DV被害者が「区は自分を守ってくれている」と感じながら暮らせる世田谷区を作っていかなければなりません。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
昨日に続いて、決算特別委員会の総括質疑より。
桃野がこれまで区に設置を求めてきた「配偶者暴力相談支援センター」(配暴センター)ですが、12月に、その機能が整備されることが決まっております。桃野は住民基本台帳法上の支援措置を中心に、配偶者暴力(DV)にまつわる様々な問題を議会で取り上げてきましたし、少しでも世田谷区のDV対策、DV被害者支援が進むよう政策提言を続けてきました。配暴センター機能の設置へと進んできたことについては、まずは区の姿勢を高く評価したいと思います。
とはいえ、まだまだ不安な点がたくさんあることも事実。せっかく整備される配暴センターですから、この機に幾つかの提案を区に行いました。限られた質疑時間でしたので、今回は大きく以下6点。
・住民基本台帳法上の支援措置について、支援措置申出の際に「警察の証明」は必須とせず、配暴センターで証明するべき。
これまでは、支援措置を申し出できた方が、本当に支援措置が必要な方なのか、例えば「この人は本当にDV被害者なのか」ということについて区は、警察か東京都ウィメンズプラザの証明を持って判断していました。今回、世田谷区が配暴センターを設置するのだから、これは世田谷区で判断できる体制を作るべき。当然、DVは暴力事件でもありますから、多くの場合、被害者の方に警察への相談を促すことは必要でしょう。しかしそれを支援措置を受けるための必須条件にするというのは違うのではないかということです。
・少なくとも区内での支援措置については、警察の証明は必要ないのでは。
世田谷区は「警察の証明は第三者性を担保するためのもの」と言っています。つまり世田谷区の方が他区であるX区に逃げた場合、X区に説明するのに世田谷区の説明だけでは客観性がないという主張。それもちょっとおかしな話だと思いますが、そうであるなら、区内の転居で配偶者から逃れている方の支援措置については、警察の証明は必要ないという仕組みでできるのでは。
・支援措置は一年ごとに更新の手続きをしなければいけない。更新時は警察の証明は不要で良いのではないか。
支援措置を受けている方の状況は多くの場合、一年で好転することはありません。DV被害者はDV加害者の影に未来永劫恐怖を感じながら暮らすという例も少なくないでしょう。一年ごとの更新でまた警察に言って現状を説明して証明をし直すことを必須にする必要はないのでは。更新手続きは役所の中で完結できるようにするべきではということ。
・配暴センターにワンストップ機能を。
DV被害者に対して必要な支援は住民票の交付関連だけではありません。例えば夫の暴力から逃れてきた専業主婦であれば、経済的な支援は必須でしょう。お子さんを連れていれば就学援助なども。こうした様々な支援を受ける際に、様々な部署をたらい回しにされたり、何日も時間がかかったりということが無いような仕組みをつくるべき。
各窓口で繰り返し「暴力を受け逃げている」という説明を繰り返すのは支援措置対象者にとって大きな負担であるということについても配慮が必要です。
・住民基本台帳法上の支援措置を受ける際の書類は直すべき。
現在、区が支援措置の中で使っている文書には「弁護士から住民票の写しを求められた場合は拒否できない」と、しつこいぐらいに記載されています。これは明らかに間違い。弁護士であってもDV加害者の依頼を受けた弁護士からの申し出は加害者からの申し出と同視して拒否しなければなりません。こういう文書を使っているから大失態の事務が起こる。すぐに直すべきです。
・DV被害者(支援措置対象者)は、自身が住民票の写しを受け取る際に不利益があるので改善を。
世田谷区では現在、住民票の写しの交付を受けるとき、窓口での交付は300円、役所にある証明書自動交付機を使うと250円、コンビニエンスストアでの交付は200円です。しかし支援措置対象者は自身の請求の場合であっても、窓口での交付しかできませんので、その費用を若干多く負担しなければいけない状況。これは被害者であるにもかかわらず、コストを背負わなければいけないという理不尽さです。これは改めるべき。
桃野の提案に対しての区側からの答弁は、「検討する」というレベルのものもありましたが、総じて本当の意味で「実現に向けて検討をしていく」というニュアンスを感じるものでした。桃野はこれからも引き続き検討状況を確認していきます。
DV被害者が、少しでも安心して(区は自分を守ってくれていると感じながら)暮らせる世田谷区を作っていかなければなりません。配偶者暴力相談センター機能の整備はその一歩。桃野は引き続き機能の充実に向けて取り組みを進めてまいります。
■質疑の様子は以下の動画でご覧ください。
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