区史編さん問題から。その支払いは正しいですか?おかしな支出をすれば区長が訴えられます。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
今日のブログは先の予算特別委員会の質疑より。「区史編さん問題の中で報償費の支払いについて」。
質疑の様子は以下の動画でご覧ください。
世田谷区の区史編さん委員について区は、先の本会議一般質問で以下答弁しています。
・区史編さん委員への支払いとして、世田谷区の予算科目としては、報償費(報償金)として支払いを行っている。
・地方公共団体の各種委員会の委員に対する謝金、手当等の報酬は、国税庁の法令解釈通達により、所得税法第28条(給与所得)の扱いとされており原則として給与等とすることとなっているため、給与所得としての税率(3.063%)を源泉徴収して支払っている。
・原稿料(執筆料)については、所得税法第204条第1項第1号としての扱いとなっており、復興特別所得税と合わせた税率(10.21%)を源泉徴収して支払っている。
・区史編さん委員は、地方公務員法第3条第3項第2号の特別職非常勤職員には当たらず、身分は私人である。
そこで今回、桃野は以下内容で質疑しました。
報償費を、各種委員会に該当する区長の私的諮問機関の特別職非常勤(地公法3の3の3)に支払うことも、執筆や調査、講演を委託した私人に支払うことも問題はない。
一方で、「付属機関に係る公金支出差止等請求控訴事件」(大阪高裁平成27年6月25日判決、原審大阪地裁平成26年9月3日判決)は、附属機関条例主義(自治法138条の4 第3項)を厳格に適用し「法律又は条例により設置されるべき附属機関を、これらによらずに設置したこと」を違法であると判断し、違法に設置された附属機関委員等に対する報償費の支出は法令上の根拠を欠き、全て違法と判断している。
このため、判決の出た平成27年以降は、自治体史編さん委員会を条例設置として給与・付属機関報酬として支払う自治体と、要綱設置設置として謝金として支払う自治体と二分されている。
区が区史編さん委員に給与として支払って給与扱いで源泉徴収する為には、つまり国税庁の言う「各種委員会の委員」に該当させるためには、地方自治法第138条の4第3項の「附属機関」 になるよう、条例設置とする必要があった。
しかし、区は区史編さん委員会や下部組織を要綱設置としているので、区が主張していた私人への委託としても、地公法3の3の3の非常勤特別職であったとしても、報償費として支払う場合は、各種委員会には該当しないため、給与として取り扱うことは出来ないと考える。
近隣自治体で同時期に要綱設置で区史編さんにあたったところがあり情報収集したが、委員が発行した請求書に基づき報償費を支払い、その際に執筆料、講演料と同じ「謝金」として10.21%で源泉徴収している。
区は、特別区人事・厚生事務組合には、委員への支払いについて確認したか。
住民監査請求によって「違法に設置された附属機関に該当する区史編さん委員会委員に対する給与の支出は法令上の根拠を欠くため返還せよ」訴えられた場合に、区史編さん委員会は付属機関であると認定され、全委員に給与扱いで支払った報償費全額の返還命令が区長に下りることになるのではないか。こうしたリスクについて区長はどう考えているか。法務担当とは話をしているのか。
区幹部からはこれまでとほぼ同じ答弁。以下内容でした。
・委員は私人である。
・国税庁からは、委員会という名称の委員に対する謝金、手当等の報酬は、条例・要綱設置によらず国税庁の法令解釈通達による所得税法第28条(給与所得)の扱いとして、給与所得としての税率(3.063%)を源泉徴収するよう指導されている。
そして区長には、自身への訴訟リスクもあることを例示した上で問いましたが「まだ検証していません」「法務担当とは話していません」と興味、関心が無さそうでした。議会で問われていても、こんな答弁ですから、区長はあまりに危機感がないのではと思ってしまいます。
この問題、引き続き区の支出に誤りがないか検討検証を続けます。
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