経済的困窮で進学を諦める子ども達を救う。区長の「児童養護施設の退所者等だけ対象」はおかしい。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログは先日(2024.03.06)の予算特別委員会の質疑より。給付型奨学金の拡充についてです。
こちら関連ブログ。
世田谷区長、そもそも狛江市在住。当選後しばらくして世田谷区内にも部屋を借り公用車で行ったり来たり。なぜ「自宅」を正式に区に届け出たくないのか?
世田谷区では「児童養護施設退所者等支援事業」を行なっています。これは簡単にいうと、18歳で児童養護施設を退所する方らに、進学のための奨学金を給付(返還不要)したり進学・就職する方の資格取得費用を補助したりという事業。
その原資は、区が先ず5000万円を拠出し、加えて寄付を募って基金にした「世田谷区児童養護施設退所者等奨学・自立支援基金」が使われます。
児童養護施設で暮らすのは現在、虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった子どもが大半を占めます。もちろんこうした子ども達の自立を支援することは必要です。
児童養護施設の退所者等が、経済的な理由で進学を断念することがないよう、区が支援することについては、桃野は大賛成。しかし世田谷区長のこの施策はあまりに練られておらず、唐突に始まった印象を持たざるを得ません。
桃野は本来、この世田谷区長発案の事業は、仕組みを大きく変えるべきだと提案してきましたが、なかなか提案が受け入れられず、それならと細部についての提言も併せて行なってきたという経緯があります。
その結果
・進学者への支援のみでなく、就職支援も行うこと
・奨学金を受給しても学校を中退してしまう、もしくはその後どうなったか区が把握もしていない(就学していない可能性大・行方不明)方が3割、そうした方を生まないよう、お金を渡して終わりではなく、相談機能の付与などを
などについては実現してきましたが、そもそもこの児童養護施設退所者等支援事業を大きく変えなけれいけないという思いは今でも強く持ってます。
その一つが、なぜ「児童養護施設の退所者等」だけを対象にするのか。世田谷区内では、経済的な理由で進学を断念する子どもはたくさんいるのです。例えばシングルマザーが必死で家計を支えていて、とても大学進学など無理という家庭もあると思いますが、そういう家庭は給付型奨学金の対象外。
そうした方が対象外で児童養護施設の退所者等であれば対象というのは全くおかしな話です。区の事業で、そんな「エコひいき」が許されるのでしょうか。
お金が無いなら、いざ知らず。実はお金は溜まっていく一方です。以下、寄付と奨学金の関係をグラフにしました。
この奨学金制度、令和4年度(2022年)には以下の変更を行なっています。
・給付上限を年間36万円から50万円に拡大
・進学の前年度末時点で23歳未満だった条件を30歳未満に拡大
・パソコン購入経費を対象に追加
・就学継続支援金を新設
更に令和5年度(2023年)には以下の変更を行なっています、
・措置延長中や自立援助ホーム入所中も対象
・18歳の年度末前に退所した場合も対象(一時期施設で生活し、その後家庭に戻った方も奨学金給付の対象)
・資格等取得支援開始(給付上限は自動車運転免許30万円、その他の資格等10万円)
つまり、他の経済的に困窮している方に比べて、児童養護施設退所者等への支援がどんどんと厚くなっている状況。これ以上メニューを増やしたり、給付額を増やせば「他の経済的困窮者への支援」と比べた際の説明がますます困難になるでしょう。
なぜ児童養護施設退所者等だけを対象にし続けるのか。もっと幅広く経済的困窮で進学を諦める子どもたちを救うべきだと区長には何度も何度も訴えています。上記のグラフで分かる通り、活用されていないお金は増え続けているのですから。
区長は「これは児童養護施設退所者向けとして寄付を募ったものだから他には使えない」と言いますが、そんな説明は詭弁です。もしそれが理由なら、当初区が入れた5000万円を取り出して新たな基金を作れば良い。簡単な話です。
経済的困窮が理由で進学を諦める子ども達を救いたい。引き続き粘り強く区長に働きかけていきます。
「給付型奨学金の拡充」についての質疑は以下動画でご覧ください。
質疑全編はこちらの動画でご覧ください。
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