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世田谷区の桃太郎 桃野芳文Webサイトです
2020-08-14

世田谷区の「PCR検査600件/日の体制を整備した」に、世田谷区医師会長は「疑義あり」。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

本日、世田谷区より「世田谷区新型コロナウイルス感染症対策本部会議における有識者との意見交換の会議録」各区議会議員宛に配布されました。

この「意見交換」が行われたのが令和2年7月27日。世田谷区長が「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」とテレビ番組に出演してぶちあげたのが翌7月28日です。こちらは参考ブログ。

「誰でも、いつでも、何度でも」PCR検査だって!?世田谷区長が喧伝する施策は真っ当か

会議録を見ればわかりますが、会議で聞いた専門家からの意見に「これだ!」とピンと来て翌日にはテレビで「世田谷区長として、これを実現します!」と披歴しているという流れ。区の事務方トップが言っていることと区長が言っていることが食い違っているということも起きていますし、一体、出演に至る経緯がどうだったのか、区長がテレビ出演に向けてどう行動したのかについても知りたいところです。

さておき、会議録からわかること。

まず出席者ですが、医療分野からは以下の方々。

・東京大学先端科学技術研究センター 児玉龍彦 名誉教授

・世田谷区医師会 会長 窪田美幸 医師

・玉川医師会 会長 吉本一哉 医師

他に

・東京都立大学法学部 大杉覚 教授

・大妻女子大学家政学部児童学科 加藤悦雄 教授

区側からは

保坂区長、宮崎副区長、岡田副区長、渡部教育長、中村政策経営部長、田中総務部長、菅井危機管理部長、澁田保健福祉政策部長、辻保健所長

先ずは、区の現状分析に関する報告があり、その後は世田谷区の施策について意見交換が行われました。そして注目すべきは、やはりPCR検査の拡充に関する話。

世田谷区澁田部長より、PCR検査体制について以下の説明がされたことが議事録で確認できます。

現在、区内の医療機関、帰国者・接触者外来は、4病院から6病院に増えている。その6病院に聞いたところ、1日当たりの最大検査件数は183件。世田谷区医師会、玉川医師会の1日当たりの最大想定件数は100件、世田谷保健所の検査件数が80件で、最大検査件数(能力)は363件。本日より、 世田谷区医師会の検査を2ブースから3ブース増やして頂いた。保健所の検査ブースも1ブースから2ブースに増やした。本日から最大とれる件数は603件となっている。

※桃野解説:これまでPCR検査のキャパシティは363件/日だったが、医師会の検査ブースを1から3に増やしてもらい3倍(80→240)に、世田谷保健所の検査ブースは1から2に増やして2倍(80→160)に。結果、363件+240件=603件まで検査能力が上がったと説明しています。

そして、澁田部長は以下の話を続けます。

第1波で一番陽性者数が出た日の陽性者は34人。一番濃厚接触者 が出た日の濃厚接触者が198人。陽性者と濃厚接触者が同時にとれる件数を世田谷区の最低ラインと考えたところ、それが232 件。それを上回る件数が必要だということで、現在、着実に検査数を増 やしていこうということで今603件。また、現在603件だが、さらなる拡充のための場所の確保、訪問PCR検査などの手法も検討していきたい。

区は、第一波のピーク時の検査数から想定される最大検査必要量の2.5倍のキャパシティを整備したと言っています。

これに対して、世田谷区医師会の窪田会長から以下の意見が出されます。

PCR検査の想定数と今後の拡充件数がどうしてこういう数字が出たのか、疑問に思う。世田谷区全体のPCR検査が7月で大体170から180件。今、世田谷区医師会のPCR検査センターでは大体1日120件近くの検査をしている。他の医療機関と世田谷保健所の検査を合わせると一日40件程度では無いか(桃野補足:医師会120件程度+その他40件程度=160件程度、の意味と思われます)。現状を見ると、区内医師会で、どんなに頑張っても今後あと50件しか増やせない。医師会で160件増やすというが、どうやってこの数字が出たのか疑問だ。世田谷保健所で1日当たり80件検査できる、さらに80件増やすとしているが、今使っている建物では絶対できない。今、全部の部屋を使って最大限の努力をして、それで世田谷区医師会の会員を動員しても1日150件までしかできない。ここら辺の数字をもう少しきちんと出していただきたい。

つまり、窪田会長の言葉を直截な表現に改めれば、世田谷区のPCR検査数の認識は現状分析といい、今後の見込みといい出鱈目では無いかということ。もちろん窪田会長はもっと優しく指摘されていますが。

窪田会長の指摘に対して、澁田部長は以下答えています。

1ブース当たり80件という試算。実際のところは時間の延長、また医師を増やすなどしないと、今の現状では(この検査数は)できないというところも実感している。もう少し詳しく件数のほうは調整させていただきたい。

部長は、区の示す数字が現状を示してないことを簡単に認めています。先ず区民の皆さんには世田谷区長、世田谷区は、こんな程度の話で、区民には「検査数は一日600件まで増やす目処がつきました。次なるターゲットは一日3000件!」と言っていることを理解して頂きたいと思います。

そしてこの一日3000件という数字。区内で働く保育士だけで1万人規模。保育分野に加えて、介護、教育などの分野に従事する方々も大勢います。これら全ての方を対象に「全員、定期的に検査します」と喧伝しているのが世田谷区長。先ずこれをどのように実現するつもりなのか。ましてや世田谷区長が、その先に実現すると言っている「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」に至っては、何をかいわんやです。

意見交換の中で確かに、児玉名誉教授から「PCR検査を大量に行う仕組みを区として作るべき」という趣旨の提言は出されています。しかし世田谷区長は、それに飛びついて浅薄な理解で派手に花火をぶち上げる前に「検査数に関する算数」ができるようにならなければだめ。それができなければいくら良い施策があっても「やろうとしたけど、数字が全然あわず、実現できなかった」ということになる可能性が大です。

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