を。子ども達の安心・安全のためには当たり前のことでは無いでしょうか。もちろん罪を犯した者の社会復帰の道を閉ざすことが良いとは思いません。しかし社会復帰は教員以外の道を行くことでも可能なはず。どうしても教員に戻りたいということであれば少なくとも、当該人物に再犯の恐れは無いのか、深い反省のもとに矯正は為されているといえるのか、これらを客観的に判断した上で、その判断に責任を負う「審議会」などを経る仕組みが必要では無いかと考えます。
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