景観は都市の価値。歴史を見るような目で、これからの世田谷の魅力を高めて行きたい
ローマを始めて訪れた時、その街の持つ雰囲気、景観に圧倒されました。
思いを持って街を切り取れば、そこには古代ローマがあり、また別の思いを持って切り取れば1950年代の名作映画「ローマの休日」がある。
街が持つ歴史の価値を感じるとともに、景観の美しさにも感動しました。
街の様相が一変する(してしまう)要素はいくつかあるでしょう。
天変地異や戦争などはその一例。
日本の大都市は第二次大戦で受けた空襲等によって、日本の歴史や文化とともに積み重ねた景観の多くを失ってしまいました。
そして戦後我が国は、復興の過程の中で風景、景観よりも経済合理性を優先させたという歴史もあります。
「日本橋」の上を覆う「首都高速道路」も、その一例と言えるでしょう。
■第19代日本橋、1911年(明治44年)開橋(写真はwikipediaより)
■歌川広重筆「東海道五十三次」に描かれる日本橋(写真はwikipediaより)
しかし今、多くの人々が景観に価値を見いだす時代になりました。
今や自治体が、条例で建築物の高さを制限したり、風致地区を指定して建物の建築や樹木の伐採に制限をかけることも当たり前に行なわれます。
これは、景観を守るという公共の利益の為には私権の制限はやむを得ないという意思がコンセンサスになっているということですね。
今後日本の人口が減り、東京など日本の大都市においても人口は減少傾向を辿るという予測からも、景観を失ってでも開発を進めようという流れはもうやってこないのではないでしょうか。
むしろ都市の価値を景観で高めようという発想が、ますます広がって行くのではないかな。
さて、世田谷でも「風景づくり計画」を策定し平成20年から運用してきました。
地形、みどり、みず、農、住宅地、にぎわいなどの風景特性を世田谷の資源と捉えるとともに、大切にすべき風景を「地域風景資産」に選定するなどしています。
(桃野が愛する野川や国分寺崖線の緑を含む風景も選定されています)
都市にとって「にぎわい」も欠かすことが出来ない魅力ですし、暮らす人々の為にはマンションやオフィスも必要。
景観を守ることは、新たにモノをつくらないことでありません。
又、景観と都市のにぎわいは決して相反するものではありません。
そこに住む人々が景観の持つ価値を常に忘れなければ、景観がにぎわいを呼び、にぎわいが景観をつくる、そんな都市をつくっていけるはずです。
現在、世田谷区では平成20年から運用してきた「風景づくり計画」の見直し作業に入っています。
素案に対する区民意見も公募しておりますので、是非多くの方に関心を寄せて頂きたい思います。
(素案の全文は区の情報センター、総合支所、図書館、区のホームページの【パブリックコメント他】、でご覧頂けます)
景観は都市の価値。
歴史を見るような目で、これからの世田谷の魅力を高めて行きたい。
コメントを残す