「自分の任期中に、歴史に残る外交成果をあげたい」というのは政治家の身勝手な欲望にすぎません。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
今週末、大阪で開催されるG20。
いわゆる主要国と言われる国々の首脳が大阪に一堂に会し、経済分野を主要議題として話し合いを行います。
ロシアのプーチン大統領も来日するわけですが、その直前のタイミングでこのニュース。
【北方領土引き渡し「計画ない」「開発続ける」…プーチン氏】(読売新聞)
プーチン大統領が、国営テレビの番組で、北方領土の日本への引き渡しについて「そうした計画はない」「南クリル(北方領土)を含む極東発展計画を実現し、インフラ(社会基盤)を発達させる」とし、ロシアが北方領土の開発を続けていく考えを明言した。
こんなニュースです。
当然、タイミングも含めて日本への外交メッセージであるわけですが、さて「外交の安倍」と自負する安倍政権は、どういう外交メッセージで応えるのか。多くの日本国民が注目すべき点です。
今、米国のトランプ政権と蜜月をアピールする安倍政権。米国の軍事部門にとっても「良いお客さん」という状態。
【イージス・アショア 2基で総額6千億円超 関連施設など含めると想定の3倍に 防衛省試算】(産経新聞)
ミサイル迎撃システムである、イージスアショアを当初見積もりの3倍となる6,000億円で米国から購入。
【F35戦闘機 最大100機追加取得へ 1兆円、政府検討】(日経新聞)
1機で100億円となる最新鋭ステルス戦闘機「F35」を100機、追加取得。取得額は1機100億円超で計1兆円以上。
ロシアの立場からすれば、北方4島にそうしたものが配備されるということは大きな懸念となりますよね。
米国と仲良くしていれば、目指す外交の成果が全てあがるということは有り得ません。
こっちとも仲良く、あっちとも仲良く。
時にずる賢こく、外交カードをうまく切って、国益を追求していかなければなりません。
では、日本の外交カードは何なのか。
残念ながら、今の日本には良い手札があるとは思えません。
この状況で「2島返してくれれば、あとは棚上げでいいです」などという交渉をやってもいいのでしょうか。
交渉は、相手が欲しがるものを持っていなければ成り立ちませんから。
今日も古賀茂明さん(フォーラム4代表)のお話を伺ってきたのですが、北方領土を巡ってのニュースと、古賀さんの話が頭の中でつながりました。
(参考。こちらは、桃野のタウンミーティングに古賀茂明さんが来てくださった時のブログです)
日本経済が、かつて世界で示していた地位に、現状遠く及ばないというのは周知の事実。
例えばこちら。
【GDPは6年連続増加しても世界シェアは低下する日本】(Zoo online、永濱 利廣さん)
世界のGDPに占める日本の比率を見ると、1994年時点の17.7%から縮小を続け、2017年時点では6.1%にとどまる。更に、2016年時点で38,440ドルとなった日本の一人当たり名目GDPは、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では93年の2位から25位にまで低下。
そして、AIやITなど、現在世界経済を引っ張る最新技術の分野でも日本は、存在感を示せていません。GAFAと言われる巨大企業を筆頭に、多くは米国、中国の企業の活躍が続く状況。
人材という面で見れば、日本の大学の評価は一つの指標となるでしょう。しかし、今日本の大学の評価は世界において決して高くはありません。東大でさえ、シンガポール、中国の大学に及ばない状況。
【QS世界大学ランキング発表、中国の12大学が上位100校にランクイン―中国メディア】(エキサイト)
人材、技術、お金、などなど。
何かロシアが欲しがるものを持っていないと「北方領土返還をすると、ロシアにとってこういういいことが有りますよ」と示すことはできないということ。
政府は、成長分野に、教育に、積極的に投資して国の力を高めることが先。
「自分の任期中に、歴史に残る外交成果をあげたい」というのは政治家の身勝手な欲望にすぎません。
■こちらは4月、古賀さんとのタウンミーティング
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