「人と公共交通優先型のまちづくり」「歩いて楽しい暮らし」引き続き、京都市の取り組みも参考に政策提言を続けます。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
本日のブログは京都市の「交通まちづくり」について。
かつて、1000年以上に渡って日本の「都」であった京都(現在の京都市)。
太平洋戦争で空襲の被害を受けなかったこともあり、古くからの街並み、文化が継承され、多くの観光客が訪れる土地柄であり、一方で「日本初」(学区制小学校、路面電車など)も多く、時代に先駆けて新しいものに挑戦してきた土地柄でもあります。
そんな京都市が今、「総合交通戦略」の中で取り組んでいるのが「人と公共交通優先型」のまちづくり。
以下、京都市の定義です。
・「人と公共交通優先型」(ヨーロッパ型)
マイカー抑制と公共交通優先により、多くの人が街に集まり、賑わいを生み出す持続可能な都市として発展する。
アメリカも含めて世界の潮流は「クルマ依存型社会」からの脱却。
(アメリカ・ポートランド、フランス・グルノーブル、ドイツ・ミュンヘンなど)
・「クルマ依存型」(かつてのアメリカ型)
自動車の利用を前提とした都市形成
郊外型のショッピングセンター
マイカーが生活の必需品
京都市の目標は、自動車の交通手段分担率を20%以下にすること。ちなみに平成12年度の調査(京阪神都市圏パーソントリップ調査)では自動車交通手段分担率は28%でした。
具体策として、一つは、バスの利便性の向上。大都市には珍しく、バス交通が発達している京都市ですが、運行系統が豊富であるがゆえに、どの系統に乗れば良いのかわかりづらい、バス停が多くどのバス停でどの系統が乗り降りできるのかわかりづらいということもありました。
現在、京都市ではバス系統の整理(取り組み検討中)、複数台のバスが停車できるテラス型バス停の整備、京都駅八条口駅前広場の整備(バス停の集約、観光バス乗降場のスペース拡大、タクシー乗り場と降り場の分離など)の取り組みで、その利便性向上を進めています。
その他、歩道拡幅事業(取り組み例を後述)や「歩いて楽しい暮らしを大切にするライフスタイル」の提唱なども。
そんな取り組みもあり、平成27年度の自動車交通手段分担率(京都市独自調査)は22%まで下がっています。
「マイカーよりも公共交通機関や徒歩」の象徴的な施策の一つが「四条通歩道拡幅事業」
これまでの四条通り(烏丸通〜川端通)は、幅員7m(3.5m×2)の歩道と幅員15mの車道(片側2車線)かならなる道路でしたが、平成26年11月から平成27年10月末までの歩道拡幅事業により、幅員13m(幅員6.5m×2)の歩道と幅員9m(片側1車線)の道路に生まれ変わりました。
車道(車線)を減らし、歩道を広げる取り組みは「更なる渋滞を招く」との批判を招き、京都市議会でも政治的な議論になったそうですが、今は多くの市民に支持されている(京都市役所談)とのこと。
「歩いて楽しいまちづくり」は、世田谷区でもぜひ取り組みたい課題です。世田谷区長は以前、京都市も参考にしたアメリカ・ポートランドにも公費を使って海外視察をしていますが、未だ具体的な取り組みはゼロ。ポートランドまで行かずともぜひ京都市での取り組みなども参考にして、何かしらの実績をあげてもらいたいところです。
桃野もこれまで世田谷区都市計画審議会でポートランドのまちづくりに言及しながら意見を述べたことがありますが、引き続き、京都市での取り組みも参考にしながら政策提言を続けていきたいと思います。
■こちら、四条通り(藤井大丸付近)の写真。アーケードの屋根が以前の歩道幅員の名残をとどめています。
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