誰でもわかる!「軽減税率」簡単解説。日本政府は世界基準でみれば全くの見当違いをしている。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
本日(1/27)の日経新聞、「経済教室」より、軽減税率について。
昨日の「軽減税率を考える(上)」は、橘木俊詔京都女子大学客員教授の執筆で、政府が導入を進めている軽減税率を肯定的に捉えるものでした。
その続き、今日の「軽減税率を考える(下)」は加藤淳子東京大学教授。
その中身はと言うと・・・
【所得分配の平等に逆行】
【政策考える責任放棄】
【標準税率の高騰招く恐れ】
と、見出しだけを拾っても軽減税率の導入に対し、大変厳しい見方をしています。
(要は大反対している)
非常に、わかりやすい内容なので、多くの方に読んで頂きたい記事です。
軽減税率と聞いて「少しでも税金が安くなるならその方が良い」と賛成の方がいらっしゃれば、是非そう言う方にこそ読んで頂きたい記事です。
以下要約。
(要約を読むだけでも記事の内容は、だいたいわかりますよ!)
〈軽減税率のルーツ〉
軽減税率は消費行動をゆがめ金持ちを優遇すると知られてから30年以上経つ。
欧州諸国は逆進性緩和の為に軽減税率を導入したのではない。
欧州では消費一般への課税の伝統が長く、その古い形態を付加価値税に転じる際、逆に存在した低い税率が温存されたのが軽減税率のはじまり。
その弊害を廃止できないのは、軽減税率を既得権益化する一部業界や政治家が手放さないから。
〈軽減税率は弱者の保護にはならない!〉
〜2013年度家計調査に基づく分析〜
・年間収入の低い方から順に並べ5階層に等分する。
・各階層別に、食料品の軽減税率による減税額を比べる。
・所得階層の上と下を比べると所得は6倍になるが、低所得層の所得に占める食費の割合は2〜3倍にしかならない。
・結果、所得が上がるほど、減税額が大きくなる結果となる。
・高所得者と低所得者を同じように免税する限り、逆進性緩和にはならない。
〈世界各国による「軽減税率」への評価〉
最初に付加価値税を導入した西欧諸国は、他国には軽減税率を使わないよう助言している。
逆進性緩和の手段とはならない軽減税率に代わり、経済協力開発機構(OECD)が推奨するのは給付。
複数の税率の下での徴税は煩雑を極め、業者の納税コストは税務当局の徴税コストに連動する。
80年代の西欧諸国では導入から10〜20年で標準税率が急速に上昇し20%超になったが、これは軽減税率下の徴税コストが原因であろう。
対照的なのは西欧諸国の助言に従い軽減税率を導入しなかったニュージーランド。
86年に10%で導入してから、30年を経た現在でも税率は15%に抑えられている。
軽減税率は標準税率を高騰させる。
国際通貨基金(IMF)は、新興国に軽減税率を用いない付加価値税、を導入し財政規律を守るよう助言している。
〈日本はナゼ!?軽減税率?〉
西欧諸国の助言にも関わらず、軽減税率を新たに導入するのは、先進諸国では日本が初めて。
増税の先送りと減税で有権者の歓心を買って来た政治がその原因。
政治が政策を吟味せず、唯一の負担軽減の手段のごとく提案すれば、軽減税率への世論の支持が高まる。
労無く支持を得ようと軽減税率導入に走るのは政治の無責任である。
(以上要約)
加藤教授は、軽減税率ではなく、低所得層世帯への重点的な給付で負担軽減を図るべきと言っています。
これは、まさに正論だと思いますし、現政府・与党が、国際基準でみれば”自明の見当違い”を進めているということを、多くの国民が理解するべきでしょう。
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