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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2020-07-25

”一国に匹敵”とも言われる巨大自治体東京都。そのトップ歴代9人の知事は何をしてきたか。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

東京都知事選挙から、まだ一月経ってないんですね。新型コロナ関連の報道が続く毎日ということもあり、もう随分前のことのように思えてしまいます。

昨日の東京都知事選挙は大方の予想通り、現職圧勝の結果ですが

本当は都知事選挙の前に読み終えようと思っていたのですが、諸々の理由で後回しになっていたこちらの本。読み終えました。

「東京都知事列伝」(時事通信社)。著者は1967年都庁入庁、1999年〜2003年まで石原都政で副知事を務めた青山佾(あおやまやすし)さん。ちなみに青山さんには「世田谷区本庁舎等設計者審査委員会委員」を務めて頂きました。

一般会計予算だけでも6兆円、7兆円規模となる巨大自治体東京都。予算規模で言えば「一国」に相当する大きさです。そのトップはどのように都知事の仕事に取り組んできたのか。1400万人都民の代表たる議員からなる都議会とどのように向き合ってきたのか。16万人にもなる都の職員(学校職員、警視庁、東京消防庁含む)をどう動かしてきたのか。本書では、都職員として30年以上を過ごし、事務方トップの副知事も務めた著者が「政治との適切な距離感」を保ちながら歴代知事の都政を語っています。

とてもわかりやすい本なので、地方自治や地方議会にこれまで関心の無かった方々にも読んでいただいたいな。特にはじめに示されているこういう解説はとても良かった。

・民主主義の根幹は三権分立。

・国の場合は議院内閣制。議会の多数派が内閣を構成する形により行政(政府)と政治(国会)の致命的対立を避けている。

・自治体の場合は二元代表制。知事や区市町村長などの首長と議会のそれぞれが直接、市民から選ばれる形をとって行政(自治体)と政治(議会)の緊張関係を求めている。

・国の場合が外交や軍事など他国との関係があるから、意思決定の迅速な統一が必要である面があるが、自治体はそういう事情がないので三権分立の原則を徹底させたとも考えられる。

・首長は4年ごとに選挙の審判を受けるから政治家としての意識が強くなる。一方執行機関の職員は定年まで身分が安定している。

・一般に政治家は目先の利害を考え、公務員は中長期的な視点で政策を考える傾向がある。目前の人気取りではなく、中長期的な政策議論に熱心な政治家を公務員は尊敬し忠誠を尽くす。

(抜粋以上)

具体的な各知事下の都政については、

・安井都政、終戦直後の食糧確保策

・東都政、東京の交通機能の整備

・美濃部都政、広場と青空の東京構想

・鈴木都政、多心型都市構想論

・石原都政、財政再建

・猪瀬都政、知事と職員の関係

・舛添都政、都市外交

・小池都政、行政の論理より自分の実感による決定を重視

これらの話が面白かった。この本は初代都知事安井誠一郎氏から現都知事小池百合子氏まで9人の歴代知事を取り上げた全283ページの構成ですが、金銭問題が批判を浴び、わずか1年で辞職した猪瀬直樹氏の章はわずか10ページでした。

世田谷区の副区長も、引退後に歴代世田谷区長に関する本を書いてくれないかな。「世田谷区」という小さな範囲の話だからあまり売れないかもしれないけど。区職員から見た歴代区長の仕事ぶりについて是非本音の話を聴いてみたい。

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